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地域に信頼され、親しまれる病院を目指して
公立福生病院

 公立福生病院のある東京都福生(ふっさ)市は、都心より西へ約40km、多摩地域の中西部に位置する人口約6万人の街である。西多摩の玄関口に位置するため、交通の便に恵まれており、JR青梅線、八高線、五日市線、西武線が通り、また国道16号線、奥多摩街道、五日市街道などの主要幹線道路も通っている。都心まで約1時間という通勤圏であり、近年は20代から40代までの若い世代が全国平均と比較しても多く住み、都市開発が盛んである。
 市の東北部には日本最大の米空軍基地である横田基地が広がり、市の1/3程の面積を占めており、基地周辺では国際色あふれる雰囲気を味わうことができる。市の西南部には多摩川が流れ、また、羽村市の取水堰より取り入れられた玉川上水と上水から分けられた福生分水や熊川分水といった水のある景観が潤いを与え、市民の憩いの場となるなど、自然豊かでありながら、国際色豊かな都市として認知されている。
 公立福生病院はもともと東京都国民健康保険団体連合会が運営していたが、福生市、羽村市、瑞穂町で組織する福生病院組合が運営する公立病院として移管され、2001年4月1日に新たに開設された。東京都二次医療圏に指定された西多摩保健医療圏の中で、地域の基幹病院として住民の健康と福祉に大きな役割を担ってきた。このほど老朽化した病棟を廃し、2008年10月1日に新病院の第一期建設工事を終え、病床数265床で新規開設に至った。2010年2月には第二期建設工事も完了し、最新の高度医療機器を備えた316床の病院としてリニューアルオープンの予定である。
 今回は「地域に信頼され、親しまれる病院を目指す」と話す、諸角強英院長にお話を伺った。

◆諸角 強英 院長プロフィール

1974年に慶應義塾大学医学部を卒業後、慶応義塾大学一般・消化器外科に入局し、慶應義塾大学医学部附属病院で6年間、研修を行う。そのうち、同大学関連病院で2年間の教育出張を行った。済生会宇都宮病院での4年間の勤務を経た後、1984年に現公立福生病院の前身である東京都国民健康保険団体連合会福生病院に外科医長として赴任する。2003年4月に公立福生病院院長に就任し、現在に至る。専門は一般消化器外科、肝胆膵外科。
慶應義塾大学医学部客員教授、藤田保健衛生大学医学部客員教授。
日本外科学会専門医・指導医、日本消化器外科学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会認定専門医・指導医、日本消化器病学会消化器専門医・指導医、日本乳癌学会認定医、日本臨床外科学会評議員、日本肝胆膵外科学会評議員、日本肝胆膵外科学会高度技能指導医、日本がん治療学会暫定教育医。

 <病院の沿革>

 公立福生病院は1945年4月に昭和飛行機株式会社が職員病院として福生病院を開院したことで、その礎が築かれた。その後、1948年に国民健康保険事業の推進を図るため、東京都国民健康保険団体連合会が継承する。現在の公立福生病院を運営する福生病院組合は2000年4月1日に福生市、羽村市、瑞穂町の2市1町で設立され、2001年4月1日に東京都国民健康保険団体連合会から経営移管し、公立福生病院が誕生した。設立以後、地域住民の一般疾病の治療、健康管理、疾病の予防などの期待に応えるとともに、医学の進歩に対応した適切な医療を提供することを基本とし、公的医療機関でなければ対応することが難しい高度・救急医療などの業務を担い、今日に至っている。

 「私が赴任した当時は結核病床を33床有した244床の病院でした。しかし、外科がほとんど機能しておらず、外科病棟の20名ほどの入院患者の半数が1年以上入院していたような状況でしたので、病院機能の建て直しが急務でしたね。現在の外科は70名の入院患者の受け入れが可能となっています。2001年の移管の背景には老朽化した病院の建て直しがあり、国保では経済的に厳しく、地域の基幹病院として存続するために2市1町で引き継いだということです。」

 2004年2月に新病院建て替えによる基本構想、基本計画を策定し、2008年10月に第一期建設工事が完了し、病床数265床で新規開設を果たした。新病院は装いも新たに全面電子化を推し進め、総合医療情報システムを導入し、電子カルテを中心とした画像・検査・薬剤・看護など医療全般の一元管理化を実現させた。またリニアックの導入や64列のCT、3テスラのMRI、スペクトCTなど高度最新医療設備も充実させている。
 建物の構造は揺れの少ない免震構造を採用し、大地震の際も救急医療拠点として、災害時には防災拠点の機能も発揮する。
 一方、西多摩歯科医師会からの要望により、高度医療の受け皿としての機能を果たすために歯科口腔外科を新たに開設した。

 「旧病院にはオーダリングもありませんでしたし、電子部門の設備も全くないという状態でした。新規開設にあたり、電子化が進んでいる社会の中で、ここで取り入れなかったら、いつやるんだという気持ちで最新鋭のものを取り入れました。その結果、日本で5本の指に入るくらいのシステムが導入されています。また、これまで放射線でのがん治療が必要な場合には青梅市立総合病院や立川共済病院にお願いしていたのですが、リニアックを導入し、手術、化学療法、放射線治療を全て当院でまかなえるようになりました。さらに外来化学療法室を新設し、総合的にがん治療に当たることのできる体制を作りました。」

 現在は2010年2月の全館完成(316床)に向けて第二期建設工事中である。

 <病院の特徴>

1. 救急・災害医療
 東京都平均と比較した場合、西多摩保健医療圏は人口10万人に対する病床数は多いのだが、一般病床は少なく、療養病床が多いという特徴がある。その中で、公立福生病院は急性期に特化した数少ない病院であり、二次救急医療機関として複数診療科での救急受け入れ体制を確立している。今回の新設では免震構造(CFT)を採用し、災害時の防災拠点として、また後方支援として協力病院体制に参加することも決定している。


2. 小児・周産期医療
 西多摩地区には小児科を標榜する病院は3病院、産婦人科を標榜する病院は4病院と少なく、公立福生病院の果たすべき役割は非常に大きく、期待されている。
 曜日により異なるが、産婦人科では2~3診体制で外来を行っており、分娩数は年平均300件である。

 「当院も一時期は産婦人科医が不足し、分娩を制限していた時期がありました。現在は3名の医師を確保でき、分娩も再開しています。しかしながら、医師の勤務環境とのバランスを考えて、医師1人あたり月10件の分娩件数を目安として対応しています。産科当直は非常勤医師の協力も得ています。」

 小児科では肺炎、気管支喘息、急性胃腸炎など一般的な小児急性疾患のほか、特に腎臓疾患に力を入れている。常勤医は都立清瀬小児病院腎内科の臨床カンファレンスに出席して、スキルアップや情報交換などを継続的に行っており、腎臓疾患に関しては院内でほとんどの検査が月齢年齢を問わず可能となった。他院から核医学検査全般や新生児期・乳児期の排尿時膀胱尿道造影(VCG)の依頼も増えている。
 臨床心理士の資格を持つ小児科医が対応できる施設は多摩地域では極めて少なく、不登校児や小児心身症などに対し、時間をかけた心理カウンセリングを行っていることも大きな特徴だ。


3. がん医療への取り組み
 新規開設以来、手術、化学療法、放射線療法を適切に組み合わせた集中的治療の実践を行っている。


4. ペインクリニック外来
 ペインクリニック外来は主に神経ブロック療法を行い、週2日の予約制で1日約40~50名の来院患者数となっている。現在では年間約150名の新患が院内、院外から紹介されており、地域のニーズは高い。主に帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、変形性頸椎症、腰椎症の患者さんが多い。ブロックは症例に比例し、硬膜外ブロック、星状神経節ブロックが多く、補助的に光線療法(直線偏光近赤外線)や薬物療法も併用している。また、痛み以外の疾患として顔面神経麻痺に対する星状神経節ブロック療法や、顔面痙攣に対するボツリヌストキシン注射も取り入れている。新患の内訳は腰痛症・頸椎症が63.5%、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛が20.7%となっている。治療内容は神経ブロックが80%を占め、このうち硬膜外ブロックが52%、星状神経節ブロックが12%である。一方、CRPS、顔面痙攣の患者さんも徐々に増えてきているという。
 「麻酔科医が発案し、当初は2名で行っていたのですが、地域からのニーズが高く、現在は5名と増員しています。最近ではインターネットなどで情報を集めて、郊外から来院する患者さんも多いです。当院は麻酔科認定病院で日本ペインクリニック学会指定研修施設でもあるので、その強みも活かしていければと思っています。」


5. 開放型病院の推進
 公立福生病院では病診連携の一環として2006年に開放型病床を開設した。病状にきめ細かく対応するかかりつけの診療所の先生と患者さん、公立福生病院の医師が三身一体で医療に取り組み、病気の治療に一番大切な継続性と一貫性を保ち、効果的な診療を目指している。地域医療連携室が主導して西多摩医師会を中心に情報発信をしており、少しずつではあるが、認知が高まっている。
 「若い開業医の先生を中心に少しずつ利用率が上がっています。新規に開業された先生が比較的多いですね。外科の先生ですと、当院の設備を運用して、ご自身で手術を行い、入院の経過処置も副主治医として診ていけます。患者さんは知らない施設に放り込まれると不安になるものですが、安心して医療を受けられますし、病院側としても患者さんの病歴や家族構成、背景などがかかりつけ医からダイレクトに情報を収集できますので、メリットは大きいですね。」


6. 教育病院しての役割
 公立福生病院は臨床研修指定病院として認可されており、複数の学会の指定を受けるなど、教育医療機関としての役割を担っている。卒後臨床研修に関しては、慶應義塾大学の協力型病院として以前からたすき掛けの形で受け入れを行っていたが、2009年から単独型として研修医の受け入れを開始し、現在は2名の医師が研修を受けている。
 「若くて意欲の高い方を受け入れることによって、医師を含めた病院スタッフの刺激になるし、活性化も図れ、相乗効果が生まれてきますので、可能な限り継続していきたいと考えています。内科医が不足していた時期もありまして、受け入れが難しいときもありましたが、現在は8名の内科医を揃えることができていますので、今年から単独型での受け入れを開始しています。」

 <運営・経営方針>

 公立福生病院では、理念である「信頼され、親しまれる病院」を実現するために5つの基本方針を掲げている。その中で特徴的なのが「職員満足の向上」である。この方針は2009年4月から掲げているが、諸角院長は職員が働きやすい職場環境を作ることが結局は顧客満足度を高めると考えている。

 「職員にとっていい病院であることが大前提であると私は考えています。患者さんを治療するために職員が犠牲になるのは絶対によくありません。患者さんは敏感ですので、職員が生き生きと働いていない病院では満足のいく医療は提供できません。地域に認めていただいて、地域とともに成長していくためには勤務環境の改善を含めて、職員のやりがいや生きがいを追求していきたいと考えています。」

 また地域住民へ質の高い医療を提供するため、2004年に地域医療連携室を開設した。MSWも2名に増やし、開放型病院として地域医療機関との病診連携を進め、地域全体での医療の効率化と質の向上を図っている。

 「他の地域も同様だとは思いますが、西多摩地区は全体的に医師不足の状態です。これを補いつつ、質の高い医療を提供するためには病診連携は欠かせません。それぞれの医療機関が強みを持っていますから、強みを活かした紹介を活性化させることによって地域の皆さんに還元できると考えています。」

 <今後の展開>

 諸角院長は地域住民に対しての情報発信や予防促進に力を入れていきたいと考えている。敷居が高いと思われがちの病院をより市民に近づけるための施策を考案中だ。

 「これまではなかなか機会を設けることができませんでしたが、来年の完全オープンで多目的ホールができますので、今後は積極的に健康促進への講演活動なども行いたいと考えています。また地域と病院を近づける一環として、ボランティア職員の採用も視野に入れています。地域の皆さんにより近い方々を受け入れることにより、病院職員とは違った視点を我々も学びたいですし、患者さんにも質の高い医療を提供できるでしょう。またレストランを新設する予定もあります。実現できたら、病院の利用者だけではなく、地域の皆さんにも開放したいですね。」

 諸角院長は現在の課題として医師不足の解消を上げている。特に内科医不足のために休止した透析医療の再開が喫緊の課題だ。

 「このたびの新規開設で立派な透析室は準備したのですが、専属の勤務医の確保に苦慮しています。日本中の大学に手紙を送ったり、各大学を回っての活動もしていますが、なかなか難しいですね。非常勤医師の打診はあるのですが、地域の中核病院の一員として、患者さんに責任が持てる方の確保が急務となっています。地域の高いニーズに応えるために早急に解決したい課題です。」

 <求職者へのメッセージ>

 当院はハード面においては、このたびの新規開設によって高度先進医療が提供できる最新鋭の設備を整え、広い診療スペースも確保できています。またソフト面においては、この地区特有なのでしょうが、患者さんも含めて根本的に優しくていい人が多いので、スタッフ間の垣根もなく、風通しのよい環境が整っています。当院の規模ですと、全員が顔見知りになりますので、働きやすいと思いますよ。
 仲間的な意識を持ちながら、研究よりも臨床に力を入れている病院の方が望ましいですが、当院では研究にも力を入れていて、研究発表などで学会に参加する方への補助や出張費も支給しています。患者さん中心の医療を提供していただける方に来ていただけると、ありがたいですね。

 <病院の理念>

信頼され親しまれる病院

 <病院の基本方針>

○患者中心の医療
病気を抱えた患者は、身体的苦痛に加え、精神的にも不安定な状態にあります。それらを十分理解した上、患者の立場に立って心温まる態度で、患者の病状と治療内容を十分説明し、患者が安心して医療を受けられるよう誠心誠意努めます。
○救急医療の推進
救急医療体制の充実を図り、地域住民に信頼されるべく、24時間・365日・2次救急医療を提供します。必要により、地域医療機関とのスムーズな連携を行います。
○医療水準の維持向上
公立病院として地域に信頼され、安心して医療を受けていただけるように、医療の進歩に合わせて日々努力をし、医療水準の向上に努めます。また、医療行為にあたっては、事故を防ぐよう細心の注意をもって行い、患者のための良質な医療の提供を続けます。
○職員満足度の向上
多方面の環境整備により、働き甲斐のある職場作りを行います。
○経営基盤の確立
公共の利益を確保するとともに、効率的な病院経営に努め、経営の安全化を図ります。

 <病院概要>

名 称

公立福生病院

開設管理者

福生病院組合

所 在

〒197-8511
東京都福生市加美平一丁目6番地1

TEL

042-551-1111

FAX

042-552-2662

建物

CFT(一部SRC)造 地下1階、地上8階建
建築面積(二期) 延べ床面積:28,975,84㎡
(一期オープン時 23,235㎡)
建築面積:6,025㎡

病床数

一般病床316床(一期オープン時 一般病床265床)

診療科

内科・精神科・循環器内科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・心臓血管外科・皮膚科・泌尿器科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・リハビリテーション科・放射線科・麻酔科・歯科口腔外科・薬剤科・臨床検査科・栄養科

医療機器

リニアック、MRI、RI、DSA、体外衝撃波結石破砕装置、CT、透視 診断断装置 ほか

認定施設

日本外科学会専門医制度修練施設
日本消化器内視鏡学会指導施設
日本消化器外科学会専門医修練施設
日本消化器病学会専門医制度関連施設
日本乳癌学会認定医・専門医制度認定施設
日本小児科学会専門医制度研修施設
日本腎臓学会研修施設
日本内科学会認定制度における教育関連病院
日本整形外科学会認定医制度研修施設、
日本麻酔科学会麻酔科標榜のための研修施設麻酔指導病院
日本ペインクリニック学会指定研修施設(認定医)
日本泌尿器科学会専門医教育施設
東京都医師会母体保護法指定医師研修指定医療機関
日本産科婦人科学会専門医制度卒後研修指導施設
日本眼科学会専門医制度研修施設
日本臨床細胞学会認定施設
日本脳神経外科学会専門医修練場所
日本がん治療認定医機構認定研修施設
日本周産期・新生児医学会研修施設
臨床研修指定病院

 <アクセス補足>
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2009.08.01 掲載 (C)LinkStaff

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