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ふれあいと信頼に基づき、豊かで良質の地域精神医療の提供を目指して
医療法人社団有明会 栗田病院

 茨城県那珂市は県内のほぼ中央に位置し、2005年に那珂郡那珂町が同郡の瓜連町を編入合併し、市制施行して誕生した人口5万5千人の新しい市である。県庁所在地である水戸市に隣接しており、近年は水戸市やひたちなか市のベッドタウンとして発展している。
 栗田病院は茨城県の交通の中心であるJR水戸駅から国道118号線を車で約20分、北上した場所にあり、都市部近くでありながらも、自然豊かな緑に囲まれ、療養に適した環境に恵まれている。栗田病院は1967年6月24日に診療所栗田医院として開設されたが、同年10月5日には精神科病床92床の規模で運営が始まった。現在は205床を有する栗田病院を中心に、近隣に社会復帰事業施設、介護事業施設を持つグループを形成している。
 茨城県内では初の精神科急性期治療病棟のほか、認知症病棟を運営し、もの忘れ外来などの専門外来やリワークデイケアによるうつ病の患者さんの復職支援活動にも積極的で、精神科の急性期から社会復帰、認知症の治療やデイサービスまでトータルな精神医療サービスを提供している。最近では地域からだけでなく、県外からの紹介患者さんも増加傾向にあり、県内の精神科医療を支える基幹病院として、ますますの発展が期待されている。
 今回は栗田病院の栗田裕文院長にお話を伺った。

◆栗田 裕文 院長プロフィール

1967年茨城県水戸市に生まれる。杏林大学を卒業後、研修医として筑波大学医学部附属病院精神神経科に入局する。茨城県の水海道厚生病院、県立友部病院などに勤務した後、2002年に医療法人社団有朋会栗田病院に副院長として着任する。2003年に院長に就任する。
日本精神神経科学会専門医、精神保健指定医。

 <病院の沿革>

 栗田病院は1967年6月24日に栗田裕文院長の実父である栗田秀秋先生が診療所栗田医院として開設した。出身地である水戸市から近く、緑に囲まれた田園風景や閑静で光のあふれる療養環境に着目し、当地を選択したという。精神科開設に対し、当時は地域住民からの賛同を得るのに苦慮があったと栗田院長は話す。

 「開院直後は患者様やそのご家族にお茶をお出しするなどのコミュニケーションを図っていたことを子ども心に覚えています。運動場の設立など、地域の事業に積極的に参加したり、周辺の住居に定期的に足を運んだりして、地域の一員として受け入れてもらえるように努力を続けました。イメージの先行を払拭するためには精神科医療の重要性を地域に働きかけることはもちろんですが、心の回復には人間交流が不可欠ですので、地域の発展のために尽力してきました。今でも当院が夏祭りの運営を行っており、多くの皆様にご参加いただいています。」

 1971年には医療法人社団有朋会として設立、開設が認可され、1984年には栗田院長の実母である栗田邦子氏が理事長として就任する。病床数の増加に伴い、県内初の精神科救急医療に着手し、精神科デイ・ケアセンターも開設するなど、医療サービスも拡充する。急性期から社会復帰、認知症の治療からデイサービスまでトータルな地域の精神科医療を支える礎を築き上げた時期である。

 1995年に精神障害者生活訓練施設擁護寮である、くりの実寮を開設する。ここでは入院生活や精神障害により円滑な日常生活が難しくなった方を対象として、生活全般の指導と病気の再発の予防などを行い、2年以内の社会復帰を目指している。この取り組みは自立支援がなかなか進まない現状を打開する施策として行政からも期待されている。

 「茨城県からは以前からお話をいただいていました。当院も精神障害を有する患者様に社会復帰をしていただくことを目的としていますから、やりがいのある取り組みです。定員が20名の施設ですが、施設長、精神保健福祉士を含めて7名の専門スタッフを中心に運営しています。」

 その後、栗田病院では精神科デイ・ナイトケアを開設したほか、社会復帰施設としてグループホーム、精神障害者福祉ホームを開設し、また介護保険関連施設として居宅介護事業所、認知症対応型通所介護施設を開設している。現在、205床(精神科病棟155床、認知症病棟50床)の栗田病院のほか、擁護寮「くりの実寮」、2カ所のグループホーム「くりの木荘」、福祉ホーム「くりくり」、2カ所の居宅介護事業所「クリクリ」、4カ所の認知症対応型通所介護施設「クリクリ」を、那珂市内のみならず近隣の水戸市、ひたちなか市に開設しており、質の高い医療サービスを提供している。

 一方、精神医療の教育や普及にも力を入れており、日本精神神経学会専門医制度の認可を受けている。2005年からは筑波大学附属病院や日立製作所水戸総合病院の臨床研修協力病院として、初期、後期研修生の受け入れも行っている。

 2006年には栗田病院のリニューアルを行った。ゆとりのある広い敷地内で、建物はオレンジを基調とし、急性期、一般、療養、認知症の病棟ごとに花の名前をつけたことで、柔らかで明るく、温かみのある印象を抱かせてくれるような病棟となった。明るく、穏やかな療養環境の中で、人と人との触れ合いと信頼が生まれるように、共感に支えられた医療の実践を心がけている。

 「もともと栗田という名前にちなんだマロン病棟という名前はあったのですが、それ以外は各病棟を第一病棟などと数字で区分けしていました。今回のリニューアルでは『明るく開放的な雰囲気をつくり、様々なこころの悩みに応えることができる法人を目指す』という当院の理念を実践するために看護部を中心に検討して、花の名前を病棟名に取り入れました。働いている職員はもちろんですが、患者様、ご家族の方々にも意識を変えていただけかなという手応えを感じています。」

 また、この年には茨城県下の精神科専門病院として初のISO9001の認証を受けており、これまでの取り組みが国際基準のレベルに達していると認められた。

※詳細な沿革は下記をご参照下さい。
http://www.yuhokai-kuritah.com/01yuhokai/history.html

 <病院の特徴>

1. サクラ病棟
 病棟の4割以上が新患であり、4割以上が3カ月以内の社会復帰などの基準を満たしていれば、精神科急性期治療病棟と標榜できるが、サクラ病棟はその基準を満たし、50床を有する。早期退院に向けて集中した医療の提供を行っており、短期集中の医療と開花が短期間のサクラを重ねて、サクラ病棟と名付けたそうだ。精神保健指定医、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、薬剤師、管理栄養士らが協力し合い、重点的なチーム医療を提供している。心理教育プログラム(サクラセミナー)や、患者-スタッフとのグループミーティングを行っている。
 「サクラ病棟は新患受け入れの窓口の機能を果たしています。早期の退院は入院初期に集中的、効果的な治療を受けたかどうかが大きいため、マンパワーの充実とチーム医療に主眼に置いています。月に28人から33人程度の患者様が社会復帰されていますね。また、ご家族の方のご協力が大きな役割を持ちますので、今年から定期的に家族会を開いています。」


2. ヒマワリ病棟
 ヒマワリ病棟は精神一般病棟であり、45床を有する。入院期間が比較的長期の患者さんが多く入院しているのが特徴だ。太陽に向かうヒマワリのような明るく元気な雰囲気で患者さんとともに歩み、患者さんのリハビリを進めたいとの願いを込めてヒマワリ病棟と名付けている。
 「いわゆる閉鎖病棟ですが、一人一人の患者様にじっくりと関わり、社会復帰に向けたソーシャルスキルトレーニングをメインに提供しています。」


3. コスモス病棟
 コスモス病棟は60床の精神療養病棟である。入院患者さんを地域生活に向けて支援していく病棟であり、コスモスの群生を社会になぞらえ、患者さんが社会復帰した後で、コスモスの群生の中に再び可憐で美しい一輪を咲かせられるようにとの願いが込められている。うつ病の治療のために8室の個室を有し、ストレスケアを行っていることが特徴の一つだ。全室がトイレ、洗面所付きで、家具なども充実した設備となっている。ここでは「エンジョイセミナー」という退院準備プログラムを設けており、社会復帰の一助を担っている。
 「開放型の病棟であり、構造上はサクラ、ヒマワリ病棟の上に位置しており、社会復帰に向けたリハビリを提供しています。当法人で運営している社会復帰施設への退院をされる方もおられます。」


4. マロン病棟
 マロン病棟は認知症病棟であり、50床を有している。認知症による様々な精神的、身体的症状により在宅や施設などでの生活が困難な方々を受け入れ、集中的な医療と介護を提供する。栗は栗田病院のシンボルでもあり、人生の実りのときを地域で穏やかに過ごせるようにと願いを込めて、マロン病棟と名付けている。
 「認知症によるデイサービスを手がけているからでしょうか、紹介が非常に増えており、当院の新患の約4割が認知症の患者様です。最近は画像機器による早期発見がクローズアップされていますが、当院では近隣の病院と連携を取っています。早期発見によって症状の進行を遅らせることは可能ですし、生活の質の向上にもつながります。」


5. 社会復帰支援事業部
 栗田病院では急性期から社会復帰までトータルな地域の精神科医療を担っている。さらに患者さんの退院後のケアとして、グループホーム、精神障害者福祉ホーム、居宅介護事業所、認知症対応型通所介護施設を運営し、独立した社会復帰支援事業部を設けている。2002年に新障害者プランが策定されたのを受け、社会復帰を促進するため、2003年5月に退院促進委員会を立ち上げた。そして地主さんの協力のもとで、社会復帰施設の訓練終了者の共同アパートを作った。ご自宅での生活の前に法人の目が行き届いたアパートで生活することにより、生活への自信を持たせるのが狙いだ。ご家族の方からも好評を得ているという。
 「もちろん訪問看護やデイケア、デイナイトケア通所でサポートを行っています。グループホームより一歩進んだ位置づけになりますが、障害者自立支援法上の施設ではなく、民間のアパートですので、一般のアパートと同様に入居者と大家様とで契約していただくことになります。病院での治療やプログラムを終了した後、自立した生活を送ることが最終型であり、私たちがそこまでのサービスを提供することは理念の一つです。」


6. もの忘れ外来
 地域の高齢化に伴い、認知症の患者さんは年々増加傾向にある。そこで栗田病院では、専門医による「もの忘れ専門外来」を開設している。第1、第3金曜日の午後、完全予約制で受け付け、近隣の医療機関との連携による画像診断や心理検査などを行っている。
 「利用希望者は非常に多く、現状は診察をお待たせしてしまっている状態です。地域のニーズに応えるためには開設日の増加と専門医の確保が今後の課題ですね。」

 <運営・経営方針>

 栗田院長は運営の柱として、急性期医療、社会復帰支援、認知症ケアを挙げている。
 「私たちの使命は心に暖かな灯りを灯すことです。精神科急性期医療、在宅支援、認知症ケアを柱として、幅広く切れ目のない運営が地域住民に還元できればと考えます。そこで法人内に社会復帰支援事業部や介護事業部を設け、地域における医療連携を実現しています。」

 もう1つの運営の柱として、教育にも非常に力を入れている。院内の職員に対しては外部より講師を招いて定期的に研修を行う。ここでは目的への問題意識を職員に持たせ、いい緊張感のある雰囲気を作ることを念頭に置いている。
 「明確な目標を目指して、良質な医療を患者様に提供するためには医療、介護サービスの担い手であるスタッフ一人一人が成長していく必要があるという信念を持っています。各職員がテーマを持って臨んでいますので、お互いに意思疎通のとれた、明るく開放的な院内の雰囲気作りにも役立っています。」

 栗田病院は臨床研修医や看護学生を受け入れる教育病院としての役割を担っており、筑波大学医学専門学群や茨城県立医療大学、茨城キリスト教大学、国際医療福祉大学をはじめ、多くの看護専門学校、医療技術専門学校からの学生実習を受け入れている。
 また、栗田病院に勤務する医師が周辺の看護専門学校の精神看護学の非常勤講師として教鞭にも立っている。また、2005年から筑波大学附属病院や日立製作所水戸総合病院の協力型臨床研修病院として、積極的に臨床研修医を受け入れている。
 「私どもの法人の一番の強みは精神科医療の入り口から社会復帰という出口まで一貫して患者様に携われることです。精神保健指定医の認定条件を満たすだけの症例数も確保しており、スキルアップを望まれる方が多くの症例を積むことが可能です。また看護師や精神保健福祉士といったコメディカルの職員との連携を密にしていかないことには患者様が満足される医療サービスを提供できませんので、チーム医療にも携わっていただけます。意欲の高い方を積極的に受け入れることにより、相乗的に職員が医療人としての自覚や仕事への意欲を育めたという結果も出ています。地域の精神科医療の活性化の発信源を担う役割を自覚しており、今後は将来、開業を目指される方に対してのサポートも準備しているところです。」

 <今後の目標>

 現在、リワーク(復職)デイケアを行っています。うつ症状の新患の方が増加傾向にあります。症状がよくなっても、職場復帰をしたらまた元に戻ってしまうケースも多いので、リワーク・デイではそういった方々のサポートをしています。また、認知症の地域をサポート・ケアより充実させていきたいと考えております。

 <求職者へのメッセージ>

 精神科医療は比較的動きの少ない医療と言われています。しかし私どもは急性期を担っておりますし、質のいい医療を患者様にご提供し、短い入院期間で社会復帰をしていただくことをコンセプトとしています。活発でない方は私どもの病院は合わないかもしれません。明朗活発で精神科医療に前向きであり、高い意欲を持ってスキルアップを望まれる方に勤務していただきたいですね。

 <有朋会 理念>

1. 私達は、明るく開放的な雰囲気をつくり、様々なこころの悩みに応えることができる法人を目指します。
2. 私達は、患者様、利用者様一人一人を尊重した支援を行い、共に歩んでいきます。
3. 私達は、情熱と誇りを持って質の高い医療・介護を提供します。

 <病院概要>

名 称

医療法人社団有朋会 栗田病院

理事長

栗田 邦子

院 長

栗田 裕文

副院長

安部 秀三

所 在

〒311-0117
茨城県那珂市豊喰505番地

TEL

029-298-0175

FAX

029-298-0812

E-mail

yuhokai@yuhokai-kuritah.com

病院HP

http://www.yuhokai-kuritah.com/index.html

診療科

精神科・神経科・心療内科・内科

病床数

205床(精神科病棟:155床・認知症病棟:50床)

各種指定

筑波大学・日立製作所水戸総合病院臨床研修協力病院

届出事項

精神科急性期治療病棟Ⅰ
精神一般病棟
認知症病棟Ⅰ
精神科デイケア(大規模)
精神科デイナイトケア
重度認知症患者デイケア
精神科ショートケア(大規模)
薬剤管理指導料
栄養管理実施加算
入院時食事療養Ⅰ

 <アクセス補足>
地図

JR常磐線水戸駅より茨城交通バスで「大宮」行きに乗車し、「豊喰(とよばみ)本郷」下車、徒歩2分。
または常磐高速・那珂インターから車で5分。

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2009.06.01 掲載 (C)LinkStaff

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