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診療体制の強化を行い、消化器疾患領域における十勝NO.1を目指す
帯広第一病院

 帯広市は、北は大雪山系、西は日高山脈に囲まれた雄大な十勝平野の中心に位置している。人口は17万人で、道内5番目の都市である。十勝管内としては1市16町2村、人口は36万人となり、面積も新潟県や岐阜県と同じ位の広域な地域だ。十勝という地名の由来は、管内を流れる十勝川を指すアイヌ語の「トカプチ」からと言われており、十勝川が日高山脈を背景として悠々と流れる姿は十勝の象徴であり、まさに母なる川であろう。
  十勝の開墾は明治16年(1883年)に晩成社による開拓団の入植により始まり、以来、120年あまりと歴史は浅いが、寒冷な気候条件にありながらも恵まれた土地資源を活かし、日本最大の食料基地としての役割が期待されている。
  今回は、冨永剛病院長にお話を伺った。

◆冨永 剛 病院長 プロフィール

 1956年に宮城県に生まれる。1983年に東北大学医学部を卒業後、国立水戸病院(現 水戸医療センター)で2年間の臨床研修を行う。1986年に東北大学第一外科に入局し、公立登米病院や宮城県立がんセンター外科に勤務する。
  1994年に帯広第一病院に外科部長として赴任し、2003年に病院長に就任した。現在は帯広市医師会理事も務め、十勝管内36万人の医療を支えている。また東北大学医学部第一外科非常勤講師を兼任している。

 <病院の沿革>

 帯広第一病院の法人格である「財団北海道医療団」は、1948年、志田信也先生が第二次世界大戦後の医療復興のために自身の財産を寄付し、財団法人志田病院を開設したのが前身であり、その後、1971年に財団法人北海道医療団として組織化された。 財団法人として病院経営を実践する組織は珍しいが、公益を目的とした事業を積極的に展開している。
志田病院は1972年に廃業し、一時事業休止となったが、1974年8月、帯広第一病院として病床30床で再建された。以来、十勝管内初の脳神経外科の開設を始め、複数の診療科の標榜を果たし、急性期医療に関する整備を行いながら救急告示病院として救急受け入れを積極的に行うなど、帯広市内はもとより十勝支庁管内20市町村36万人の中核病院の一つとして地域医療に貢献し、現在に至っている。
 また、法人内においても更なる地域医療への貢献を果たすべく、関連施設として療養中心の2病院(計243床)をはじめ、介護老人保健施設、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、ケアマネジメントセンターを帯広市内を中心に次々と開設しており、救急医療から在宅介護までの一貫した事業展開を行っている。

 <病院の特徴>

1. 内科

 内科・消化器内科では消化器疾患を中心に、内科総合診療を行っている。日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医が常勤し、全ての消化器疾患を診療している。消化管の領域では主に内視鏡を用いて食道、胃、十二指腸、大腸疾患の診断および治療を行っている。上部消化管ではハイビジョン電子スコープを導入し、早期胃がんの発見に努めており、ポリープや早期のがんに対してはEMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で治療を行っている。
また、緊急性の高い食道・胃静脈瘤破裂や出血性胃・十二指腸潰瘍の内視鏡治療に対して迅速かつ安全に対応できるよう診療体制の充実にも取り組んでいる。胆膵の領域では超音波検査、マルチスライスCT、MRI、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査)を駆使し、胆石や膵胆道系のがんの診断、治療を行っている。特に総胆管結石に対する内視鏡的な結石除去、悪性胆道狭窄に対する内視鏡的ドレナージ術に力を注いでいるという。
  肝領域では、週1回、肝専門医による外来を開いており、ウイルス性肝炎、原因が分かりにくい肝機能障害の診断、治療を行っている。ウイルス性肝炎に対しては抗ウイルス療法、インターフェロン療法などの治療を行う。

 

2. 外科

 2007年の手術症例は237例であった。そのうち臨時手術は76例なので、約3件に1件が臨時手術ということになる。これを2グループで担当しているので、1グループで年間120件前後の手術症例となる。手術に関しては週1回、術前検討会を実施し、手術の適応や術式の方法について外科スタッフ全員で協議し、患者さんの情報を全員で共有するよう心がけている。
  手術は胃がん、大腸がん、胆石、ヘルニア、虫垂炎などをはじめ、肝・胆・膵系の悪性疾患に対しても行う。
  「腹腔鏡下胆嚢摘出術や鼠径ヘルニア根治術についてはクリニカルパスを用いて患者さんが手術の内容を理解しやすくなるのを手助けし、安心して手術を受けられるよう努めています。現在、退院の目処は腹腔鏡下胆嚢摘出術で術後5日、鼠径ヘルニア根治術で術後3日となっています。」
  近年、乳がんの増加に伴って、乳がん検診の方法としてマンモグラフィーが導入されているが、帯広第一病院では精度管理中央委員会によるマンモグラフィー施設認定を取得しており、2008年10月から毎週金曜日午後に乳腺外来を開設している。
 また、専任の薬剤師と看護師による外来化学療法室を設け、手術のみならず術後の抗がん剤治療でも、通院での治療を希望する患者さんのニーズに合わせた治療を行っている。
  「外科という分野は手術という侵襲を加えて治療することが前提です。我々は外科医として特別なことを行うわけではありませんが、安全かつ確実をモットーに患者さんの希望を叶えられるように努力していきたいと考えています。」

 

3. 脳神経外科

 脳神経外科は十勝地域での脳神経外科の草分け的存在である。日本の脳神経外科を牽引してきた東北大学脳神経外科を母体とし、「常に身内に対処するが如く、過剰なことをせず、必要なことを十分に行う」という理念のもとに、活動してきた。
 「診断機器や治療方法が時代とともに変遷しても、この姿勢は一貫しており、今後とも安心した脳神経外科医療を提供できるよう、努力し続けたいと思っています。一人一人の患者さんにとっての最良の選択肢という観点から、患者さんやご家族とともに話し合って決めていくという姿勢で診療しています。」

  実際の診療は脳卒中や頭部外傷を中心である。緊急手術や急性期の手術対応はもちろん、待機的な手術症例(頸椎、下垂体、血管内手術)などでは、大学の専門医などと連絡を取ったり、外部の専門医が来院して手術することもある。化学療法や放射線療法を必要とする脳腫瘍などは必要に応じて道内の専門医を紹介している。
 入院中のリハビリに関しては、週1回、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、医療相談員が参加するリハビリカンファレンスを行い、患者さんの変化のチェックと同時に今後の方向性を検討している。

 

4. 麻酔科

 安全で安心な手術のために手術前から手術後にかけて総合的な麻酔管理を行っている。術前回診で十分な評価と麻酔計画を立てて、手術に臨み、麻酔科専門医を中心とした専門性の高い診療体制を組んでいる。また先進的な患者監視装置を導入し、患者さんの安全と安心を守っている。手術部では術前に看護師が患者さんを訪問し、不安をとり、安心して手術を行えるようにしている。

 

5. ペインクリニック

 麻酔科ペインクリニックでは、各種神経ブロック、薬物療法、理学療法、心理療法など多面的なアプローチにより腰下肢痛、頭痛、肩こり、背中の痛み、上肢の痛み、顔の痛み、帯状疱疹の痛み、急性の痛みから慢性の痛みなど、様々な痛みに対応している。

 

6. 歯科口腔外科

 歯科口腔外科は口腔外科専門医が常勤する病院歯科として、1998年に開設された。以来、地域の歯科のみならず医科の医師からの紹介患者さんが多数来院し、病診連携や病病連携を図りながら治療にあたっている。
 診療内容は、紹介を受けて受診する口腔外科的な疾患が中心だが、一般の歯科医院では対応が困難な有病者の歯科治療や他科の入院患者さんの口腔ケア、救急の外傷などにも対応している。

  
 <現在の医師不足について>

 医師の招聘についてはホームページでの情報はやはり上辺だけで信憑性が薄いということはどんなドクターでも分かっていますので、医師同士の口コミが一番有効であると思います。「この病院では、こういったことができる」とか「雰囲気が良く、頑張りがいがある」というようなことをうまく発信していくことが重要です。求人広告を出すことに矛盾している意見だとは思いますが、求人媒体では十勝の土地柄や、晴れの日が多く、非常に良い気候風土で伸び伸びとやれる環境についても若いドクターに伝えたいですね。
 医師不足や偏在の原因として新臨床研修制度が取り沙汰されています。我々と同年代の中には専門性は高いのですが、「この部分は診ますが、後は専門外なので知りません」というような、全体を診ることができない医師がかなりいると思います。しかし、この制度が始まって、内科、外科、救急や看取りを行うことにより、全体を診ることができた上で専門を持っているという医師が増えたのは良い点ですね。医学生に色々な選択肢を与えた点も評価できます。
 一方、今までは医局という大きなゆりかごの中で、医局が各々の適性を見て的確に人材を配置していましたが、新しい制度では自分で職場を選ばなければならないので、失敗も全て自己責任です。今まではミスマッチがあると、現場の部長、科長、医局の教授との話し合いで適性に動かすことができましたので、ある病院に合わなかった人でも別の病院に移すことによって立派な医者になるということも数多くありました。
 私もですが、同級生たちも50歳を過ぎたら半分以上がメスを置き、管理職に就くケースが多くなりますが、そのときにも医局制度は非常に大きな意味を持っています。もちろん現役でバリバリに手術を行っている医師もいますが、医局から派遣されて地域の病院長のポストに就く医師もいれば、医局の先輩の紹介でドックや健診業務を行っている医師もいますし、開業している医師もいます。そのような幅広い交友関係の下にそれぞれのキャリアを形成していったんですね。
 しかし、新しい制度は卒業した時点で学生を丸裸にしてしまいますので、リスクの高い制度です。たいした情報もなく、その病院の症例数だけ見せられて入ってみたものの、相性の合わない上司のもとで無駄に2年間過ごして、その結果、何も残らず放り出されてしまうこともありえます。
 偏在に関しては、インターネットなどの上辺の情報だけで、若者が長期的な展望や生きがいを持たずに診療科を選ぶようになったのも問題だと思います。特に外科系は必修化以降、どんどん減っています。精神科、放射線科、麻酔科など、時間で生活できるような診療科に人気が集まり、メスを使う科目が敬遠される傾向があります。今までは何も知らないままポンと入って、その中で生きがいを見つけて頑張る医師がほとんどでした。今後は、「ここは簡単に儲かるぞ」と人気が集中してしまう科目に関しては診療報酬を圧縮したらいいのではないかと、仲間内で笑ったりしています。

 <運営・経営方針と今後の展開>

 もともと救急を中心に行ってきて、現在でも十勝管内で重要な役割を担っていますが、ここ数年は消化器内科の医師が増えてきて、内視鏡治療で高度な医療を提供できるようになりました。まだ保険適用になっていない治療も行える体制ができています。高い技術を持った医師が今年の4月からさらにもう1名加わる予定ですし、働き盛りの先生が数多くいますので、医師・環境・機器などの診療体制の強化を行いながら、消化器疾患領域における十勝ナンバーワンを目指す消化器内視鏡センター化構想を展開していきます。
 研修医に関しても今年は1名という寂しい状態ですが、来年度はフルマッチングし、3名の研修医が来ることになっています。初期研修医に来てもらえるようになった要因は、私どもは規模としてはあまり大きくないのですが、地域の中核病院として消化器の症例が非常に多く集まっていること、研修医でも手術や内視鏡に実際に触れさせていることでしょうか。将来、そのようなことをやりたいという学生を集めることができたのでしょうね。大きな病院では内科や外科がいくつにも分かれていて、そこを極めて短い期間に回っても何も身につかず、腕が上がらないまま終わってしまうという研修が多いようですが、当院では2年間の研修が終わればどの病院で働いたとしても即戦力となれるような人材育成を目指しています。

 <メッセージ>

 帯広市、北は大雪山系、西は日高山脈に囲まれた広大な十勝平野の中心に位置し、北海道ならではの豊かな自然と寒暖のメリハリのある四季が楽しめる地域です。十勝医療圏は人口36万人で、面積は新潟県と同じくらいの広さとなる広域医療圏となりますが、ともに地域医療を支えて頂けるような熱意のある医師を募集しています。

 <理念>

地域に信頼される病院を目指し、質の高い、思いやりのある医療サービスを提供する。

 <基本方針>

1 患者様の安全と権利を守ります。
2 地域医療機関との連携を推進します。
3 救急医療の充実に努めます。
4 研修や救急を積極的に行います。
5 働きがいのある職場を作ります。

 <病院概要>

名 称

財団法人北海道医療団 帯広第一病院

開設者

理事長  菅 原  武 久

管理者

院長     富 永  剛

所 在

〒 080-0014
北海道帯広市西4条南15丁目17番地3

TEL

0155-25-3121

FAX

0155-25-1172

病床数

303床( 一般250床、療養50床、ICU 3床 )

診療科目

内科・消化器内科・循環器内科・透析内科・外科・乳腺外科・肛門外科・脳神経外科
整形外科・リハビリテーション科・麻酔科・放射線科・歯科口腔外科・歯科

その他

人工透析(15床)、健康管理センター(人間ドック、脳ドック、総合ドック、大腸ドック、乳がん健診、特定健診、特定保健指導)

病院HP

http://www.zhi.or.jp

 <アクセス補足>

JR帯広駅から徒歩3分と中心部から極めて便利な所です。

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2009.03.01 掲載 (C)LinkStaff

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