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八ヶ岳と富士山を望み、峡南地域の医療を支える
社会保険 鰍沢病院

 中央自動車道の甲府南ICから甲府盆地を南へ30分ほど車で走ると、山梨県南巨摩郡鰍沢町に入る。日本三大急流のひとつである富士川に面した鰍沢町は人口約4千人の小さな町だが、江戸時代には富士川舟運の拠点であった鰍沢河岸が設置され、鉄道が開通する明治の中頃まで栄えていた。また、近くには桜の名所として日本百選の一つにも数えられている大法師公園があり、北を望めば八ヶ岳、南には富士山と、風光明媚な環境である。
 今回訪れた社会保険鰍沢病院は戦後まもないころから峡南地域の医療を支え、地域に欠かせない病院となっている。「地域の皆さまに信頼され満足していただける病院をめざして」を理念に掲げている鰍沢病院の中島育昌院長にお話を伺った。

◆中島育昌院長プロフィール

中島 育昌(なかじま いくまさ)
      昭和21年5月29日生まれ 本籍地:東京
学歴・職歴
昭和47年3月    東京慈恵会医科大学卒業
昭和47年5月22日  東京慈恵会医科大学附属病院・整形外科・研修医
昭和49年4月1日   東京慈恵会医科大学附属病院・整形外科・助手
昭和52年7月1日   聖マリアンナ医科大学附属病院・整形外科・助手
昭和53年7月1日   東京慈恵会医科大学附属病院・整形外科・助手
昭和54年12月10日  医学博士号取得(東京慈恵会医科大学751号)
昭和58年4月1日   山梨医科大学附属病院・整形外科・講師
(昭和58年4月1日より昭和59年3月31日・アメリカ合衆国ミネソタ州・メーヨークリニック・
バイオメカニック研究室リサーチフェロー)
平成11年12月1日  山梨医科大学附属病院・整形外科・助教授
平成15年4月1日より山梨大学大学院医学工学総合研究部整形外科助教授
平成17年7月1日より社会保険鰍沢病院に勤務(院長として)。現在に至る

所属学会
日本整形外科学会、日本リウマチ学会、日本骨代謝学会、日本リハビリテーション医学会、
日本小児整形外科学会、日本人工関節学会、日本股関節学会など

専門域
リウマチ、骨粗鬆症及び転倒・骨折、リハビリテーション医学、小児整形外科、
股関節外科、スポーツ医学

 <病院の沿革>

 社会保険病院とは社会保険庁管轄の社団法人全国社会保険協会連合会が委託を受けて経営する公的な医療機関である。
 戦後、健康保健制度が創設されたが、医療を提供する機関に乏しく、国は全国に医療機関を発足させる。その中の一つが社会保険鰍沢病院であり、1946年5月、島田病院を買収し、山梨県国民健康保険団体連合会が経営を受託し、発足した。政府管掌保険の保険者とその家族の健康を増進し、疾病を予防、治療、管理することを大きな目的や趣旨としていた。
 1996年4月に山梨県峡南医療圏において唯一の災害拠点病院の指定を受けて、災害発生時における地域の拠点となる機能を果たすこととなる。
 1999年に現在地に新築移転を行った。地域住民の高齢化を見据え、患者さんのニーズに応えるかたちで、2000年4月に入所100床の「鰍沢社会保険介護老人保健施設サンビューかじかざわ」を併設し、医療連携を充実させる。
 また健診にも力を入れ、健康管理センターを発足させ、政府管掌健康保険生活習慣病予防健診の契約実施機関となる。
 2003年2月には日本医療機能評価認定(一般病院種別B)を受け、現在は内科・外科・整形外科・小児科・脳神経外科・放射線科・リハビリテーション科・消化器科で158床(内感染症病床4床)を有し、峡南医療圏での中核6病院のひとつとして、整形外科・小児科を中心に地域の保健・医療・福祉に携わる各機関と十分な協調と連帯のもとに、地域の住民の健康を守る役割を果たしている。

 <病院の特徴>

 峡南地域には6つの病院があるが、鰍沢病院のほかは小規模の公的病院、個人病院などであり、鰍沢病院は峡南地域の基幹病院として災害拠点病院、感染症指定医療機関を兼ねている。
 主力となっている診療科目としては内科、外科、整形外科、小児科が挙げられる。特に、整形外科、小児科は峡南地域の中で重要な役割を果たしており、整形外科は大学病院レベルの手術を行っている。

 小児科に関しては現在、2名の医師が勤務しているが、小児科医は常に24時間体制で勤務しているわけではない。緊急時は甲府市や富士吉田市にある小児救急センターが対応することになっている。全国的に小児科医が不足し、社会的な問題となっているが、鰍沢病院では地域の患者さんとの関係が極めて良好である。
 「患者さんが私どもの病院としてのあり方をしっかりと理解してくださっています。最近の報道ではモンスターぺーシェントという言葉も取り上げられていますが、私どもでは患者さんとの関係で大きな問題はありません。他の地域よりも患者さんの理解が深い地域と言えるかもしれませんね。」

 地域の住民や事業者に対し、健診や人間ドッグを行っている健康管理センターや内視鏡センターを持っているのも特徴である。CTやMRIなどの医療機器が充実していることもあり、内視鏡を用いた外科手術も可能である。

 併設の「鰍沢社会保険介護老人保健施設サンビューかじかざわ」は100床を有し、入院日数の短縮に伴い、病院での入院が困難な患者さんを受け入れたり、老健施設の患者さんの急変にも迅速に対応できる体制をとっている。  地域的に糖尿病の患者さんが特に多く、鰍沢病院でも力を入れている。しかし、脳神経外科、神経内科の医師がおらず、脳卒中などの合併症に対する対応が充分ではない。  「私はリハビリが専門ですので、いずれは合併症に対応できる体制を充実させたいという希望があります。そのためにも医師不足という問題は避けては通れないですね。山梨県は山に囲まれていることからか、首都圏からだと遠いイメージがあるようです。しかし来ていただくと、意外と近いと感じられますよ。水がきれいで、食べ物も美味しいですし、気候も良く、大変住みやすいところだと思います。医師不足を解消して、より充実した医療を行っていきたいですね。」

 <現状の取り組みと課題>

 鰍沢病院がある峡南地域の南部では高齢化が著しく、将来的には人口の減少の危機に直面している。そういった事態を防ぐために鰍沢病院が中心となり、周辺の病院と連携したネットワーク作りに積極的に取り組んでいる。2カ月に1回のペースで各病院長の会合が開かれ、地域の問題点などを話し合うなど、活発に活動している。
 鰍沢病院では市民を対象に「健康づくり教室」を2ヶ月に1回開催しており、毎回30~40人の住民が参加するなど、盛況である。中島院長も専門の分野である老人の転倒や骨折などで講演を行っている。
 「夏は熱中症対策などを行っています。季節に応じてテーマを変え、市民の健康維持のためにしっかりとした予防をという意識を伝えていければと考えています。」
 このように地域に根ざした医療を目指している鰍沢病院だが、人材の不足、特に先述したような医師の不足が最大の問題点となっている。
 「大学病院の医師不足も厳しい状況ですので、なかなか無理も言えません。病院独自で幅広く医師の確保に取り組んでいく方向です。将来的には緩和ケアやリハビリテーション施設を充実させ、急性期医療から終末期医療まで全てに対応可能な体制を整え、峡南地域内で完結させるような医療を目指したいと思っています。」

 <医師不足について>

 山梨県には約60の病院があるが、医師不足は県内でも深刻な問題となっている。2004年に開始した新臨床研修制度により、多くの研修医が都会の病院に流れる傾向にある。中島院長は総合的な医療を行うことは必要であるとしながらも、この問題には次のような原因があると話す。
 「医師不足になる原因として診療報酬の問題や若い医師への教育、一般医の位置づけが挙げられます。医師が不足している科目に診療報酬を手厚くしたりするなどが必要です。教育という点では専門性を追求することに偏っていることで、大病院に医師が集中しているのではないでしょうか。また、専門医に対して一般医の位置づけが低いと感じています。」

 <今後の展望>

 唯一の公的病院が社会保険病院となっている地域もあるなど、地域住民にとって貴重な病院が多く存在するが、全国54カ所の社会保険病院の中には民間医療機関への移譲も含め、運営のあり方を見直す動きが出てきた病院もある。また赤字運営の病院の問題を含めて様々な課題が山積している。
 「社会保険病院はこれからも地域に必要な存在です。しっかりと患者さんの立場に立ち、基幹病院として地域に根ざした医療を行っていくことで、『鰍沢病院ここにあり』と胸を張って言えるような病院作りを行っていきます。」

 <求める医師像>

 鰍沢病院には中島院長を含め11名の常勤医師が在籍しているが、病院の規模からすれば厳しい状況にある。現在は特に内科系の医師を募集している。
 「特に消化器内科の医師が望ましいです。消化器科が充実すれば、整形外科と連携して合併症などに対応ができます。また地域医療に理解があり、熱い心で医療に取り組んでいただける医師に来ていただきたいですね。」

 <病院の理念>

地域の皆さまに信頼され満足していただける病院をめざして
1. 患者さま苦痛を察するやさしい心を持ち、安全で良質な医療を提供するよう努めます。
2. 医療人として専門知識と技術の習得はもちろん、りっぱな社会人になるよう研鑚します。
3. 患者さまの人格・権利とプライバシーを尊重します。
4. 患者さまへ充分な情報を提供し、自己決定権を尊重します。
5. 地域の医療機関と協力し、地域の皆さまの医療・福祉健康増進に貢献します。

 <病院概要>

名 称

社会保険 鰍沢病院

所 在

〒400-0601 
山梨県南巨摩郡鰍沢町340-1

TEL

0556-22-3135

FAX

0556-22-3884

病床数

158 床 (一般154床、感染4床)

診療科目

内科・外科・整形外科・小児科・脳神経外科・放射線科・リハビリテーション科・消化器科

病院HP

http://www.zensharen.or.jp/kajb/index.html

地図

●JR身延線鰍沢口、バスで5分
●中央道甲府南インターから車で30分

2009.01.01 掲載 (C)LinkStaff

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