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頼りにされる地域医療を
医療法人財団興和会 右田病院

 右田病院はJR八王子駅から商店街を抜けて10分ほどの、甲州街道の宿場町だった旧市街地に位置する。八王子市は繊維産業が栄えた時代から、都心のベッドタウンとして新しい住民を迎え、また20を超える大学のキャンパスを擁する街へと大きく変貌を遂げた。右田病院はそういった地域の移り変わりを見守りながら、約90年にわたって地域医療を支えてきた。初代の右田興根昇院長は、現在の右田隆之院長の祖父にあたり、理事長が父である右田徹先生である。兄の右田敦之氏が常務理事を務めており、地元には世代を超えたつながりを持つ患者さんも多い。
 このような地域にあって、クリニックと大学病院や専門病院との間に立つ、一般外来と病床を持つ病院として、地域の人たちがかかりやすく、頼りにする病院としての存在意義を守っていこうとしている。

◆ 右田 隆之 院長プロフィール

1989年に東北大学医学部を卒業する。卒業後3年間は研修医として東北各地の関連病院を回る。1992年東北大学医学部第一外科に入局し、大学病院と関連病院で診療する。関連病院では一般外来などで患者さんの全体を診る機会が多く、専門の消化器外科のみでなく総合的な診察にあたる経験を積んだ。1999年に埼玉県立がんセンターに移り、食道がん、胃がんを中心とした手術を数多く執刀する。2002年に副院長として右田病院に入り、2006年に院長に就任した。

  <病院の沿革>

 右田病院の前身は1919(大正8)年、現在の位置から少し西側に開設された皮膚科・泌尿器科の診療所だった。その後、1933年に外科が導入されると救急医療も始め、1945年8月2日に八王子空襲に遭ったが、空襲を見越して予めストックしていた医薬品などを使って、2週間後には診療を再開したという。
 戦後には内科も増設し、1952年に医療法人財団興和会を設立した。1980年に市内に東京医科大学八王子医療センターが開設されるまでは八王子地区の救急医療を担っていたが、その後、3次救急は医療センターに委ね、2次救急までを行っている。
 「本館の建物の建て替えがずっと懸案にはなっているのですが、病院機能を維持しながらの建て替えというのは難しいんですね。かといって旧市街地のこの地で長く診療を行っているので、これまでの患者さんから離れて郊外に出てしまうこともやり難く、悩ましい問題です。別館を建てて、一部の機能を移したほか、院内のレイアウトを変更して使いやすくするなどの工夫で凌いできました。このほど健診機能を強化するに当たって健診クリニックを開設するのですが、それも外部に新設しました。」

 以前は救急を受けていることもあって急性期の患者さんが主流だったが、近年は高齢者の比率が高くなっている。医療政策としては在宅にシフトしていきたいという流れではあるが、現実的に核家族化し、女性が仕事を持つことが当然になっている現在、家庭の状況が在宅で病人を受け入れる体制にない。そこからはみ出してしまう患者さんに求められている、中間的な病院としての役割を受け持っている状態である。

  <病院の特徴>

 病院理念として「地域のコンビニエンス・ホスピタル」を謳い、地域住民が体調を崩したときに気軽に頼りにするような病院を目指している。この地で90年近く診療を続けているだけに、「右田さん」と呼んで親しんでいる地域住民が多い。そのような人たちが、「とりあえず診てほしい」と来院し、「ここにくれば何とかなる」と頼ってもらえるような病院でありたいと考えている。
 「がんセンターにいたときに、『実際に執刀して治してくれた』と、患者さんが大変感謝してくださるのですが、私はむしろ『ここにがんができていますよと診断をつけてくれたお医者さんに感謝してください』と言っていました。専門病院は既に病気が確定した患者さんを手術などで治療すればいいのですが、その前の段階ではいろいろな可能性を視野に入れながら検査をして、病気を特定することが非常に難しくて、大切なのです。右田病院はそれを気軽にやってもらえる身近な病院になりたいと思っています。その上で、これまで培ってきた大学病院や専門病院とのつながりで、患者さんを紹介することもできますし、大きな病院での治療を済ませた患者さんが戻ってきて、私どもでその経過を見ることもできます。」

 右田病院のある地域は八王子の旧中心市街地なので、自ら「土着」と呼んでいる代々この地に住む人たちと、近年増えているマンションの住民たちとが混在するところである。またアクセスがよく、小回りの効く、信頼できる病院としての役割を担っていく病院でもある。
 「ただし理念の文言については、最近『コンビニ医療』と言われているような、24時間同じ体制で外来の患者さんを受け入れる意味で受け取られると困りますので、再考の余地を残しています。」

 診療科目としては、消化器科、整形外科、肺がんを中心とした呼吸器科が主要な3本柱となっている。しかし、それぞれの専門性を追究しながらも、初期診断を的確に行う役割を大切に考え、患者さんを全体として診ることに重点を置いている。そのために画像診断設備を初めとした診断機器を、新しい技術を追いかけながら充実させている。又、在宅回帰を促すために、リハビリ施設の拡大を図っています。
 これに加えて2008年5月から開設の健診クリニックでは、特に乳がん検診にも力を入れている。八王子市全体を見ると、乳がん検診の受診率は低く、「八王子市の女性を乳がんから守る」をスローガンに、マンモグラフィとエコーを採り入れた検診を行い、異常の見つかった場合には右田病院で精査、治療を行うか、あるいは他の医療機関を紹介するような体制をとっている。

 また、診療所から紹介された、検査や治療の必要な患者さんを受け入れる病診連携は、病院90年の歴史を通して密接に行われているほか、東京医科大学八王子医療センターや東海大学医学部付属八王子病院などとの病病連携も盛んである。大きな病院では相談室などの形で連携のシステムを作っているところもあるが、実際はあまり機能していないところも見受けられる。しかし右田病院の場合は地元医師会の中でも、大学病院などとも、医師同士のフェイス・トゥ・フェイスの付き合いがあるため、人のつながりでの連携ができるメリットがある。時には院長が自ら病状説明に出向いて引き継ぐなど、人の温もりとともに患者さんを受け渡ししていくような、本来の意味での地域の中での連携が育まれていると言っていいだろう。

  <医療制度について>

 院長としては、まだ理想とする医療が充分にできていないと感じている。その原因のいちばん大きなところが人材不足である。
「これには診療報酬という形で評価されないというファクターがあります。患者さんを全人的に診て初期診療するというのは、とても重要で難しいことなのですが、診療報酬では報われていないのです。この点の制度改革は必要だと思います。」
こうした点について、今後の日本の医療を見直していく必要を感じている。

 <課題とその対策>

 現場での最大の課題は人材確保だ。医師、看護師ともに、恒常的に求めている状況にある。
 「時代は専門性を重視する傾向にあります。しかし、私が医師や看護師に最も期待するのはこの人を助けたいと思う心です。もちろん専門的な知識や技術が高いに越したことはありませんが、最高の医療技術がその患者さんの求める人生に合っているとは限りません。ひとりよがりの医療はしたくないので、患者さんの満足を一番に考えられる人に来てほしいですね。」

また院内教育の課題としては、病院スタッフも患者さんも長い人が多く、親しさが過ぎて、つい友達づきあいの延長のような関係になってしまうところがあるので、改善していかなければならないと考えている。
 「それはそれでよい面もあるのですが、新しい患者さんや若い人にとっては疎外感や入りにくさにつながりかねないことを考慮しますと、接遇を見直す必要がありますね。」

 理事長が今年の年頭の辞に挙げた安全管理の徹底については、改めて対策を見直している。安全管理の基本は責任の所在をはっきりすることであると考え、その徹底から始めている。

  <今後の目標>

 「人を全体的に見て初期診断に力を入れていくという基本は変えません。中心となるのは消化器、整形外科、肺がん、乳がんですね。そして初期診断に傾注するため、人材確保とともに中期的な目標として考えているのが病院の建て替えです。建物が老朽化しているということもありますが、現在入院の在院日数が平均15日で、これはスタッフにも患者さんにもストレスがかかっているのは事実です。もう少し長く入院で診られるような病棟を作りたいですね。また、在宅診療が不可能なケースをカバーできるような終末期医療の病棟を持てるように、ハコ全体を刷新する必要があります。」
 右田病院のロゴマークは3つのハートと十字である。3つのハートは「誠実・思いやり・奉仕」を表している。これを実現するべく、器もその中を埋める人も、一層パワーアップしたいという方向性をもっている。

  <求職中のドクターへ>

 「患者さんとの触れ合いを重んじた医療を実践しながら仕事をしたいと考えている医師は大歓迎です。患者さんを病気だけではなくヒトとして診たいという方は、きっと自分の理想とする医療をいい雰囲気の中でやっていけます。また専門診療を中心に行ってきた人でも、私のほかにもうひとり全人的な一般外来を得意とする先生がいるので、専門性を生かしていくこともできると思います。」
 八王子は54万の人口を抱え、都市機能が充実していながら、高尾山をはじめとした山や多摩川などの自然も身近に感じられて暮らしやすいところでもある。この地で、志をひとつにして医療を行える医師に来てほしいと院長は考えている。

  <病院概要>
経営主体 医療法人財団興和会
所在地 〒192-0066  東京都八王子市本町13-2
代表電話 042-622-5155
FAX 042-623-9650
理事長 右田 徹
院長 右田 隆之
開設 大正8年
標榜科目 外科・整形外科・内科・消化器科・呼吸器科・循環器科・泌尿器科・皮膚科・肛門科・リハビリテーション科
病床数 一般病床82床
職員数 130名
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2008.05.01 掲載 (C)LinkStaff

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