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夢は「愛と癒しの病院」
ヘリオス会病院


大地母神ガイアと天空神ウラノスの血を引く、太陽神ヘリオス

真紅に燃える炎の馬車を駆り、天空を東の果てから西の彼方へと翔けぬける

地上すべての存在に、光を与え、あたたかさを運び、笑顔をもたらすために

惜しみなき愛、尽きせぬ癒し

その恵みは一日たりとも欠けたことはない

生きとし生ける者への慈愛と祝福―――その御名に、希望への祈りを込めて

 

 ヘリオス会病院は今年で設立18年目。平成とともにその歩みを刻んできた。「愛と癒しの病院」を理念に掲げ、療養型を中心に患者の心によりそう医療を続けている

 森田仁士院長は1955年高知県生まれ。医学博士。79年埼玉医科大を卒業し、同大脳神経外科学教室に入局。86年、日本脳神経科学会専門医。
 その後、米国ロマリンダ大学脳神経外科への留学を経て、89年ヘリオス会病院を設立、理事長兼院長に就任。「愛と癒しの病院」実現にまい進する一方、日本青年会議所・医療部会の一員として、ネパール・ベトナム・中国などで医療活動を展開。95年には同部会の会長に就任し、医療による国際貢献に尽力した。
 2005年にはNPO法人「アンナプルナ・ヘルス・プロジェクト」を設立。ネパールでの診療所建設と医療の普及のため、心血を注いでいる。


森田 仁士 院長



  <病院の沿革> ――経営再建から 理想の病院建設へ――

ギリシャ神話の太陽神・ヘリオス
院名には理想の医療への祈りが
(ロードス島の古代通貨より)

 アメリカ留学中だった森田先生に病院の引継ぎの話が舞い込んだのは1989年。昭和天皇が崩御し、元号が平成になった頃だった。先生は要請を受諾。銀行の融資を受けて病院を買い取り、「ヘリオス会病院」として新生する。
 だが元々が経営不振の病院、建て直しは容易ではなかった。
「194床ある大きな病院なのですが、病院としての理念やコンセプトが曖昧でした。人手が足りないため質の高い医療もできません。昔ながらの老人病院という感じで療養環境も悪かったのです」
 森田院長はまず人材の確保に取り組んだ。当時埼玉医大はまだ歴史が浅く、招聘できるOBが少なかったが、後輩に声をかけるなどしてスタッフを拡充した。また医療内容についても、手術体制と救急医療の確立に力を入れ、脳神経外科を専門とする院長自ら陣頭指揮をとった。

 院長は同院以外のフィールドでも精力的に活動し、日本青年会議所医療部会の一員として海外医療に取り組んだ。ネパールでの体験では、自身の医療への志を新たにする。またアメリカ医療界の風雲児、パッチ・アダムスとの出会いを経て、目指すべき理想の病院像が鮮明になった。コンセプトは「愛と癒しの病院」である。
「血の通わない冷たい病院では駄目です。患者さんにとっての温かい家でありたい。芸術に触れて心を豊かにできる空間も大切ですし、患者さん個々のできる範囲で生きがいを持ってもらいたい」
 こうして2000年8月、ヘリオス会病院は新たに施設を増設。病床は194床から273床に増加し、より多くの人々を受け止めることが可能となった。


病院概観
 
  <病院の特徴> ―― 芸術と笑いを生かした癒しの空間 ――


患者の心によりそうコミュニケーション

 標榜科目は内科、小児科、外科、脳外科、整形、麻酔科、リハビリ科。全273床のうち一般病床が93床、療養型が180床であり、後者では認知症の患者も多く受け入れている。
 日本では、この認知症患者たちのQOL(クォリティー・オヴ・ライフ)がないがしろにされていると、
院長は言う。
「QOLという言葉の本来の意味は何か。北欧の病院ではそれを『自分の意思で何事も決定できること』と定義しています。日本では認知症患者たちの管理が重んじられるあまり、その意思が二の次にされてしまっているんです」
 確かに認知症患者は対処が難しい行動をとる。徘徊はもちろん、異物を口に入れる、他人の食事を横取りする、あるいは便をこねる―――いろんな事が起きる。その上、意思を上手く表現することができない。やむを得ず抑制(つまり拘束)する医療機関も多くあるという。

「たとえ認知症患者であろうと、彼らの中には意思がしっかり生きていることを忘れてはいけません。あくまで上手く表現できないだけなのです」
 同院のスタッフは粘り強く認知症患者とコミュニケーションを取り、その意思を尊重した介護を続けている。
 癒しの環境も同院の持ち味だ。院内のいたるところに絵画が飾られており、定期的に開催される音楽会も入院患者の大きな楽しみである。また病院裏には農園もあり、体が動かせる患者に園芸療法を提供することも可能だ。
「様々な研究結果から、笑いが免疫機能を高めるということが判っています。またストレスの除去が病気からの回復につながるという説もあります。それだけに患者さんの心を包み込む、あたたかい家庭のような病院でありたいと思うのです」

 また心を癒すと同時に、患者の能動的行動を引き出すことも目指している。動くことが生きがいになれば、QOLの向上にもつながるからだ。園芸療法などはもちろんだが皆が集うリハビリテーション室には、何とパチンコやマージャンの卓まで備えてある。
 その他にも、温かい食事と清潔なトイレの提供に努力し、また照明を調整してヒーリング効果を持たせるなど、環境改善の努力は欠かさない。ヘリオス会は冷たく無機質な「ビョウイン」のイメージを乗り越え、「愛と癒しの医療」を提供し続けている。


院長自ら患者と交流

 院長がこうした病院作りを目指す契機になったのは、アメリカの医師、パッチ・アダムスとの出会いだった。金儲け優先の医療に疑問を抱いたアダムス氏は、愛とユーモアによる医療を追求する人物。無料でサービスを受けられる病院「ゲズントハイト・インスティチュート」の設立でも知られ、その斬新な医療活動は映画化されたほどである。
 アダムス氏は院長に対し、診療費無料の病院についても熱く語った。それを聞いた院長の脳裏に一つの考えがひらめく。
「日本はともかくネパールなら、あるいはできるのではないか?」

 
  <医療による国際貢献> ――ネパールに診療所を!!!――

診療所の定礎式(01年)
左端が院長。右端はなんとネパール保健大臣!

 日本青年会議所・医療部会の一員としてネパールに渡っていた院長は、現地での診療や、日本脳炎ワクチンなどの医療品の供与に携わっていた。そんな時、現地の政治家から話を持ちかけられた。土地を無償で提供するので、診療所を建てて欲しいというのである。
 ネパール王国は総人口2,150万人に対し、医師はわずか2,000人と1万人に1人の割合にすぎない。しかもそのほとんどが首都・カトマンズ近辺に在住し、それ以外の地域は近代医学の恵みを享受できずにいる。病人は古くから伝わる漢方薬を煎じたり、あるいは祈祷師の祈りやお告げに頼る以外に道がないのだ。

 このネパールこそ医療機関が必要だ―――院長は思い立ち、特定非営利活動法人「アンナプルナ・ヘルス・プロジェクト」を設立、ネパールでの診療所建設の準備に取り掛かった。
 異国でのこうした試みは、もちろん大きな困難を伴う。ましてネパールは貧困にあえぐ国家であり、政情も不安定な状態が続いている。費用も当初の見積もりより多く必要になり、法人の会費だけでは足りず病院から持ち出している。
 それでも院長の志は挫けることがない。ネパールの人々に医療の恵みを届けようと、日々奮闘を続けている。


車椅子も贈呈
 
  <院長の理想> ――愛と癒しの医療に向かって――

病院裏の園芸場
優しい環境が患者を包む

◆あるべき終末医療とは?

 日本は高齢化にいよいよ拍車がかかり、老人介護・福祉の役割が今後加速度的に増大するのは間違いない。そうした中、終末医療のあり方についてはまだまだ議論が必要なところだ。
 今年3月、富山県の射水市民病院で、延命措置の中止によって7人の患者が死亡していたことが発覚した。尊厳死か?あるいは殺人か?世論は大いに揺れ動き、今も混乱は続いている。
 森田院長は、こうした問題の背景に、2つのコンセンサス(合意)の欠落があると話す。
「一つは、病院内での終末医療に対するコンセンサスが欠けています。本来こういった問題は外部からの指摘で発覚することが多いのですが、今回は内部告発でした。一つの病院でありながら、内部に統一した見解がなかったということですね。

 二つ目は、国民の間でのコンセンサスもないことです。『尊厳ある死とは何か?』ということについて、スタンダードな基準がないままここまで来てしまっているのが問題です」
 社会全体
、老いと死についてより突き詰めて考えていく必要がある―――福祉社会として成熟するカギも、そこにあるのだろう。

◆チベット人看護学生が見せた「愛と癒しの医療」

 ヘリオス会病院では、2人のチベット人女性看護師資格取得できるよう支援している
 チベット難民二世である彼女たちは、知人を通じて院長に紹介された。いずれも看護師を志望しており、日本で働きながら技量を身につけたいのだという。
「看護師になって、チベットの皆を助けたいのです」


 祖国を想う純粋な心に院長は大変な感動を覚え、同院の宿舎を廉価で提供するなど、日本生活を支援することを決めた。2人はその期待に応え、2005年に准看護師学校の入試に合格。現在は学業と病院業務の手伝いを両立させている。
 彼女たちのひたむきな仕事ぶりについては、こんな信じられない話がある。同院には3年間寝たきりで動けず、全く無表情のままでいる男性患者がいた。2人は深い愛情で接し、たどたどしい日本語で熱心に励まし続けたのだという。
 そして3ヶ月が経ったころ、2人はいつものように言葉をかけた。


ひたむきに学ぶチベットの2人
その姿勢には指導看護師も感心する

「今日も会えて嬉しいです。私たちはあなたが大好きですよ」
 すると男性は、彼女たちに微笑みを返したのだ。
 目の当たりにした奇跡に、職員たちは驚きを隠せなかった。院長も彼女たちの献身的な姿勢に深く感嘆し、理想の病院づくりへの想いを新たにしたという。

 愛と癒しの病院―――はてしない努力の向こうに、きっとそれはある。

 


ヘリオス会病院の求人情報はこちらまで

◆チベットでの診療所建設・運営支援を目指す
NPO法人「アンナプルナ・ヘルス・プロジェクト」

公式サイトはこちら→ 
http://health-post.hp.infoseek.co.jp/

 
  <医療理念>

◆ 5つの信条

1.患者様の尊厳をお守りします
2.
適切な医療をご提供します
3.あらゆる情報をご提供します
4.患者様の意思(選択・判断)を優先します
5.不平には誠実にお答えします

 
  <アクセス補足>

鴻巣駅東口より
・朝日バス「真名板十字路」行、又は「新落合橋」行
・「ヘリオス会病院前」下車


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2006.05.01 掲載 (C)LinkStaff

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