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救急から緩和ケアまで 地域の中核病院として
公立阿伎留医療センター

 公立阿伎留医療センターは東京都西部の「あきる野市」に位置する。あきる野市、日の出町、檜原村から組織される組合で運営される公立病院だ。2006年8月にオープンした新病院は最寄り駅からもよく目立っているが、中に入ると外光を多く取り入れ、壁の色調も明るい院内に驚かされる。緩和ケア病棟や救急体制も新たに充実させ、地域の中核病院としての存在を高めている。

また医師の臨床研修を始め、看護学校や薬学部の実地研修、救急専門医による地域の救急隊への講習会など、研修にも力を入れている。

今回、2003年2月から院長を務める岡田清己院長にお話を伺った。


●岡田 清己 院長 プロフィール



岡田 清己 院長

 
  <病院の沿革>


病院外観
 公立阿伎留医療センターの原点は、1923年 (大正12年) 、西秋留村、多西村、平井村、増戸村及び五日市町の五ケ町村により「西秋留村外四ケ町村病院組合」を設立し、東京府より設置許可を受けた事に遡る。そして1925年4月10日、単独伝染病院を開院(伝染病床21床)。初代院長には東京府立駒込病院より犬塚道夫氏が就任した。

当時の東京府では、赤痢を始めとし、チフス、天然痘、肺炎、脳脊椎膜炎といった伝染病が多く、その予防に力を入れていた。同院も伝染病の予防及び治療に関する共同処理を目的として設立されている。

その後、昭和20年代には、伝染病に代わり結核が蔓延したため、その治療が中心となる。更に昭和30年代以降は、高度経済成長の進展とともに、結核の予防法や治療法の進歩普及により罹患率が低下したため、伝染病床及び結核病床を一般病床に転用し、一般疾病の治療に重点を置いた医療を展開してきた。

 1969年には一般140床、結核56床、伝染34床に変更。1972年、秋川市に移転。この時期には「秋川市の病院」として発展してきた(1995年に秋川市は現在の「あきる野市」に合併された)。1983年には「総合病院」の承認を受けている。

  「かつて中年世代が中心だった患者層も近年、高齢者が中心となり、疾患もがん・心疾患・脳血管疾患等が増えてきました。医療制度の変革や医療に対する患者意識の変化も合わせ、古い病院では対応できないとの考えが出てきたのです。この為、1999年に公立阿伎留病院建設検討委員会を設置。翌年には『公立阿伎留病院病院整備事業基本計画』が完了しました」

  その後、2004年には管理型臨床研修病院として医師臨床研修を開始。2005年8月22日には財団法人日本医療機能評価機構から病院機能評価の認定を受けている。

そしていよいよ、2006年8月1日、病院の名称を「公立阿伎留医療センター」に改め、新病棟をオープンした。一般病床310床(うち緩和ケア病床16床)。診療科目は19科に及ぶ。急性期から亜急性期をカバー。地域および東京都を含めた広域の医療を担う施設と位置づけている。





広々としたエントランス・ロビー
 
 
  < 病院の特徴>
◆電子化

  「電子化には色々な段階があり、メリット・デメリットもありますが、当院は将来性を踏まえ、オーダリングや医事会計に加えて、カルテ・レントゲン・心電図を電子化しました」
最初の3ヶ月間は紙のカルテとの併用で運用しているが、11月以降は原則として電子カルテ一本でいく予定である。
「まだ私たち医療側も不慣れな面もありますが、客観性と信頼性の高い記録になるはずです」



◆患者にやさしい病院

 外来はいくつかの科目からなる5つのブロックに分かれている。
「小児科を一番分かり易い場所に置き、また合わせて受診する事の多い科目を隣り合わせて設置するようにしました」
  また、個人情報保護を考慮して患者名は呼ばず、外来の順番が来たときには、番号を表示すると同時にチャイムが鳴るシステムだ。
「高齢の患者からは『分かりにくい』という声もありますが、そういった方には看護師がそばに行ってご案内するようにしています。自分が患者だったとすれば、その方が嬉しいだろうと思うのです」




小児科待合室


壁に浮かび上がる「影絵」



サンクンガーデン



特別個室



緩和ケア病室
 目を引くのは「ホテルをコンセプトにした」というおしゃれで綺麗な院内だ。全体的に窓が多いため外光が注ぎ込み、壁の色などとも合わせ、非常に明るい雰囲気になっている。壁には様々なアートやオブジェがあり人々の目を和ませてくれるが、中でも特徴的なのが各時0分になると鳥や子どもの姿などの「影絵」が現れる壁面レリーフ(浮き彫り)だ。噂に聞いた人はつい、次の0分まで院内で待ってしまうかも知れない。

  「確かに費用的な事も気にはなりますが、病気の方は少しでも柔らかい雰囲気が欲しいと私は思います」

ちなみに取材日、ご自慢の「特別室」には患者さんが入院した為、見学はできなかった。3階の中庭や、ちょっとしたイベント会場を思わせる「サンクンガーデン」など、アメニティに力を入れている事が見て取れる。職場として女性の人気も高そうだと思って質問してみると、案の定「看護師さんは募集に対して、割と早く充足しました」との事だった。

院内のレストランでは、自家製のパンも販売している。



◆緩和ケア病棟

 新病院では「末期がん患者を受入れたい」という院長らの意見が反映され、緩和ケア病棟が新設されている。この地域の公立病院としては、珍しいものだ。
「緩和ケアに対する考え方も非常に幅広いものがありますが、当院では癌研(財団法人癌研究会)に近い考え方です。当初なかなか医師が決まりませんでしたが、今は専門医2人体制で取り組んでいます」


◆救急体制

 また終末期とは対極の救急体制も充実させている。
「以前は内科医・外科医で対応していましたが、現在は救急専門医2人が常駐しています。必要に応じて脳神経外科、整形外科、外科などと連携します。また専門医が積極的に地域の救急隊などに対し、講習会を開いています」


◆研修・教育

 新制度開始当初から管理型臨床研修病院として研修医を受入れている。現在では1年目2年目を合わせ4人の研修医がいる。精神科に関しては診療科目にない為、近くの病院と連携している。
「臨床研修に関しては副院長が非常に熱心に取り組んでいます。また、当院の特徴は、へき地医療が経験できる事です。檜原村の診療所で研修できます。これは貴重な体験になると思います」
また、医師だけでなく看護学校や薬学部の実地研修施設にもなっている。歯科衛生士の研修という話も来ているそうだ。


  院内においても、月曜日に医師全員が集まり勉強会を行っている。最近の医学の話題に関して認識を深めるのが目的だ。
 
  <運営・経営方針>

 「地域連携に力を入れています。地元の医師会とも連携を密にしており、私は医師会の会合に出るようにしてますし、医師会の先生方も当院の勉強会・カンファレンスに出て来られます。会合に出ると様々な要望を受けます。それも前向きに捉えて改善に繋げていこうと思っています。
当院でのOB(元勤務医)で開業されている方からも愛着を持たれていますので、当院の設備を利用していただくなど深い連携を保っています。喧嘩別れなどという事はありませんので(笑)」
更に院内のマネジメントに関しては
「病院の問題に関して、不定期ですが皆で集まり、解決の道を探ったりしています。今後は問題の取り上げ方を更に具体的にしていこうかとも考えています。また、幹部会での議事録を各課の課長を通じて一般職員にも周知させる事で情報共有を図り、病院の課題に対して共通意識を持たせるようにしています。情報を隠しがちな病院もあるようですが、うちはオープンですよ」

また、新年会、納涼大会、職員旅行といった院内行事で異職種の交流を図っているとの事だ。



熱を込めて語ってくれた岡田院長


リアニック
◆課題

 「何といっても人材確保、中でも医師の確保が当面、最大の課題です。これを解決しないと病院の経営・将来は明るくならない。医師にとって『こういう患者を診たい』と思えるような患者さんが集まっている病院は魅力的です。でもこれは『鶏と卵』で、医師がいてこそ患者さんが集まるわけですからね。

  また基本である医療安全管理に関して、病院を挙げて取り組んでいます。皆で刺激し合って、もう一度新しい目で見直していかないと、ついマンネリ化してしまいますので」

◆今後の展望

  「最も難しい病気の一つはやはり『がん』でしょう。当院は『がん治療』に関してこの地域の中心的な存在になりたいと思っています。初期から末期まで一貫して取り組んで行きたい。ここでも医師確保がテーマです。化学療法は本来、内科系の医師が取り組むべきですし……放射線治療に関しては『リニアック』という非常に良い機械を導入し、非常勤医による運用を開始しましたが、専任の常勤医が欲しいところです」
 

◆メッセージ

 当院は、東京都西多摩医療圏の中核病院として、地域の高度医療・救急医療を担っています。

  現在、旧病院棟を解体中ですが、2007年3月末にそこに300台分の駐車場がオープンする事で今回の工事が完了します。隣接地に大規模な商業施設も計画されており、生活にも便利な場所になります。もちろん、都心へも1時間程度でアクセス可能です。

スタッフ全員で心を込めてお迎えいたしますので、是非ご応募ください。
 

公立阿伎留医療センター

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病院WEBサイト http://www.akiru-med.jp/index.html

岡田 清己 院長

岡田清己院長は1961年東京大学医学部を卒業後、翌62年東京大学医学部附属病院泌尿器科に勤務。68年米国ニューヨーク医科大学泌尿器科への留学を経て、74年日本大学医学部泌尿器学教室助教授。86年には同教室の教授に就任した。95年日本大学医学部附属板橋病院病院長。2003年2月に公立阿伎留病院に院長として迎えられた。2006年8月より現職。日本大学医学部名誉教授。

 
 
  <病院の理念>
理念
  公立阿伎留医療センターは、地域のみならず東京都を含む広域の住民を対象とし、急性、亜急性疾患に対し、高度の医療水準を有し、かつ、病む人が満足できる療養環境を提供する病院となることを目指す。
基本方針
  1.医療の提供
本医療センターは、公的病院として、“病む人のための医療”をめざし、病む人の満足が得られるように心懸けます。

2.医療安全管理体制
本医療センターは、院内の安全体制の徹底化により、医療人すべてが細心の注意を図り、病む人が安心してかかれるように努めます。

3.地域医療連携
本医療センターは地域医療の中核病院として、かつ、広域医療も含め、近隣医療施設との連携を保ち、特に地域住民の健康に賦することに努めます。

4.生命の尊厳
本医療センターは医学の基本に則り、標準的、普遍的な医療を全うすると共に、生命の尊厳を重んじた積極的な医療を目指します。

5.医療水準の向上
本医療センターは、医療水準の向上、維持を図り、臨床病院として“良き臨床医の育成”にも努めます。
 
  <アクセス補足>

◆電車 JR武蔵五日市線 武蔵引田駅より 徒歩5分

◆バス 公立阿伎留医療センター内に乗り入れ予定です。

◆自動車 首都圏中央連絡自動車道 日の出インターより 3分

2006.11.01 掲載 (C)LinkStaff

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