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地域医療連携を第一に即是道場の精神で
医療法人社団 シマダ 嶋田病院

 嶋田病院は福岡県中部の小郡市にある。小郡市は九州最大の米どころである筑後平野に位置する人口約6万人の街で、福岡市まで車で40分と近いことからベッドタウンとして発展してきた。嶋田國重現理事長が1962年に嶋田外科医院を開院し、嶋田病院の歴史が始まった。開業当時は田園風景が広がっており長閑であったこの地域も、今ではJR鹿児島本線と平行に走る西鉄大牟田線の小郡駅の近くということもあり、賑わいを見せている。
嶋田理事長は開業以来、患者さんのニーズに沿うように様々な改革を行ってきた。高齢社会が急速に進展するなか、現在の嶋田病院は開放型病院、救急告示病院として地域住民が安心して医療を受けられるように広域の医療機関と連携した地域医療を通して社会貢献を実現している。
今回は、島田昇二郎院長(※嶋田理事長と血縁関係はない)にお話を伺った。

◆島田院長 プロフィール

 島田昇二郎院長は1956年に長崎県佐世保市で生まれた。1981年に久留米大学医学部を卒業後、同大学第2外科に入局する。その後、順天堂大学胸部外科、国立久留米病院、国立病院九州がんセンターを経て、北九州中央病院に勤務する。1990年に久留米大学医学部附属病院に移る。1997年に嶋田病院に勤務し、1999年に院長に就任し、現在に至る。

  <病院の沿革>

 現在の理事長である嶋田國重氏は久留米医専(現久留米大学医学部)を卒業後、町立太刀洗診療所に勤務し、医師としてのスタートを切った。そして久留米医專に近い三井郡小郡町(現小郡市)に1962年9月に嶋田外科医院を開院する。当時のこの地区は農村地帯であり診療施設が少なく、交通事情の悪さゆえ隣の久留米市の病院まで行くのにも非常に時間がかかっていたという。そういった患者さんからの不便さを訴える声を耳にしたことが開院の理由であったそうだ。また患者さんの大半が農業に携わっていたため、夜遅くにしか通院できない人が多かった。理事長には「365日24時間患者さんを診察できる、基幹となれる病院を作っていこう」という思いもあったという。
開業地については今も親交のあるクリーニング業者から紹介してもらい、見学に行ったところ、一面の麦畑に「ここだ、ここしかない」と感じられたという。「この広い田園地帯の真ん中に自分の病院を建てるぞ。ともに働いてくれる若い同士たちとともに、ワイワイガヤガヤと活気ある楽しい病院を作りたい」と思ったそうだ。その後、周囲の環境も随分変わった。交通網も整備され、工場の誘致などもあって徐々に人口も増加していく。1972年には小郡町から小郡市に昇格し、街の規模も広がった。
患者さんも増加し、1976年には嶋田外科病院と改称する。診療科目は外科と胃腸科であった。同年に救急告示病院の承認を受け、1979年に嶋田病院と改称する。診療科目も内科、整形外科、肛門科を増科し、充実させた。その頃から患者さんのニーズに合う医療設備の充実を図る。1980年頃より頭部、全身用のCTスキャンを導入したのはその例であろう。1988年には医療法人社団シマダ 嶋田病院と改称する。その後電子内視鏡、マンモグラフィー、カラードップラー等の設備を順次導入していった。
1998年7月に開放型病院として施設基準が承認され、2001年には遠隔画像診断を開始し、地域の医療施設との厚い連携が可能になった。現在は病床数150床・職員数220名を有する総合病院として、また地域の急性期病院として、理事長が開院当時掲げた目標を凌駕しようとしている。

  < 病院の特徴 >

地域医療の使命感

嶋田病院は開放型病院として病診連携を積極的に進めている。従来は病院から半径約3km以内の患者さんが対象であったが、現在では小郡市内77の医療施設の医師と連携して、患者さんへ対応しているという。5年前の外来患者数は1日約300人だったが、連携を進めることで現在は約150人と半分になった。その反面、高度な治療や手術などを行うケースが多くなっているという。昨今、問題になっている「病院に紹介したが、患者さんが帰ってこない」というケースがないように、紹介患者さんの情報は紹介元の診療所や医院に必ず返し、それをチェックする仕組みも整えている。現在の紹介率は60%前後である。
ただここに至るまでには苦労もあった。10年程前から地域の医療施設を訪問して患者さんの紹介を依頼したが、地域の開業医に理解を求めることが困難であった。一方、患者さんからも「嶋田病院で診察してもらいたいのになぜ診てくれないのか。あなたたちの都合ではないか」「儲からないからみてくれないのだろう」「患者には病院を選ぶ権利はあるはずだ」など様々な意見を出され、受け入れてもらえなかった。
そういう患者さんに対しては真摯な気持ちで話を聞き、説明した。島田院長は言う。「患者さんが納得されるためには、患者さんご自身がこの連携プレーを実感されることです。地域の先生方と私たちがいつも連絡をとりあっており、患者さんの情報はみんなで共有していることを実感されると納得していただけます。」また開業医に対しても、紹介してもらうばかりでなく逆紹介も積極的に行っている。受付の前に患者さんの目に付きやすいように置かれている、ラックで整理された地域の医療施設のパンフレットはその姿勢の表れであろう。
また開放型の病院として医療設備の充実を図っているが、地域の開業医がこれらの医療設備をどこまで使うことが出来るのか、どういうことを嶋田病院に求めているのかを、勉強会などのコミュニケーションの場を通じて共通の認識を持てるような努力を怠らない。その努力ゆえに徐々に理解が得られたという。
「この小郡市の患者さんを平等に、効率よく診てあげる。そのためには機能分担することが一番大事なのです」と院長は目を輝かせて語る。

専門科目の充実(消化器・循環器)

嶋田病院では多くの標榜科目を掲げているが、特に力を入れているのが消化器科と循環器科である。消化器科では内視鏡診断・治療に傾注し、特にがんについては早期発見を第一使命とし、発見された場合には内視鏡治療や腹腔鏡治療などの低侵襲性手術を行う。内視鏡センターを開設し、上部・下部内視鏡検査の介助を中心に逆行性膵・胆管造影、内視鏡的止血術、早期癌の内視鏡的粘膜切除術、その他多くの内視鏡的検査・治療の介助を行っている。
消化管内視鏡検査は上部・下部併せて年間約3000件にのぼり、嶋田病院の大きな柱となっている。また設備については2006年もオリンパスの新型内視鏡システムを導入した。これはハイビジョン型内視鏡システムともいうべき装置で、従来の装置と比較してもはるかに組織がはっきり見える。これによりESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の治療が一層充実した。ただ進行度合いの大きながんなどは近くの久留米大学病院を紹介し、機能分担を徹底する。
また循環器科では急性心筋梗塞の患者さんが運ばれるケースが多く、緊急のカテーテル検査・カテーテル治療までを行う。心臓疾患は緊急を要する場合が多く、迅速な診療体制を第一に考えている。
他の科目については久留米大学を中心として各専門分野の医師を招聘し、呼吸器内科、肝臓病内科、血管外科などの専門外来を行っている。

医師である前に人間であり人間性を高めよ-「即是道場」の精神

嶋田理事長は人を育てたいという気持ちが強く「人間性を高めるために仕事をしているのだ」というのが口癖である。「即是道場」の意味は「仕事のどの場所、どの場面でも、人は修養を積むことはでき、どこでも道場となりうる。そうして人間性を高めていきなさい」ということだという。昨年には「病院を即是道場とする」という本も出版し、この精神を医師だけでなくスタッフにも広めている。
理事長は現在、医療の現場からは離れているが、若い医師を定期的に集めて「即是道場」の精神を講話し、また若い医師が抱えている問題を聞いてアドバイスを送っているという。その精神ゆえに嶋田病院は患者さんを一人の人間としてまた身内と思って診療に携わっているのだろう。一方で医師を始めとしたスタッフが「患者さんと真剣に接することにより人間性を高める」という図式を構築し、さらに地域医療を連携することで社会貢献を実現している。

  <運営・経営方針>


  「医療環境は大きく変化しています。医療機器、設備などはもちろん、医師の倫理、患者様の権利なども常に注目されるようになり、医療従事者はますますプライドと誠心誠意の心を持って、意識改革をしていくことが要求されますね」と島田院長は話す。
ホスピタリティ・マインド(おもてなしの心)、喜悦(患者さんの喜びを自分の悦びとする)、即是道場の精神(いつでも、どこでも修養)で医療に取り組むことが嶋田病院の方針である。
ただし具体的に早急にやらなければならない課題は山積している。1つは病院の屋台骨を揺るがす診療報酬の改定や療養病床の大幅な削減である。それに対応すべく、今年度は病床区分の変更を行った。内容は一般100床(亜急性期病床10床)、療養病床50床(回復期リハビリテーション病床)に加え、2階病棟を改装し、個室を4床増床した。看護基準も10:1から7:1へ変更し、ICUやHCUの開設も準備中であるなど、厳しい環境下にも耐えられる経営体質を改善しようと試みている。
2つ目はチーム医療の充実だ。現在は様々な病因が複合的に絡まっている疾患が多く、医師やスタッフが患者さんの情報を多方面から、また迅速に見られるシステム整備が必要になっている。遠隔画像診断システムを導入したことでかなり改善されたが、電子カルテに関しては今後の課題である。
嶋田病院では本年度よりDPC導入を準備。そしてオーダリングシステムを導入し、続いて電子カルテの導入となる。「電子カルテについては色々な業者から販売されていますので、自分の病院に合うものを選定するのも一苦労ですね。また導入当初におこるドクターのストレスなどの諸問題も想定されます。しかしこの病院のあるべき姿を考えると、早めに導入したいと考えています。」

  <今後の展望>

病診連携の強化

小郡市における地域医療の基幹病院としての役割が期待されている中で注力していくことは病診連携のさらなる強化です。開放型病院としてはまだ入口の段階だと思っています。啓蒙は進んでいるのですが、まだまだ私どもの考え方を受け入れてくれない患者さんもいらっしゃいます。
  物理的なシステムも未整備です。たとえば地域の医療施設と患者さんの情報の共有化を図るための電子カルテは不可欠です。本来ならば近隣の全ての施設に電子カルテが導入されネットワーク化されると、セキュリティの問題をクリアすれば、さらにタイムリーに、しかも効率よく診察することができるでしょう。しかしながら導入するにあたっては高いコストが必要で全ての施設が導入することは不可能です。現状では病診連携のインフラは十分とは言えませんが、あるべき姿に沿った形の情報システムの構築は当たり前のこととして、今後病院が生き残っていくために必要なものはドクターの質に尽きると考えています。

  <メッセージ>

 単なる医療行為ができる医師ではなく、人間味あふれ、患者さんに真面目に接することができ、地域医療や救急医療に興味を持たれている方をお待ちしています。近隣地区でのクリニック開業支援もさせて頂きます。

  <病院理念>
地域住民の方々が安心して医療を受けられるように、広域の医療機関と連携し地域医療を通し社会貢献していきます。
職員がやりがいを感じ喜んで仕事ができる病院を目指します。
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  <アクセス補足>


  

2006.10.01 掲載 (C)LinkStaff

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