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「病診連携」のさらなる強化へ
鈴鹿中央総合病院


浜田 正行 院長

 三重県鈴鹿市は東に伊勢湾、西に鈴鹿山脈を望む、美しい自然あふれる街だ。第二次大戦中は軍都として栄え、現在は豊かな自然を生かした農・工業で「みどりの工都」として知られている。また「鈴鹿サーキット」では、F1日本グランプリなどのレースが華々しく開催される。
今月紹介する三重県厚生農業協同組合連合会 鈴鹿中央総合病院は460床のベッドを有しており、鈴鹿市やその周辺の25万医療圏の中核病院である。急性期医療、高度医療に特化しながらも、在宅介護、訪問介護、予防医学の各分野で総合的な医療サービスを展開している。
浜田正行院長にお話を伺った。

浜田正行院長は1945年に三重県で生まれる。1969年に三重大学医学部を卒業後、三重大学医学部第一内科学教室に入局。その後、市立伊勢総合病院、三重大学医学部第一内科学教室助教授を経て、1990年に鈴鹿中央総合病院の前身である三重県厚生連中勢総合病院へ副院長として赴任する。1994年に鈴鹿中央総合病院院長(前年に移転、改称)に就任、現在は三重県厚生連理事、日本農村医学会常任理事、三重県病院協会理事、三重審議会委員などの役職も兼務している。専門は内科学、循環器内科学である。



  <病院の沿革>

 日中戦争の開戦翌年である1938年、鈴鹿市神戸(かんべ)に中勢病院が誕生する。一般病床30床という規模であった。戦後、1951年には公的医療機関としての認可を受け、1964年に本館病棟を増築。病床数は410床となり、病院の近代化を達成する。また1970年には新館病棟の建築を行い、500床となった。

地域医療の中核としてさらなる発展を目指し、中勢病院は現在地である鈴鹿市安塚町に新築移転した。鈴鹿市は、中勢病院が位置していた神戸(かんべ)地区、本田技研工業の最寄駅である平田町、そして近鉄名古屋線の特急停車駅である白子(しろこ)と、3つの中心市街地からなる。それらの中心に位置する安塚町こそ、新病院に最もふさわしい立地であった。また、鈴鹿市の公的資金から20億円の援助を受けたことにともない、病院名に「鈴鹿」を冠することになった。このときは一般病床480床、伝染病病床20床であった。1997年にはリハビリテーション施設を拡張し、人工透析の増床を行った。1998年に伝染病病床を廃止し、病棟の改編によって460床として、現在に至る。またこの年、急性期医療と在宅介護との橋渡しの存在となる訪問看護ステーションを開設し、クリーンルーム9床を改造した。



病院外観

 鈴鹿中央総合病院は市民病院としての機能を担う総合病院として大きく成長を遂げ、1997年には早くも病院機能評価認定を取得した。さらに同年、災害拠点病院の指定を受ける。また2004年には三重県で初めてとなる地域医療支援病院の認定を受けた。これからも鈴鹿中央総合病院は、地域とともに歩み続け、信頼される医療機関としての存在をより大きなものにしていくだろう。




  <病院の特徴>

◆ 内視鏡治療

 上部・下部消化管への内視鏡治療、胆嚢摘出を主とする腹腔鏡下手術などに加え、ここではVATS(ビデオ補助下胸部手術)について特記すべきであろう。
VATSは胸腔鏡下肺葉切除術で、胸部疾患、とくに肺がんの治療に対して行われる。胸腔鏡手術で切る場所は病変の部位や大きさによって異なるが、胸腔鏡を約12ミリの穴から胸に挿入する。ライトによって明るくなるうえ、カメラを通して拡大した視野を観察することが可能である。穴をさらに2個開けて、電気メスや鋏を使用して手術を行う。これにより手術の傷が従来の開胸手術よりも小さくてすみ、従来の手術に見られた疼痛も軽減される。周術期における患者の負担も軽くなり、早期退院につながっている。2005年1月の呼吸器科新設以来、既に80例(8/18現在)の症例数がある。
浜田院長は語る。
「平成17年1月から2名の医師を招聘して、VATSを得意とする呼吸器外科を新設しました。同じ効果であれば、患者さんにやさしいものをとのポリシーを持っています。また患者さんの権利を守るために全ての手術を録画して、希望される方にはお渡ししています」

◆ PCI

虚血性心疾患に対するPCI(経皮的冠動脈形成術)の症例は、昨年度300例と県内で2番目に多い。従来の冠動脈バイパス術では効果は長続きすると言われるものの、開胸手術となるため患者の負担は大きかった。侵襲度も高度であり、手術時間も数時間から十数時間を要した。
ところがPCIではカテーテルを使い、狭窄した血管をバルーンやステントで押し広げるため、開胸手術の必要がない。局部麻酔で済み、又動脈の穿刺も右手首の繞骨動脈を用いるため、非常に低侵襲である。手術時間は1~2時間程度、入院も数日で済むことから、患者のQOLの向上に寄与している。バイパス手術適応例は、三重大学及び四日市市内の連携機関と密にタイアップしている。

◆ 血液内科

2ユニットの無菌治療室を有する血液内科。診察圏のみならず、広く県内からの紹介患者が訪れ、多数の症例を数えている。白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血、同種骨髄移植などの治療にあたっているが、直近2年半の診療実績は、急性白血病35名(生存率約60%)、悪性リンパ腫62例(生存率81%)、多発性骨髄腫18例(生存率約67%)となっている。今年6月には骨髄移植推進財団から、非血縁者間骨髄移植のための「採取」「移植施設認定」を受け、非血縁者間移植も可能となった。



外来センター入り口

◆ 脳卒中治療

神経内科・脳神経外科のタイアップによるチーム医療を推進している。どの治療が最適か(内科的治療、急性期カテーテル治療、または外科手術)を入院時に直ちに峻別する、超急性期型の診療が特色である。一方で脳ドックも行っており、脳卒中の予防にも力を入れている。

◆ 整形外科

慢性関節リウマチに対して、薬物療法、手術療法、理学療法を中心に取り組んでいる。中でも間接鏡検査、とくに人工股および膝関節置換術の症例は多く、動揺性を有する関節や変形の強い関節などの間接手術に力を入れており、難症例でも良好な結果を得ている。


◆ 眼科

糖尿病由来の眼疾患の症例数が多く、硝子体、網膜手術、難治症例の紹介が多い。一昨年度の手術件数は387件を数え、内訳は白内障手術258眼、緑内障13眼、網膜剥離手術12眼、硝子体手術26眼29件となっている。

◆ 救急医療

 昨年度の救急車搬送件数は3800件以上にものぼる。これは後述の地域医療支援病院の認定とも無縁ではない。
「私どもは本来2次救急病院なのですが、実際は1次から3次まで様々ですね(笑)。近くの鈴鹿サーキットでの不慮の事態にも即時に対応しています」
救急室、検査室、手術室へのスムーズな動線を確保し、高度医療機器、集中治療室(ICU、CCU)、クリーンルーム、水平垂直搬送システムなど万全の体制を整えている。



  <運営・経営方針>

◆ 地域医療支援病院

 2004年に地域医療支援病院として、三重県で初めて承認された。病診連携を積極的に推進した結果、現在、紹介率は81%、逆紹介率も43%と非常に高い水準にある。患者さんが「地域のかかりつけ医」と「鈴鹿中央総合病院の専門医」という、いわば「二人の主治医」を持つのを理想の形としている。地域連携室では、患者さんが適切で効率的な医療を受けてもらえるよう、かかりつけ医の紹介や、紹介患者さんの受診の手配、登録医との連絡・調整など様々なサポートを行う。
また技術・情報の共有による、地域の医療レベルの底上げも目標だ。鈴鹿中央総合病院の医師が、研究活動や臨床現場で得た成果は、地域の医療機関へ積極的に還元されている。症例検討会や院内見学会、講演会などを定期的に開催し、研修医向けの早朝カンファレンスも登録医に開放中だ。
「7年前から7月には納涼医局会と称し、登録医参加の医局会を開いています。今年も私どもが80人、登録医の先生方も70人ほどお集まり頂いて懇親会を催しました。文章や電話でのやりとりだけではなく、顔を見せ合ってコミュニケーションを取ることが、さらなる信頼関係へとつながっていくのだと思っています



病院外観

◆ 災害拠点病院

1997年に三重県の災害拠点病院の指定を受ける。トリアージのためのエリア、重傷者の搬送ルートなどを想定し、十分なスペースを確保している。災害拠点病院ではヘリコプターへの医師の同乗も認められているので、敷地内にはヘリポートを完備。またライフラインの異常時でも医療活動を継続できるように、自家発電装置や貯水槽も整備した。全てのスタッフが迅速に行動するため、定期的な災害訓練も行われている 。


◆ 今後の展望

 地域完結型の医療を向上させるため、浜田院長は2つのことを計画している。その一つは病棟の再編だ。
「神経内科と脳神経外科、消化器内科と消化器外科、産婦人科と小児科など、2科の統合による質の高い医療の提供という観点からです。高度医療を提供する病院としての機能をさらに高めていきたいですね」
また、ホームページでの情報開示もより詳細にしていく。
「患者さんや地域の医療機関の先生方に、当院をさらに理解して頂きたい。ホームページで各診療科の症例数や治療実績を公開しようと準備中です。また現在のオーダリングシステムを進化させた、電子カルテの導入も視野に入れています」



  <病院の理念>

◆ 病院の理念

良質で高度な医療を提供することにより、地域の皆様に信頼され、選ばれる病院でありたい。

◆ 病院の目標

1.患者さまの尊厳重視と、公正な医療の提供
2.最新で高度な医療の提供
3.医師の説明と患者さまの選択に基づく医療の提供
4.情報の開示とセカンドオピニオンの推進
5.地域医療ネットワークの推進




  <アクセス補足>

近鉄名古屋線 白子駅から三重交通バスで約20分、近鉄鈴鹿線 鈴鹿市駅、平田町駅から約10分、鈴鹿中央病院前 下車すぐ
伊勢鉄道 玉垣駅から徒歩20分


地図


  

2005.09.01 掲載 (C)LinkStaff

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