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急性期機能と癒しの環境の両立を目指し
佐藤病院

 2002年、佐藤病院は現在地に新築、移転を行う。京阪電鉄本線牧野駅から徒歩10分の立地である。この新病院は1床あたりの延床面積は69㎡と、120床の民間病院としては刮目する広さを持ち、そして最新の医療設備を整備し、急性期病院としての機能と療養環境の充実を目指している。
今回は佐藤病院の佐藤眞杉理事長にお話を伺った。
佐藤眞杉理事長は1936年に静岡県で生まれ、1963年に京都大学医学部を卒業した。その後、京都大学医学部外科学教室、財団法人田附興風会医学研究所北野病院勤務を経て、1979年に大阪府枚方市に外科の有床診療所を開設し院長となる。1982年には増床して佐藤病院を開設し、2002年に現在地に新築移転を行う。現在は医療法人美杉会、社会福祉法人美郷会の理事長を務めている。このほか大阪府私立病院協会会長、日本病院会副会長などの役職に就いている。


佐藤眞杉 理事長


  <病院の沿革>


老健・特養・病院

 現在の佐藤病院の前身となるのが佐藤眞杉理事長が1979年に開設した外科の有床診療所である。場所は大阪府枚方市養父西町で、現在地からは1㎞ほど離れた場所であった。
枚方市は万年寺山古墳や牧野車塚古墳が示すように弥生時代から集落があったと言われ、江戸時代にも淀川を上下する過書船の中継港として賑わった、京都と大阪を結ぶ交通の要衝である。
開業当初は田んぼが広がるのどかな田園風景であり、また3つの川が合流する風光明美な点も佐藤理事長の理想であった。そこへ10床の外科診療所を開設したが、患者数は瞬く間に伸びていき、脳腫瘍や子宮がんなど外科以外の領域の手術を求める声も高まってきた。

 

 佐藤理事長は「やむをえず増床して、病院にすることにしました。」と謙虚に語るが、1982年には45床の佐藤病院へと発展する。診療科目も当初の外科から、患者さんのニーズに合わせて整形外科、内科と増加した。1988年に新病棟を増築し、病床数は現在の120床となった。
1996年に佐藤クリニックまきの、1999年に佐藤クリニックくずはを相次いで開設し、人工透析施設をそれぞれ30台、40台を完備した。

 1998年には老人保健施設を開設したが、その隣地が現在地(大阪府枚方市養父東町) である。2002年に新病院に移転した。診療科目も16科目を数えるに至った。
「やはり移転の目的は前の病院が手狭になってきたことです。特に手術室や病室で狭さを感じるようになりました。そしてMRIの導入にあたっても移転が必要でしたね。」
新病院は5階建てで、延床面積8,240㎡、 1床あたりの延べ床面積を比べると旧病院の2.4倍の広さとなった。また全室にトイレを備え、テレビも液晶画面の天井吊り下げ型を全床で標準装備するなど、居住空間としての改善にこだわった。


病院玄関
 また手術室も大(整形外科)、中(外科)、小(眼科)、外来手術室の4室を完備した。最も大きな手術室では将来ロボット手術も可能であるという。さらに神経内科からの要望で脳内の微細な変化を測定するため1.5テスラのMRIを導入するなど、急性期医療機能の充実を目指した。
旧病院は佐藤医院として生まれ変わり、人工透析施設20台を備え、慢性期病棟としての新しい役割を担っている。
1999年には財団法人医療機能評価機構の認定を取得した。また今年は新しく耳鼻咽喉科の標榜が加わった。 急性期病院としての生き残りを目指し、佐藤病院の挑戦は続く。


  <病院の特徴>
◆ 内視鏡治療

昨年、直径5㎜の腹腔鏡手術システムが発売されたのを機に、佐藤病院では直径3㎜の鉗子類とともに直ちに導入に踏み切った。
このシステムの利点は従来の10㎜のシステムより器具の径が少なくなったことで傷が小さくなり、術後の傷跡がほとんど見られず、癒着の予防にもつながることである。また従来の機種では硬性鏡の手元に接続されていたCCDカメラが腹腔鏡の先端に搭載され、明るさや解像度が改善された。さらにオートクレーブで30分という高速減菌が可能になり、緊急手術に柔軟に対応できるようになった。
この新しいシステムのもと、腹腔鏡下手術件数は一段と増加をたどっている。2003年度1,225例の手術のうち、腹腔鏡によるものは122例であった。このうち腹腔鏡下胆嚢摘出術は1992年に保険適用された時から行っており、初年度は9例だった件数も昨年度は60例となり平均術後入院日数も4.6日(最短1日)という成果を挙げている。
佐藤理事長は語る。
「病院の規模を考えますと、特に高度医療ができるわけではありませんので、急性期の患者さんにできるかぎりの治療を提供しようと思っています。」
◆がん治療

先述のMRIに加え、DSA血管装置、マルチスライスCTの導入で、早期発見、早期治療の体制の下地が整った。
MRI室では可能なかぎり患者さん主体の検査が進められている。頭部、頸部以外の検査部位ではヘッドフォンをかけて音楽を聴くこともできる。閉所恐怖症からMRIの検査が中止となったことはほとんどないという。
外科には5名の常勤医が勤務するが、麻酔科の体制も手厚く2名の医師を擁して外科との緊密な連携を取っている。
また手術の他には肝動脈内リザーバー設置(経皮的)、TAEなどを積極的に行っている。
一方、抗がん剤による治療はエビデンスに基づいた最新の方法を行っているが、保険適用できない薬剤を使う時は、患者さんに多大な自己負担が生ずる。そこが悩みという。
◆整形外科

整形外科の手術件数も非常に多く、2003年度は366例であった。リン酸カルシウム骨ペーストを使用する人工関節置換術を含め、あらゆる手術に対応している。やはり外傷中心の手術が大半を占めるが、椎体形成術(セメント治療)などを開始して以来、脊椎疾患の手術が飛躍的に増加し、2003年度は32例となっている。
骨粗鬆症の高齢者に起こる脊椎圧迫骨折は、従来、長期臥床、ギプスやコルセットの長期使用により筋力低下
肺炎などの内科疾患の悪化痴呆症状の発生など様々な合併症を引き起こす起因となることが問題視されてきた。セメント治療は圧迫骨折した脊椎に針を刺入しそこから医療用骨セメントを注入して疼痛を軽減させる。治療は全身麻酔のもとレントゲン透視装置を使用して行うが、時間も1時間程度で済む。翌日からは座位、歩行が可能となる。
また直径2㎝の金属の円筒を用いた椎間板ヘルニア摘出という新しい手技も開始した。摘出方法そのものは従来と同様であるが、傷も小さく
入院期間が半分ほどに短縮されている。
◆専門外来

先述の整形外科でも午前診療では2診制をとり、脊椎・脊椎外科に加え、手・肘の外科、足の外科などの専門外来を行っているように、佐藤病院を語るうえで専門外来の充実ぶりは外せない。
1日平均の外来患者数は昨年度は584.1人、1ヶ月平均の外来新患数は2575人とかなり多いが、佐藤病院には11を数える診察室を持ち、患者さんの待ち時間短縮と「納得の医療」の両立を模索しながら診療にあたっている。
内科に関しては、総合内科に加え、血液
神経循環器消化器呼吸器腎臓内分泌、糖尿病とそれぞれの専門医が細かいローテーションで4つの診察室を稼働させている。
アレルギー科ではアトピー性皮膚炎の治療で高い実績を挙げている。ステロイドホルモンやブロトピックといった免疫抑制剤を塗布するだけの治療は対症療法であり、因子の改善にはつながらない。佐藤病院での治療方法は、アレルギー反応を抑制する内服薬とステロイドフリーの外用薬を組み合わせて、内服薬、外用薬の順に中止して、最後には全く薬が不要になる「本当の治癒」を目指す。


  <運営・経営方針>


病院外観

◆地域との連携

開放型病床5床を有し、地域の開業医との連携を進めている。手術室も開放し、婦人科の開業医が不妊症、子宮外妊娠の手術を行うなど順調に機能している。
しかし現在のところ紹介率は17%とあまり高くはない。先述の専門外来の充実から小児科、アレルギー科などで新患が多く、新患率が17%となっていることが要因であろう。
佐藤病院では地域医療連絡室を設置し、開放型病院として登録医との共同診察を行うための窓口の役割を果たし、紹介患者の受け入れを行う。
3名の医療ソーシャルワーカーがおり、患者さんやご家族が少しでも安心して療養生活を送って頂けるように、医療費や退院後の生活のことなど様々な問題解決のお手伝いをしているという。


◆平均在院日数

佐藤病院の昨年度の病床利用率は98.3%
平均在院日数は14.3日である。佐藤理事長は「急性期病院として経営していくには14日は当然の数字です。ただ慢性期の患者さんの受け入れ先がもっと多岐に渡れば、在院日数はもっと短縮されるはずです。」と捉えている。
佐藤理事長は「手術後の数日は個室で療養してもらいたい」との考えを持つ。新病院では66室の病室のうち、個室が36室(特別室3室を含む)と療養環境が十分に整えられているが、差額ベッド代は1日7,000円と良心的な設定にしている。
新病院への移転を機に旧病院が佐藤医院となったが現在は佐藤医院で、佐藤病院からの急性期医療を終了した患者さんを引き受けている。その他に透析診療所2、訪問看護ステーション3、訪問介護ステーション3、老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホーム等の在宅医療の各施設を持ち、法人の核となる佐藤病院の運営を助勢している。

◆今後の展望

療養型病棟を持ちたいですね。それから回復期リハビリテーション病棟、特殊疾患療養病棟などもあれば、地域の皆さんに更に喜んで頂けるのではないかと思っています。私どもでは、やはりがんの患者さんが多いのでホスピスも視野に入れています。
急性期病院としては紹介率を高めなくてはいけないでしょう。そして、こちらで治療した患者さんをなるべく開業医の先生方へお返しするということをもっと徹底していきます。
こちらに移転して3年近くなりますが、まだまだ全部の機能を使い切っているとは言い難いです。院内の体制や安全管理、スタッフの意識の向上に努めていきたいです。



  <病院の理念>

 美杉会の願い
私たちは
できる限り 患者さんの苦痛を和らげ
社会復帰を一日でも早めることに努めます

常に向上への志を持ちます

地域とともに伸びる
医療・保健・福祉をめざします


病院外観

  <アクセス>

京阪電鉄本線 牧野駅より徒歩10分
阪電鉄本線 樟葉駅より京阪バス88、96、97番
「養父ヶ丘」下車 (約10分)、徒歩4分

佐藤病院HPは下記をクリック↓



  

2005.08.01 掲載 (C)LinkStaff

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