HOSPITAL INFO

バックナンバーはコチラ

54


納得・安心・連携の医療を
医療法人財団 阪南医療福祉センター 阪南中央病院


村田三郎 内科部長

 阪南中央病院は大阪府松原市に位置する。大阪市の天王寺から近鉄南大阪線に乗り、布忍駅で下車後、徒歩7分という立地である。今月は南河内地区を代表する中核病院である阪南中央病院をご紹介する。

 村田三郎内科部長にお話を伺った。村田三郎内科部長は1947年高知県で生まれ、1972年に大阪大学医学部を卒業した。その年から大阪大学医学部附属病院で内科の研修を行った後、同病院放射線科に勤務して研鑽を積む。1978年から阪南中央病院に内科医として勤務している。現在、診療局次長、内科部長、検診センター所長を務めている。



  <病院の沿革>

 阪南中央病院は、1969年に施行された国の同和対策事業特別措置法に基づき、大阪府下同和地区保健医療センターとして、大阪府と松原市の共同出資で、財団法人阪南医療解放センターを設立し、1973年10月に松原市南新町に開院した。
松原市は大阪市の南隣りに位置し、日本書紀にもこの地が政治、経済、文化の中心地であったことが示されるなど、古来からの歴史をとどめる街である。また、大阪市のターミナルの一つである天王寺から近鉄南大阪線で15分ほどという便利な立地ゆえ、生活利便性の高いベッドタウンとして発展してきた。道路交通に関しても西名阪自動車道や阪和自動車道、中央環状線などが市内を貫通し、南大阪地区での要衝地として知られている。


阪南中央病院全景

 阪南中央病院は設立当初は141床であったが、1986年に増築、312床の総合的機能を持つ地域基幹病院になった。内科、外科、整形外科、小児科、眼科、麻酔科、泌尿器科、精神科、リハビリテーション科をはじめ、内視鏡、超音波による診断治療施設である消化器センター、RI室を有する放射線科や総合女性専門外来を備えた産婦人科など、診療科は多岐に渡っている。

 2002年4月に同和対策関連法の期限終了に伴って、阪南中央病院は、名称を『財団法人阪南医療福祉センター・阪南中央病院』に改めた。大阪府からは2年間の経営強化補助金が交付され、病院存続と自立経営の基盤が強化されることになった。病院運営には三浦洋病院長をはじめ、経営陣も引き続き残留し、自立民営化に向けて再出発した。その際には、病院を守るための署名が地域住民、患者から多数寄せられたという。それは阪南中央病院が『地域に密着し、弱者に優しい病院』であることの証しであろう。

 さらに2004年3月末に財団法人が解散し、2004年4月から新しく『医療法人財団阪南医療福祉センター』が病院を運営することになった。これに伴い、老朽化した病棟の改装を行い270床となった。1床あたりの面積を広げるために6人部屋を4人部屋に改めるなど、より快適な医療環境を整えた結果である。新しい時代に対応すべく、急性期型病院として、救急医療、病診連携を軸に最適の医療の提供に努めている。また、2003年11月には財団法人日本医療機能評価機構の認定病院(一般病院)となっている。



  <病院の特徴>

◆消化器センター

阪南中央病院の『メインの存在』と言えるのが、消化器センターである
。病院開設以来、大阪大学第三内科との太いパイプから消化器内科には強みがあった。また、近隣の明治橋病院、市立松原病院では脳神経外科、松原徳洲会病院では循環器科とそれぞれの『メイン』があることになるので競合することがなく、加えて地域では消化器疾患が多いことから地域の基幹病院としての働きに一定の役割を果たそうと1999年に消化器センターとして立ち上げた。
村田先生は「もともと内科と外科の医師で内視鏡治療を一緒にやってきたのですが、内視鏡室と超音波室を統合し、指示系統も含めて一本化しました。内科医2名、外科医3名が24時間のオンコール体制で治療に当たっています」と話す。


消化器センター入口

 扱う疾患はC型肝炎、胃がん、大腸がん、肝がん、クローン病など様々である。例えば急性胆嚢炎では内視鏡的措置か、緊急手術かの見極めなどにおいて、消化器センターのシステムが功を奏している。また肝がんではPEIT(経皮的エタノール注入療法)により、5年生存率の増加をみている。
症例数も上部消化管で年間約3,000例、下部消化管で同1,000例と非常に多い。検査に関しても腹部超音波が年間7,000件弱など消化器センター全体で昨年は10,142件の実績を挙げている。上部、下部消化管出血に対する緊急内視鏡止血術の件数も多い。


外来指導など安全で安心できる環境

◆周産期医療

小児科は病院開設時に5名の常勤医を擁していたことから、特に新生児医療に力を入れてきた。また産婦人科では、公衆衛生の観点から『働く女性の母性保護』をテーマに、外国人女性が望まない妊娠をした場合など、医療機会に恵まれない社会的弱者の救済に当たってきた。現在もドメスティックバイオレンスなど女性を取り巻く様々な社会問題に取り組んでいる。また昨年度、産婦人科に3名の医師が加わり女性医師が3名となったことから『総合女性専門外来』を開設し、社会のニーズに応えている。

 周産期を小児科で担当するなど、小児科と産婦人科の連携の充実も大きな特色である。ハイリスクな分娩では、小児科医も立ち会い合併症などに即座に対応している。さらに大阪府立母子保健総合医療センターとも強い連携を持ち、『安全で安心なお産』を実践している。
少子化社会と言われて久しいが、阪南中央病院では昨年実績600件を超える分娩を取り扱った。また子宮・卵巣がん、子宮筋腫、卵巣腫瘍などの婦人科手術、帝王切開などの産科手術を合わせると年間200件以上の手術を行っている。まさに地域にとっての産婦人科医療の中心的病院であろう。

◆訪問看護―在宅医療における松原方式

阪南中央病院の保健福祉部を中心とする松原市の在宅医療のシステムは『松原方式』と言われ、その後、全国へ普及した。予防活動やアフターケア活動の重要性が今ほど認識されていなかった病院開設当時に、保健師3名、ケースワーカー2名を専属で配置して、医師、訪問看護ステーション、松原市医師会、松原市社会福祉協議会が一体となって構築した『松原方式』は非常に画期的なものであった。当時、これを指揮した岡本祐三医師(現在、兵庫県芦屋市で開業)
は国の介護保険制度設立にあたっても、その構想段階から関わるなど大きな存在となった。
老人医療に関しては、近隣の特別養護老人ホーム、老人保健施設との連携も欠かせない。老人施設での感染症など大きな社会問題もあり、保健福祉部のコーディネートはますます重要となろう。
村田先生は「私も、現在、担当の患者さんを20人ほど受け持ち、月に1回の訪問診療を行っています。毎月のケーススタディも欠かせません」と話す。先述の内視鏡治療でも在宅医療に不可欠な内視鏡的胃瘻造設術(PEG)も数多く手掛けている。

◆社会問題との関わり

昨年、最高裁が国と熊本県の行政責任を認めた水俣病関西訴訟で、病院長の三浦医師と村田医師は原告患者58名の検診と診断意見書作成に関わった。最高裁では、阪南中央病院による中枢性感覚障害の検診に評価を与えた判決となった。 今後は環境省に対して、関西在住の水俣病患者のための治療、健康管理、検診に関わる病院として指定するよう働きかけ、相談窓口などを設置する予定である。
また原爆被爆者治療においても、関西在住の広島、長崎の被爆者の検診活動とならんで韓国人被爆者の渡日治療を行っている。これは10年ほど前から市民ルートで始まったものであるが、昨年から国の事業となった。関西では阪南中央病院のほかに大阪赤十字病院など4病院が受け入れ協力医療機関となっている。



  <運営・経営方針>

◆総合医局制

阪南中央病院では診療科ごとの壁をなくすために総合医局制を採っている。医局会も合同で行い、手術も他科の医師も参加して行うこともある。
「例えば消化器を志そうとする先生にも、消化器以外の勉強会に出てもらうなど幅広く勉強をしていただいています。もちろん専門医の資格も取得できます。私どもは高齢の患者さんや社会的なハンディを持った患者さんとの関わりが深く、そういった全人的医療を学びたい先生には十分な内容を持つ病院であると確信しています」

また医師とコメディカルとのコミュニケーションも万全である。
「やはり病院ができたときから、恵まれない患者さんをトータルにケアしてきました。それぞれの職域で勝手なことをしていたのでは、そういったケアは十分にできないでしょう」

◆経営自立

昨年度から補助金の助成がなくなり、経営の自立が求められるようになったが、既に『単年度黒字』の状態となっている。これにはクリニカルパスの導入による平均在院日数の短縮(昨年度12.7日)や、急性期加算などが大きい理由である。また地域の開業医からの信頼も厚く、紹介率も約40%である。
「患者さん中心の医療を常に心がけてきましたから、黒字というのはいいことなのか悪いことなのか戸惑いもあります。ただ、私どもに勤めている職員の生活保障の点と、患者さんに安心してかかっていただくためには経営基盤の安定は必須のことであり、この点からも肯定的に受け止めたいと思っています」


緩和ケア研究会風景

◆今後の展望

「専門医を取得することに積極的になるあまり、総合診療科の観点から患者さんを診られない医師が増えているという弊害があると聞くことがあります。やはり、まずはジェネラリストとしてのケアが必要なのではないでしょうか。その上でそれぞれのルートの専門医の判断を仰ぐという姿勢が大切だと思います。そういった『総合診療科の考え方』を今後さらに徹底してきたいですね。
一方では専門外来も充実させます。現在行っている近畿大学血液内科の特殊診療や大阪大学の肝臓グループによる診療に加えて、神経内科や内分泌の専門外来を始める予定です。
次に緩和ケアに関しても、10年ほど前から看護部を中心に研究会を開いていました。医師、看護師、薬剤師、ケースワーカー、栄養士がメンバーとなって、看護、除痛の処置や投薬の振り返りといったケースカンファレンスを行っています。精神科の常勤医師がいませんので緩和ケア病棟の新設は難しい状況なのですが、一般病棟でも同レベルの医療を行っていますので今後も力を入れていきたい分野です」



  <病院の理念>
阪南中央病院の医療指針
納得・安心・連携の医療
私達は患者様の人権・プライバシーを尊重し、患者様が満足できる最適の医療を提供できるように努めます。
1. 納得の医療
  患者様の身になって、わかりやすく説明し、患者様が納得できる医療を患者様と共に進めます。
2. 安心の医療
  医療の安全性と医療技術の向上に努め、患者様が安心してかかれる医療をつくりあげます。
3. 連携の医療
  医療チームの密接な連携で、患者中心の包括的医療を提供します。地域の医療機関との連携で、患者様に最適な医療を保障します。

阪南中央病院HPは下記をクリック↓


●常勤医師募集情報

◆アクセス補足

近鉄南大阪線 布忍駅より徒歩7分

  

2005.06.01 掲載 (C)LinkStaff

バックナンバーはコチラ