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全人的医療の希求


理事長 清水 聡 氏

 京都南病院は京都市下京区に位置する。京都駅から七条通りを西に進むバスに乗って10分足らずの交通至便な立地である。
一つの建物に、UR賃貸住宅(旧公団住宅)と病院が共存するユニークな形態を取っている京都南病院だが、これは「地域の人たちが設立した」病院の歴史に由来している。
今回は清水聡理事長に話をお伺いした。

清水聡理事長は1983年に京都府立医科大学を卒業後、救急診療を志して川崎医科大学救急部に入局。明石市民病院で消化器内科の研修を受けたのち、京都南病院外科に入職する。2002年に院長就任、そして2004年に理事長に就任している。



  <病院の沿革>

 まだ健康保険制度も不十分で、医者にかかること自体が困難と言われていた1953年、京都市下京区東中筋に「京都平和病院」が病床数20床で設立された。これは地域の人々が募金を募り、病院設立に漕ぎ着けたもので、その後も病院と地域の人々との非常に深い関係が続いていく。1960年に京都南病院と名称を変更し、その翌年には地域住民の会も「南健康会」として発足する。
  1966年に現在地に移転する。清水理事長は語る。
  「地域社会とのつながりの中で医療を、との考えは当時も今も変わっていませんね。この建物も今風に言うと、公団住宅とのコラボレーションでしょうか。住宅の中にはケア付き住宅もありますし、食堂も共有しています」
1986年には第3次増築拡充工事も終了し、ベッド数も306床となる。1998年には救急部を開設し、24時間の救急医療体制と急性重症疾患への診療体制の確保に努める。このほか6箇所もの分院を抱え、老健施設、老人訪問看護ステーションなど、急性期にとどまらず、時代の要請に合った医療サービスを展開している。


京都南病院第2南診療所(発祥の地)外観



  <病院の特徴>
◆急性期治療
 清水理事長は「大学病院ほどの最先端の高度先進医療は行えませんが、大体のことは何でもできる、コンビニのような病院でありたいと思っています」と語る。
内科と外科との緊密な連携が特徴で、例えば消化器内科での内視鏡治療やカテーテル治療、外科での内科合併症を有する症例などで、そのシステムが十全に活かされている。
また呼吸器科では急性期のみならず慢性期疾患へも幅広く対応している。呼吸不全治療ではNPPV(非侵襲的陽圧換気)を用いた治療を導入し、呼吸管理を行う。最近、問題となっている睡眠時無呼吸症候群に関しては、外来でのスクリーニング、入院での簡易検査を行う一方、ポリソムノグラフィー検査も高雄病院と連携を取って実施している。
1990年に開設された脳神経外科では、24時間対応できる当番医のオンコール体制をとり、頭部外傷や脳卒中などの救急疾患に対応している。


マンモグラフィー撮影装置

乳腺外来
マンモグラフィー撮影装置を導入し、専門外来として独立。現在、マンモグラフィー検診精度管理中央委員会認定の読影資格Bを外科医4人が取得し、A認定を持つ女性の撮影技師がスタッフとして支えている。
「今後は女性の専門医を育成し、さらに充実させていきたい」としている。

図書館
図書館
この図書館の存在が大変ユニークである。開設当時から医学文献を揃えた図書館を有していたが、8年前に地域の人々へも広く開放することになった。それ以来、地域のミニ公共図書館としての役割を担っている。
蔵書も文学書、一般図書を数多く揃え、ビデオやカセットなどのテープ類の貸し出しも行っている。また地域の子どもたちを招いた「子どもとしょしつ」を毎月1回土曜日に開催し、好評を得ている。
病院図書館だけに、専門知識が少ない患者さんに医学専門書を公開することに当初は反対の声もあったそうだが、2人の司書が適切な指導を行っており、今では医療スタッフからの信頼も厚いという。患者さんだけなく、地域の開業医、医学部の学生が専門書や医学雑誌を閲覧することも多く、他の病院からのリファレンスも増加している。
臨床研修指定病院
 当初から管理型としてマッチングに参加している。このほど後期研修が開始されるのに伴って研修医の数も増えてきた。
「後期研修でも京都南病院でと思ってもらえるとやはり嬉しいですね。医師として本当に成長できるのは3年目以降だと私は思っています。その意味で後期研修は非常に意味があります。いわゆる『手に職をつける』時期だとも言えますね。研修医には、どんな症例でも食いついていくようにと常に話しています。その上でサブスペシャリティを学んでほしいですね」


  <運営・経営方針>
平均在院日数
 京都南病院での平均在院日数は23日と昨今の流れからすれば若干長いと言える。しかし清水理事長は闇雲に在院日数を減らすことには懐疑的である。
「当院には、他院で入院できなくなったからといった理由で移って来られる患者さんも多くいらっしゃいます。ある程度、長期的なスパンで診なくてはいけない患者さんもいらっしゃいますし、割り切ることがなかなか出来ないのです」
しかし今年度は「1日短くしよう」という目標を立てた。昨年オーダリング・システムを導入し、さらに褥瘡回診やNST回診も開始するなど下地を整えている状況である。


リハビリ室

◆サテライト診療所
このところ病院経営の戦略的な位置づけとなっているサテライト診療所ではあるが、京都南病院では6つの診療所を持ちながら、どれも「病診分離」などのコンセプトで開設されたものではなく、全て地域住民の願いから設立されたものであるという。
「経営面から見ると確かに苦しいこともあります。しかし、私どもは地域の方によって作っていただき、育てていただいた病院です。医療という社会資源を地域に還元していかないといけませんから。スタッフも本当に患者さん第一の姿勢を持っており、有り難いことです」

◆南健康会
1961年に「南健康会」と改称された市民組織のグループがある。これは「自分たちの健康は自分たちで守ろう」と地域住民と一体となって、ボランティアなど様々な活動を行っているものである。現在は1300人を越える会員数を擁している。この地域は、京都市内でも高齢者率が高いとされており、今後さらなる高齢化が予想されることから病院と地域住民の連携をサポートするものとして、その存在に期待がかかる。
また、患者会の活動も盛んである。1981年に「みなみ糖友会」、続いて「京都南病院人工透析の会」が創設された。これにより生活習慣型の糖尿病から、SPIDDM(Ⅰ型)、膵外分泌疾患や内分泌疾患など診療の幅も広がっている。人工透析に関しては1969年に血液透析療法を導入し、透析を行う時間帯も午前・準夜・夜間という体制を取るなど、患者会とともにある診療を行っている。


関連施設MAP
◆今後の展望
 急性期に加え、慢性期も充実させないことには「地域に完結する」ことは困難です。そのため慢性期病棟の新設を視野に入れています。急性期と慢性期を離れたところで展開している病院もありますが、私どもではあくまでも「地域」に関わりがありますので、1キロメートル以内の場所を検討していますが、市街地ということもあってなかなか大きな土地が見つかりません。
  土地を取得できればすぐに建設に取り掛かれるよう勉強会を重ねているところです。
  来年、医療法や介護保険法が改定されますが、迅速に対応していきたいですね。そして更に地域の開業医の先生方や他の病院との連携を強めていきたいと思っています。


  <病院の理念>

理念
「全人的医療の希求」
地域とのつながりを大切にした保健・医療・福祉活動を提供していきます。

目標
「三本の柱」
1.みんなのかかりやすい病院
2.よりよい医療をめざす病院
3.社会の進歩に役立つ病院

京都南病院HPは下記をクリック↓


京都南病院 外観



  <アクセス補足>

JR京都線 西大路駅 より徒歩15分
JR、近鉄、京都市営地下鉄 京都駅 より京都市バス205番七条御前通 下車すぐ
阪急京都線 西院駅より京都市バス205番七条御前通 下車すぐ

  

2005.05.01 掲載 (C)LinkStaff

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