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企業文化を背景とした柔軟な人材の活用
医療法人 保健会 谷津保健病院

 千葉県は習志野市。20数年前、同市内には谷津遊園地があり、訪れる客で賑わいを見せていた。しかし、徐々に客足は途絶え、1982年―谷津保健病院ができた翌年―に、バラ園を残して閉園した。現在、同市は落ち着いた東京近郊都市のたたずまいを見せている。
院長はこの8月に就任したばかりの宮﨑正二郎氏。氏は院長職について日が浅いとはいえ、3年間副院長職を務めていたので院内の状況については詳しい。休日にはサーフィンを楽しむという快活な宮﨑氏と、経営を支える事務長の野田氏に話を伺った。

 
 <病院の沿革>

「当院はヘルスケア・ジャパングループが初めてつくった病院です。ヘルスケア・ジャパングループの病院は東京都内に3ヶ所、千葉県内には当院を含めて2ヶ所あります。特に初富保健病院とは緊密な関係にあり、人事を中心に20年の交流実績があります」(野田氏)

この言葉の通り、谷津保健病院は企業系の病院として、当時では斬新的な運営体制を敷いている。例えば、経営の安定化、資金の平準化を図るために、「建物の家賃方式」「医療機器等のグループ内リース方式」などを創設時から取り入れた。また、当時としてはあまり一般的ではなかった「カルテの一元管理」にも取り組んでいる。そして、今では当たり前のように語られる「医療はサービス業」という理念のもと、当初から企業文化としての患者中心主義を貫いてきたのである。

かくして1981年8月、同院は7診療科目・232床でスタートした。谷津の地で開院したのは、ちょうど同時期に裏手にマンションが建設され、人口増が予想されたからだという。また、当時最寄りの京成線谷津駅に特急が停車していたのも、理由のひとつだ。その予想通り、開院した年の暮れには手狭となり336床へ増床、その翌年には416床となった。1984年には450床に増えたが、それをピークに減床を行い、2000年には一般368床・療養60床の計428床と、現在の姿になった。

 開院当初、外来患者数は500人程度を想定していた。しかし80年代後半には、多いときで1000人を超えるようになったという。当時の診療報酬制度において、この数字は高収益を意味していた。

「昨今の流れとして、病院は入院に特化する方が経営的には良いでしょう。しかし、当院にそれは難しい。まず、習志野市の人口が16万人程度で、医院数は60程度にとどまっております。各科の特性なども考え合わせると、逆紹介できる医院の総数は多いと言えません。できたとしても、当院は駅から1分と好立地にあるものですから、患者様を逆紹介することが思うように進まないというのが現状です。そこで、地域中核病院的な機能を高めながらも、地域に密着した医療を行うという方向で進むと思います」(宮氏)


谷津保健病院外観

 一方で、同院の内科医が開業したところ、受け持ち患者がそちらを頼るようになった。その後も数名の医師が独立し、結果として外来患者数は800人程に減少したという。しかし外来分離・紹介率向上の意味で、同院にとってはプラスとなった。なお、開業の際は同院で使われていた医療機器を提供したり、院内の検査機器などを共同利用できるようにとり計らっている。

 
 
 病院の特徴>

 谷津保健病院では、病院運営に対する柔軟な姿勢が特徴的である。企業が経営する病院ということもあるのかもしれないが、ひとえに、職員の一人一人の人柄が表れているようだ。
 

◆ コ・メディカルの積極的な活動で、院内が活発化

 同院では、コ・メディカルと医師の間にある「垣根」が低い。熱心なコ・メディカルたちは、院外の勉強会等へも進んで参加する。勉強会後に同院へ提出しなくてはならないレポートには、「当院に活かせること」という項目がある。彼らは新しいことを知るのみならず、ここに自分で考えた意見を書かなくてはならない。その項目が実際に反映されたのが、「疼痛ケア」だ。宮氏は「疼痛管理については、看護師の方が詳しいぐらいですよ」と、胸元にさしてあった「疼痛緩和スケール」を見せた。痛みの目安が書かれているこのスケールも、看護師の提案で持つようになったという。また、看護師が患者の痛みを代弁する貴重な存在となっている。

   

◆ 専門性の高い医師の活用

民間私
企業が経営する病院という斬新さを見せる一方で、医師の確保については伝統的手段に頼っていた。すなわち、特定の大学医局に依存していたのである。一定のレベルの医師を確保することによって、提供する医療の質を一定に保つ。しかし、これは突出した強みを作りにくくするという面もあった。


「この状況だからこそ、専門性の高い医師はリーダーとなって、皆を引っ張っていくことができるのです。ですから、自分の力を『移植』するつもりで当院に来て欲しい。病院全体で応援しますから」(宮
氏)

昨年から勤務し始めたある医師は、大腸内視鏡のエキスパートとして、着任早々この分野で大活躍しているという。

 また、東京女子医大ともつながりが深かったこともあり、女性医師にも広く門戸を開放している。宮氏は「女性医師で種々の制約があり、当直を含めたフルタイムの診療が難しい場合でも対応はできます。例えば専門性の高い方の場合、『呼吸器専門外来』を担当するかわりに、当直を免除するといったことも考慮します」と言う。なお、同院は麻酔科の常勤医師を3名確保しているが、そのトップが女性医師というのも、この病院ならではだろう。

 「頭痛外来」「乳腺外来」などの特殊外来にも、その傾向は表れている。頭痛外来では週に1日、外部から招いた脳神経外科のエキスパートが診療にあたる。また、乳腺外来も3人の医師によって週に2日開かれているが、宮氏もその担当医の1人だ。乳腺外科を開設している医療機関は数少なく、氏は「今の状況を見ると、将来は両方とも順番待ちができるのは間違いない」と予想している。
    

◆ 今後の検討課題と病院のリニューアルオープン

「かつては効率・機能的な設計といわれた現在の建物も、20年以上の歳月が経つと、療養環境やプライバイシー尊重の面で、見劣りが目立つようになりました。今までも何度か改装を行ってきたのですが、こうした課題を抜本的に解決し、かつての勢いを失った地域社会の大きな様相変化に思い切った対応をすべく、より広域に、より高次の機能が発揮できるような全面的な再生プランが実行されます」(野田氏)

関連病院の初富保健病院。人事などで谷津保健病院と交流があるという。

 このような課題に取り組むべく、来年早々から1階から7階まで全面改装を始め、関連病院である初富保健病院のような豪華テイストも若干加えた新しい病院をつくるという。まず、病室は一部の8床室をなくして、全て4床室を中心にする。手術室も増拡張して新分野進出とともに症例数を増やす。また検査部門の充実をはかるため、高度医療機器を新世代化する。さらに、約140床を分離して、リハビリテーションを中心に行う第二病院を建設する計画があるという。この改装を行いながらも外来・入院診療は続ける予定で、約2年後に「新谷津保健病院」が誕生する予定だ。

 
 
 <病院の理念>
理念

私たちは、全ての方々に安心と安全な質の高い医療を提供し、
相互の信頼関係を最も大切にするサービスの行き届いた、急性期病院を目指します。


基本方針

1.患者様と私たちの相互の満足
患者様の喜びが私たちの喜びであると、
職員がお互いに高めあえる職場環境を目指します。

2.社会との調和
私たちは、地域社会の一員としての責任を自覚し、
地域との調和を目指します。

3.独自能力
私たちは常に自己研鑽を積み、
専門性の高い急性期医療を目指します。
 


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2004.09.01 掲載 (C)LinkStaff

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