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「地域に求められる総合病院を目指して」
社団法人 総合病院千鳥橋病院 院長 鮫島博人 先生


「一般の病院では経営者がいるのが当然ですが、当院にそのようなものは存在しません。地域の皆さんと一緒に、この病院を、そして医療を向上させていきたいという考えが根底にあるからです。そう考えているのは、地域の皆さんの財産でこの病院が成り立っているからなんですよ」

このように語る鮫島博人院長の言葉から、医療を通じて地域に貢献したいという思いが感じとれる。

 
 
 <病院の沿革>

 130万都市・福岡。そのほぼ中心に位置するJR博多駅からバスに乗り、博多湾に注ぐ六水系の一つである御笠川を見ながら揺られること20分、今回紹介する総合病院千鳥橋病院が見えてくる。その近くには、九州三大松原の1つである東公園が所在し、都市のオアシスさながらの様相を見せている。
当院の前身である福岡民主診療所が開院したのは65年4月。その頃の日本社会は、台風による大災害や炭鉱閉山で失業者や貧困者が増加するという荒んだ状況にあった。そこで「無差別・平等の医療を人々に」との思いから、地域支援団体はもちろんのこと、住民がお金を出し合って開設したという歴史を持つ。大病院となった現在でも差額ベッド料を受け取らないという体制に、その経緯は現れているだろう。



 3年後の68年11月、52床の千鳥橋病院としてリニューアルオープン、75年には現在の西館にあたる「新病院」が完成し、その翌年には旧館部分の改造を終えて275床に増床した。同時に既存の内科や小児科、外科などに加えて、産婦人科と歯科を開設したことで、外来患者数は300名を超え、中核病院としての機能を前進させたのである。
現在の本館が完成したのは85年。この年に病床数は515床と一挙に拡大、外来も眼科と耳鼻科を新たに開設した。さらに34床を増床したのは89年で、その頃には1日外来患者数が約600名に達し、翌年には総合病院の認可を得るまでに成長した。
 当院の発展はこれらにとどまらない。98年には外来部門を分離して「千代診療所」をオープン、老人医療や在宅医療、成人病の治療やその管理を集中した。また、2003年には回復期リハビリ病棟、医療療養病棟、介護療養病棟の計213床を移転して「たたらリハビリテーション病院」を開設した。この病院には、リハビリテーションおよび療養型の医療機能の充実を目的とした緩和ケアを併設している。また、千鳥橋病院はこの病院を開設することによって、平均在院日数を3日ほど短縮できたという。
現在、千鳥橋病院自体は336床の急性期病院に落ち着き、「安心・安全な医療」「安心して住み続けられるまちづくり」をスローガンに、全職員あげて医療活動へ取り組んでいる。


 
 
 病院の特徴>

◆ 患者の権利

千鳥橋病院本館のエントランスを入ると、「患者の権利章典」と書かれた大きな看板が目に飛び込んでくる。今でこそ医療機能評価の認定を受けるためこの種の掲示はよく見られるが、当院は他に先駆けて1997年から掲げているのが革新的だ。
権利章典の項目は以下の通り。

  「医療を受ける権利」
「丁重に扱われ、専門的な対応と援助を受ける権利」
「知る権利と自己決定権」
「プライバシーを保護される権利」
「学習する権利」
「医療参加の権利」

 このように、当院があくまでも患者主体の病院であることを明確にしている。また、普段あまりお目にかかることのない「カルテ開示」についても、忘れてはいない。院長はこれについて以下のようにコメントする。

「基本的に、患者さん個人に関する医療情報の所有権は、患者さん自身にあると考えています。ですから、どんな過去のデータであろうとも、患者さんが求めればお見せしています。また、このような取組みを患者さんに知っていただこうという考えておりますので、その旨を掲示しています」




 この考え方に基づいて、患者が入院する際には「わたしのカルテ」を提供している。これは、入院時の案内や検査データなどはもちろんのこと、請求した医療記録の複写などをファイリングしたものである。この「カルテ」に目を通すことによって、患者は医師から治療方針などについて十分な説明を受けたうえで、自身の病気をよく理解し、最終的にどのような治療法を選択するか決定できるのだ。さらに、患者が医療そのものに興味を抱いて、自身の治療に参加してもらいたいと期待する。地域の中核病院としての設備を万全にしたうえで、このようなサービスを提供して患者のための医療を実現しようと努力しているのである。
また、患者に対してのみならず、世間一般に向けても情報公開を行っている。ホームページにアクセスすると、外来患者数や紹介率、手術件数などの統計を見ることができる。例えば紹介率。現在、紹介は同じ法人系列内の診療所からにとどまるため、その割合は平均35パーセント程度と決して高くはない。しかし、院長は「法人系列以外の診療所との連携を、より一層増やしていく予定です」と意欲的だ。

 

◆ 研修前の「研修」

本年度から始まった臨床研修医制度の義務化。これからの医師を育てるための重要な制度である。当院はその指定病院となっているが、これに匹敵するほど効果的な教育制度を持っていた。
例えば、医師として勤務する前に、医事課でカルテの病名付けやカルテ運びをしたり、栄養課で料理を作ったりと、院内における様々な仕事を体験してもらうのである。というのは、患者がどのようなプロセスを経て医療を受けるのかを把握しておかないと、本当の意味でドクターになれないと考えているからである。
また、今年5月にオープンした「総合診療病棟」では、専門科目別に臓器を扱う従来のスタイルは見られない。全人的な医療を行うため、栄養課やリハビリ科なども含めたカンファレンスを重視し、救急から慢性疾患の患者、そして在宅医療の患者までカバーできる体制をとっている。

 
 
 <運営・経営方針>

◆今後の方針・展望

現在、当病院では年間3000台もの救急車を受け入れている。これは救急医療に特化した病院として、「決して断らない医療を行う」ということを改めて広報した結果だという。そして今年、救急医療のさらなる充実を目指して、「脳卒中センター」の設置を構想しているという。以前より、病院の方針として予防からリハビリテーションまでカバーする体制を整えていた。しかし、地域から求められる高度な医療を行うために新型MRIを導入した。それと同時に、脳神経外科や神経内科の医師、看護師およびリハビリスタッフが一丸となって、早期診断と治療および早期リハビリを行うストロークユニットを導入した。このシステムによって超急性期の診断をしっかりと行い、今後の医療の柱となるよう目指している。

 
 
 <病院の理念>

理念
無差別・平等の医療
安全・安心・信頼の医療
安心して住み続けられるまちづくり

基本方針
1. 私達は「患者の権利章典」にそった医療を実践します。
2. 私達は急性期医療を担い、厚生労働省臨床研修指定病院としての役割を果たします。
3. 私達は地域の救急医療を担うとともに、専門性と総合性を兼ね備えた医療を追求します。
4. 私達は高齢者や障害者にやさしい病院づくりをすすめます。
5. 私達は健康づくりをはじめとした保健予防活動に取り組みます。
6. 私達は地域のネットワークを広げ、安心して住み続けられるまちづくりをすすめます。

 


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2004.06.01 掲載 (C)LinkStaff

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