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新しい価値を創造する -自由な発想でつくる自分たちの病院-

   社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷横浜病院  井澤 豊春 院長先生
                
 <病院の沿革>
「必ずしも日本最先端でなくてもよいのです。この地域になかったもの、そして必要とされているものに、柔軟に対応していきたいのです」

井澤豊春院長のこの言葉からも、地域貢献に尽くす姿勢が伺える。今回は、横浜市の中核的医療機関の一つ、聖隷横浜病院を紹介したい。
 2,2000㎡の広い敷地、豊富な緑と、新築にしか見えないほど美しく増改築された病棟群。横浜市保土ヶ谷区の、住宅街を見下ろす静謐な丘に聖隷横浜病院は位置する。国立横浜東病院から経営委譲を受ける形で誕生したのが、2003年3月のことだ。
1986年に策定された国立病院・療養所の再編成統合計画で、当時横浜市に3つあった国立病院の統廃合が検討された。このうち国立横浜病院と国立横浜東病院については、やや規模の大きかった前者に統合されることが決定された。
そのために、横浜東病院は閉鎖か委譲を余儀なくされた。廃止して跡地を利用する案もあったが、存続を願う地元住民によって2万7千人の署名が集められた。その結果、2001年2月に聖隷福祉事業団への経営委譲が決定。2003年、晴れて聖隷横浜病院として生まれ変わった。




聖隷横浜病院 井澤 豊春 院長
 病院の特徴>

◆国立病院の継承と拡充

聖隷横浜病院外観
 当院が最初に目指したのは、「国立病院の診療機能を継承しつつ、さらに拡充する」ということだった。
職員については、過半数がそのまま受け継がれた。働く側としては安定性のある公務員ではなくなったわけだが、ドクターについては7割が残留を希望した。それだけ新体制への期待が厚かったということだろう。
一方で、設備については大幅な増・改築が行われた。昭和48年から51年に建てられたという当時の建物は、老朽化が激しかった。2棟が増築され、古い施設にも「新築した方が安かったくらい」という徹底的な改修が加えられた。院長自ら、「どこが新築でどこが改修部分なのかわからなくなる時がある」というほどである。
また、標榜科目には脳神経外科、腎臓・高血圧内科、精神科が加わった。腎臓・高血圧内科では、腎不全治療を主体とした診療が行われている。2003年12月に新設された「血液浄化センター」では、従来の血液透析に加え、腹膜透析、血漿交換、白血球除去、血液吸着療法などの特殊治療も専門に扱われる。
 
 ◆自由な発想
 聖隷横浜病院は、その理念の中で、地域への貢献と並んで「新しい価値の創造」を掲げている。

「国立というのは、どうしても融通の効かない一面があります。『こうした方が患者さんのためになるのではないか』『新しくこういうやり方を試したい』というものがあっても、簡単には変えられません。
聖隷に経営委譲されて一番変わったのは、自由な発想を元に医療ができるようになった、ということです。社会的なニーズに対し、素早く柔軟な対応が可能になったのです」

このような姿勢から、職員に対してできる限りチャンスを与えている。

受付

ナースステーション
「自分たちがやりたいことで、社会的ニーズがあるならば、なるべくやらせてみたいです。正式にはまだ難しいことであったとしても、できるだけサポートして伸ばしてあげたい。とにかく、新しい発想の芽をつまないようにしています。
もちろん、その分ドクターやコメディカル一人一人の責任は重くなります。当院はまだ歴史が浅いですから、逆に『歴史を作る』という気概をもったドクターが欲しいですね」

卒後ドクターの教育にも積極的だ。4月からは、協力病院として2名の研修医の受け入れが決まっている。将来的には、自ら管理病院として積極的に臨床研修に取り組んでいきたいという。
 
 ◆隣人愛の精神
 再スタート時には150床だった病床数も、1ヶ月後からは200床、そして2004年4月には250床に増やされる。準備が整えば更に300床体制へと移行し、これに療養型50床を加える計画もあるが、現在の中心はあくまで急性期医療だ。
特に力を入れているのが、救急対応である。当初1ヶ月70件だったという救急車受け入れが、2004年1月には280件を数えたという。

「わたしたち聖隷事業団のモットーは『隣人愛』です。『自分を愛するようにあなたの隣人を愛しなさい』ということです。救急に関しても、とにかく「断らないで診る」ということを心掛けています。その上で、どうしても私たちが診られない患者さんであれば、もっと良い病院を紹介するということも考えるのです」

患者さんは、単に身体を病んでいるだけでなく、心も病んでいる場合が多い。そのような患者さんたちに「とにかく親切に、質の高い安全な医療を提供しよう」と心掛けているという。
また、聖隷福祉事業団は、ターミナルケアの先駆者としても知られている。

「すぐには無理かもしれませんが、将来的に、この病院でも終末期医療を行いたいと思っております。この広い敷地に、医療と福祉の施設を並立し、全人的なケアができればよいと考えています」

病室
 
 ◆地域医療との連携
 存続のための署名が集められたほどの厚い支持を受ける病院であるから、地域住民とのつながりは深い。そのため、「いまだに国立だと思っている患者さんもおられる」「目新しさが建物でしか与えられていないのではないのか」と自省するが、逆に言えば、それだけ安心感を持たれているということだ。
近隣診療所との連携も密である。地域のドクターとは症例検討会や懇親会を開き、日頃から親交を深めている。地元医師会との関係も良好で、紹介率は30%を超える。「かかりつけ医」を持つことを地域住民に推奨し、また地域医療連携室を設け、紹介された患者さんの診療がスムーズに行われるよう、事前予約受付とカルテ作成等の準備を行っている。
 
 
 <運営・経営方針>
 
◆開かれた医療を目指して
 井澤院長は、具体的数字に至るまで、ほぼ正確に院内の状況を把握している。そのため、病院の理念について語るその姿には説得力がある。さらに、「今でも診療にあたっている時が一番幸せに感じます。病んでいる人が良くなっていく姿は良いものです」と言う院長の表情には、偽りない微笑みが浮かんでいる。
院長には、1968年から3年余り、カリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学した経験がある。最後に、この時の興味深いエピソードを紹介しよう。

「UCLAで勤務していた時のことです。看護師さんの一人が、『調子が悪くて家庭医の所に行きたいから、午後から休ませてもらえないか』と言うのです。不思議に思って、『どこか悪いなら、この病院で診てもらえばよいじゃないか』というと、看護師さんは『とんでもない』と首を振ったのです。『医療費が高くて、とてもこの病院の診察など受けられませんよ』。
UCLAは米国でもトップレベルの医療を提供している一流の病院です。しかし、せっかくの素晴らしい医療があっても、働いている職員さえも利用できないのです。特別なお金持ちか極端に貧乏な、いわば施療される人だけのものなのです。これが『ショーウィンドウメディスン』等と批判される所以です。米国の病院で診療していると、来る患者さんが皆重症です。医療費が高くて、我慢に我慢を重ね、どうしようもなくなってから病院に来るのです。
この時のことを思い出すにつけ、わが国の国民皆保険制度は素晴らしいと感じるのです。現在、医療制度改革が叫ばれていますが、経済を優先するあまり、改悪の方向に向かわないことを祈らないではいられません」

「常に利用される方の立場にたつ」という理念には、実体験から来る真実味がある。患者さんの立場を尊重するからこそ、自由な発想による価値の創造も可能になるのだ。志ある医療者なら、この病院で自らの理想を実現してみるのもよいだろう。
 
 
 <病院の理念>
私たちは、
常に利用される方の立場にたち、
新しい価値の創造を通じて、
地域に貢献し続けます。
~私たちは、聖隷横浜病院を利用していただくすべての方に、
新しい価値や魅了が見出せる病院づくりをします。
また、国立横浜東病院の医療を引き継ぎ、さらに発展・充実
させて地域の皆様に貢献します~
 
 


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求人情報
常勤
http://www.e-doctor.ne.jp/script/query_2.php?kyu_no_e=No.03389
 
 
(終わり)
 


2004.3.1掲載 (C)LinkStaff

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