HOSPITAL INFO

バックナンバーはコチラ

46


医師を確保して外来センターを充実させる
公立病院藤岡総合病院


院長 鈴木 忠 氏

 群馬県多野郡に所在する「公立藤岡総合病院」。「HOSPITAL INFO」では初登場となる自治体病院だ。JR上野駅から新幹線で約45分の高崎駅、そこから車で約25分。その周辺は緑を多く残し、都内では味わえない自然の豊かさを感じる。同院は昭和26年に開設され、それ以来50年以上にわたって地域医療に貢献してきた。しかし、時が経つにつれて施設は老朽化、そのサービスは地域や時代のニーズにあわないものとなっていった。そこで平成14年には外来分離を行い、県下では最大規模の附属外来センターを開設することとなる。今回、そのオープンと同時に院長に就任した鈴木忠氏にインタビューを行った。

 
 <病院の沿革>

 昭和24年、多野郡に所在する17町村(当時。現在は1市3町2村)によって「多野藤岡医療事務市町村組合」が発足し、病院建設計画ができた。その2年後、野原の真中に木造2階建ての「多野病院」が設立されたのである。病床数は30、標榜科目は内科・外科・婦人科の3科目であった。
昭和46年には西棟が誕生し、合計213床となった。院長の鈴木氏が同院と関わるようになったのは、この年だ。「ここで働いていた友人の代わりに、短期間勤務したのが始まりです」と、当時を振り返る鈴木氏。その6年後、今度は内科医長として、再び同院に戻ってくることになる。
昭和48年、総合病院の名称使用が許可され、「多野総合病院」と改称する。昭和61年には東棟を増築、413床となる。そして平成9年3月、現在の「公立藤岡総合病院」の名称となった。その4ヶ月後には老人保健施設「しらさぎの里」や訪問看護ステーション「はるかぜ」を開設し、より一層地域のニーズに応えられるようになった。なお、平成13年まで療養型の病床も1フロア設置していた。しかし、療養機能は地域の民間病院に譲ることとし、廃止している。平成15年の病床区分届出に先駆けて、急性期病院として地域に貢献していくことを選んだのである。
そして平成14年、地域のありとあらゆるニーズに応えるべく誕生したのが、県下では最大規模を誇る附属外来センターである。その一方、病院の方は改修されて6人部屋が廃止するなど、アメニティーを高めた。その結果395床となり、現在の姿となった。


病院外観


外来センター

 このように地域医療に力を注ぐ一方で、医師の教育のほうにも力を入れている。現在、臨床研修の協力型病院として、群馬大学から3名の研修医を受け入れる予定だ。さらに、平成17年4月からは管理型研修病院として研修医を受け入れる予定である。

 
 
 病院の特徴>
◆ 附属外来センターの誕生

もともとは平成10年に同院の将来計画が策定され、その中で課題として出てきたことである。外来分離前、外来患者数は約1000名を超えており、病院の機能は限界に来ていた。駐車場は狭く、施設は老朽化が目立ち、患者のプライバシーの尊重も充分にできていなかったのである。そこで病院の機能、つまり地域の医療機関と連携し、入院を中心に運営する機能を高めるためにも、適当な土地に移転するなどして、外来分離を行おうということになった。

外来分離に対して、「病院と外来が分かれていれば、二重投資することになる」「マンパワー不足になる」など、反対意見も少なくなかった。しかし亀田総合病院が外来を分離するなど、当時の病院経営の傾向が追い風となって、それは決定的なものとなる。平成11年末には建設課が設けられ、外来分離の計画は具体化していった。
その形態として、病院をあわせた一括移転などが検討されたが、財政的な負担となることから断念。結局、病院から約1.5キロ離れたところに土地を入手し、外来専門のセンターを開くことになったのである。

外来センター入り口

 2004年10月現在、外来センターでの診療科目は、内科系・整形外科・眼科・心療内科・脳外科・ペインクリニック・小児科・産婦人科・泌尿器科・外科・耳鼻咽喉科・皮膚科・漢方外来。ホームページに載せられている診療予定表を見ると、担当医師の名前のみならず、その専門科目まで書かれている。このように、入院せずとも、外来の段階でできる限り診療できることが強みだ。また、病院は群馬県下でも小児救急および新生児医療に力をいれている病院の1つである。特に、小児救急の実績は徐々に増え始め、2004年8月には135件となっている。
また、本年8月から開始された地域開業小児科医による、病院での準夜小児科診療支援は順調に進行している。その結果、小児科当直医の負担軽減に役立っている。

 

◆ 外来センターの概要と設備、その地域の医療機関に対する影響

建物は4つに分かれた広大な駐車場に囲まれており、敷地内の一角にはリハビリ庭園を設けている。玄関を入ると、広々とした総合受付が広がる。各診療科は1階と2階に分かれて設置されている。受付は吹き抜けとなっており、中央に位置するエスカレーターを昇っていくと、2階から受付を見下ろせる。また健康管理センター、すなわち人間ドックもこちらの3階にあり、一般外来とは別に受付や検査・診察、会計までできるようになっている。
最新かつ高度な医療機器をそろえ、内視鏡や糖尿病など、従来は病院で行っていた診療ができるようになった外来センター。地域の医療機関を圧迫することにはならないのだろうか。

 「もちろん、地域の医療機関と連携を第1に考え競合するようなつもりはありません。一方、病院にも開放病床を5床用意し、地域の開業医と共同で診療する体制を整えています。診療しないまでも、自由に診療記録を閲覧できる登録医という形で、病院に入ってきてもらっています」

 現在、診療圏内の人口は約10万人。患者の40パーセントは藤岡・多野の住民だが、30パーセントは埼玉県からも来るという。車でのアクセスが良く、広大な駐車場を持っているため、徐々に増えている。なお、病院と外来センターは、30分毎に運行される連携車で結ばれており、職員の往来に利用されている。


広々とした総合受付
 
 
 運営・経営方針

◆ 外来センター経営の重要なポイント

やはり外来センターの方向性が、病院全体の運営・経営に深く関わっているようだ。現時点における外来センターの経営状態について、鈴木氏は「平成15年度の1日平均外来患者数は約750名強です。収支が黒字となるためには、1日約1000名の方に来て頂かなくてはなりません。現時点では赤字ですね」と、答える。しかし、平成6年の段階で、同院は2億3000万円超の累積欠損金を持つ赤字経営だったという。しかしそれを様々な経営努力で解消し、平成8年度から9年度の間に、自主財源で介護老人保健施設を設立できるまでになった。また平成13年、全国自治体病院協議会から自治体立優良病院として表彰されている。その2年後には厳しい算定要件をクリアし、県内の公立病院では初の急性期特定加算を取得するなど、経営的には実力を持つ病院だ。そこで、鈴木氏は言う。

「診療圏外の外来患者を受け入れるためにも、優秀な医師がたくさん必要ですね。また、外来専門ということで、時間に制約のある女性医師も勤務しやすいかもしれません。現在、当センターに勤務している女性医師はそれほど多くありませんので、歓迎しますよ。将来的には、若い医師には病棟で修行してもらって、その医師が将来外来で指導医的な立場で活躍してくれるようなシステム作りを目指しています」
   


◆ 検討課題と今後の展望

外来センターは当然の検討課題として、職場環境の充実を図っている。

「医療は人によって成り立っています。一方的なトップダウン方式でやるのではなく、医師やコメディカルを含めた全職員が、自発的に業務改善に取り組み、安心して働くことのできる職場を作っていきたいと思います」

その姿勢のあらわれとして、現在、日本医療評価機能機構認定を申請中である。

 
 
 <病院の理念>

・患者さまの意思を尊重し、信頼される医療を提供します
・地域中核病院として、高度な医療と救急医療の充実に努めます
・急性期病院として関係機関と連携し、地域医療の充実を目指します

 

【HOSPITALINFOバックナンバーリストへ】

 

2004.10.01 掲載 (C)LinkStaff

バックナンバーはコチラ