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- 七沢リハビリテーション病院脳血管センター -
病院長 岩淵 定
~神奈川県厚木市~
 
<病院の沿革>


 脳卒中治療を「オペラ」と表現する岩淵院長。その言葉から感じられるのは、脳卒中治療に対する真摯な姿勢と自信である。その一方で「アドボカシー室」を設けて、患者さんやその家族の意見を広く吸い上げるという努力も忘れてはいない。

 小田急愛甲石田駅から車でおよそ十分。都会的な本厚木の街とは別世界のような、静謐な山郷が広がっている。都心からの抜群のアクセスで人気の七沢温泉のほど近く、七沢リハビリテーション病院脳血管センターはある。リハビリテーション入院病床283、急性期入院病床44、検査教育入院病床20の計347床を抱える一般病床の病院である。
「病院も『生活の場』であるということを大切にしなければなりません」という岩淵定院長の言葉通り、一歩玄関に踏み入れたときから、温泉街のホテルのような、どこか居心地のよい空気が流れてくる。小高い丘の上にある病院の窓には、山々の紅葉が映えている。
七沢リハビリテーション病院脳血管センターは、七沢理学診療病院として、昭和41年に発足した。神奈川県が設置し、社会福祉法人神奈川県総合リハビリテーション事業団が運営する病院だ。その目的は、「神奈川県民にリハビリテーションサービスを提供する」というものである。昭和60年に現在の名称に改められ、脳卒中の予防から急性期医療、そしてリハビリ、在宅復帰までを一貫して行う病院となった。
平成13年、それまでに培われたリハビリテーションの知識や技術に加え、脳外科、脳血管外科、神経内科を充実し、機器も最新鋭のものに更新し、快適な療養環境を整備し、県民の医療ニーズに合致した医療を展開するためにリニューアルした。
日本大学医学部を卒業後、昭和61年からこの病院に勤務していた岩淵定先生が院長に就任したのは、平成12年である。


 「病院の存在理由が変わったわけではありませんが、軸足をリハビリテーションのみから包括的医療へと移したのですね。退院した後も、患者さんはある意味ずっと『脳卒中』と歩いていくわけです。医療と福祉を一緒に提供し、一人の人間としての患者さんを多面的にフォローしていく必要があるのです」
 
<病院の特徴>
◆先進的医療とチーム医療

 予防から在宅復帰までを総合的に支える医療。これを実現すべく、七沢リハビリテーション病院脳血管センターでは、ハードとソフトの両面を充実させている。
マルチスライスヘリカルCT、デジタルアンギオ装置、MRI、頚動脈エコー等を備え、先進的医療を提供するが、同時に医療チームによる取り組みが不可欠だ。
 チームには、医師や看護師、リハスタッフも含まれ、これら多職種の専門家が、発症から在宅復帰まで協力して治療にあたる。これにより、退院後の高いQOLの獲得、死亡率の低下や在院期間の短縮、80パーセントを越える在宅復帰率が達成された。
「『チーム医療』と言ってしまうとはやりのようですが、リハビリはそもそもチームで行うものであり、昔からあった概念です。ただ、以前はチームの外に患者さんが置かれてしまいがちだったのに対し、今は患者さんや家族を中に取り込むことが重要になっています」
チーム医療は、単に「専門職が技術的に連携する」ということにとどまらない。「退院後もずっと病気とつきあっていかなければならない患者さんのためにも、家族のように暖かく「治療生活」を支えてく必要がある」と院長は言う。
「昔からの『闘病』などというイメージは古臭いです。『病気と闘う』などと言ってしまっては、悲壮感が漂ってかわいそうじゃないですか。居心地の良いところで療養した方が、患者さんにとっても良いに決まっているのです。一番良いのは、一日も早く社会復帰して、地域でリハビリしていくことです。

 患者さんは脳卒中に罹りやすい因子をずっと抱えていて、障害が残る場合もあります。退院してそれでおしまい、ではないのです。その後も力を提供しようと思ったら、地元の医師、ケアマネジャーやケースワーカー、さらに地域の人とも協力していかなければなりません。そういう大きな意味での『チーム医療』を追求する必要があるのです」
当然、他病院との協力も重要になる。同じ神奈川県総合リハビリテーション事業団によって運営される神奈川リハビリテーション病院とは、緊密なタッグを組んでいる。
「例えば、脳卒中の患者さんで精神科の治療が必要な方がいます。精神科の先生をおければ一番良いのでしょうが、なかなかそういうわけにもいきません。患者さんにとって必要な診療などについては、連携をとっています」
 
◆患者・家族の立場に立った医療
 脳卒中の患者さんをトータルでケアするということは、一人ひとりの患者さんに対して全人的医療を提供する、いわゆる『テーラーメイド医療』であり、これを実現するためには、患者さんのさまざまなニーズに対するきめ細かな対応が求められる。そのため当病院では、内科・神経内科・脳神経外科外来の他に脳卒中総合外来を設けている。
 脳卒中総合外来では、脳卒中の心配な方や脳卒中後遺症に悩む方に、予防から治療相談、リハビリテーション、さらに、在宅生活においての種々の問題についての相談を受けている。
さらに、院内に設置された医療福祉支援室では、介護保険についての相談、市町村との連絡調整などを行うほか、保健指導及び運動療法指導、地域の医療機関との連携などを受け持っている。
 当病院の掲げる理念の一つに「患者・家族の立場に立った医療を実践する」というものがある。実践するための一つとして「アドボカシー室」を設置している。
アドボカシーとは、「権利を擁護する」「代弁する」といった意味だ。医療者に直接話せないような患者さんの意見を、広く吸い上げていく目的で設けられた。
「以前は、患者さんの意見を聞く正式な窓口というのは、投書箱くらいしかありませんでした。それも数えるほどしか投書がなく、少なすぎて不思議に思っていたのです。
日本人の国民性もあるかもしれませんが、患者さんはどうしても我慢してしまいがちです。そうすると医師は上から見下ろすようになり、パターナリズムにも陥りかねません。上下ではなく横の関係でなければ、真の医療はできないのです。
 『我慢しろ』というような横暴な言動はもってのほかです。もしも患者さんが意見を言いにくいのなら、誰かが代弁する必要があるのです」
アドボカシー室の設置以来、患者さんからの意見は段違いに増えたという。それをフィードバックしている例も多い。具体的には、と井上総務課長に尋ねてみた。
「例えば、十字路になった廊下の天井に、ミラーボール状の鏡を設置しました。車椅子の患者さんが多いですからね。全体的に病院が綺麗になりましたし、何より、医師や看護師が率先して患者さんの声に耳をかたむけるようになりました」
 
<運営・経営方針>
◆今後の運営と求める人材
 一貫した脳卒中医療の中でも、予防にはとりわけ力が入れられている。リハビリテーション講座や保健指導といった、公開講座も開いている。インターネットを使って告知したところ、遠方からも多くの問い合わせを頂いたという。
「アメリカでは『ハートアタック』ならぬ『ブレインアタック』という言葉を使って、脳卒中の危険性が訴えられていますが、日本ではまだまだ不十分です。糖尿病では一般化してきているように、当院で行っている検査教育入院も、脳卒中をおこさないための生活習慣病の予防として実施しているところです」
こう語る岩淵院長に、求める医師像を尋ねた。 「当院では脳卒中の患者さんを包括的にみていっていますから、『わたしは内科だから内科しかわからない』という態度では困ります。教育システムが縦割りであることの弊害かもしれませんが、急性期だけ、慢性期だけ、といった対応では不十分なのです。患者さんにとっては、脳卒中は一つなのですから。専門性は必要ですが、まずは全体を捉えられる医師が求められます。
わたしが留学していたイギリスでは、GP(一般医)の勉強をして、そのうえで専門医の訓練が六年間ありました。包括的な見方が出来て、その上に専門性が積み重ねられる、ということです。
 脳卒中を総合的にみられる医師というのは、まだまだ多くありません。逆に言えば、当院のような環境でこれを実践していくことは、素晴らしい財産になるはずです。脳卒中治療は、音楽で言えばオペラでしょう。目指す者にとって何の不足もないテーマなのです」
 
<病院の理念>

1 脳卒中医療の中枢的機関として、先進的かつ高度な医療の提供を目指します
1 患者・家族の立場に立った医療の実施に努めます
1 チーム医療に徹し、最善の医療を提供できるように努めます
1 インフォームド・コンセントに忠実な医療の実践に努めます
1 医療者としての使命感に情熱を燃やし続けます
1 医療の質の向上に努め、健全な病院運営を行います

~七沢リハビリテーション病院脳血管センターよりのお知らせ~
当院では、常勤医師を募集しております。詳細は以下のリンクページよりご確認下さい。

常勤医師:http://www.e-doctor.ne.jp/script/query_2.php3?kyu_no_e=No.02415


 

2004.1.5掲載 (C)LinkStaff