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- 医療法人 社団美心会 黒沢病院 -
群馬県高崎市
 
<病院の沿革>

黒沢病院の開設は昭和60年のこと。現在でも病床数が98床にとどまっているが、これは経営や敷地の制約によるものではない。増床よりもクオリティの向上を目標としてきたためだ。病院機能評価の認定は5年前に受け、今年は更新の年になる。

「自分では良いことをやっているつもりでも、第三者から見ても間違いがないかどうか。組織の中で仕事をしていると、言いたいことを言わずに、我慢している場合もあると思うです。特に私には、ワンマンな所がありますから。本当に利害関係のない、第三者の評価を入れるのが大切ではないかと思ったのです」

認定を受けた病院が同意すれば、結果は評価機構のホームページでも公開される。それを元に「良い病院ベスト100」を選んだある雑誌は、黒沢病院を51位にランクした。集計には反映させなかったが、認定後に改善された項目があると注釈をいれた上でだ。
これを高校野球にたとえるなら甲子園常連クラスだろう。しかし、黒沢院長は不本意な表情だ。

 

「審査を受ける前に、多少の準備をしましたが、簡単に取れてしまったという感じで」

これがむしろ、拍子抜けだったらしい。一般企業が競って取得し、継続的改善を求められるISOを知り、これを一年の目標として発表したのが、一昨年の新年会だった。
ISOにはさまざまのバージョンがあるが、2000年版の認証を受けた病院は、全国でもほとんど前例がない。

「そのときには、職員の間でもISOとはなにか、あまり知られていませんでした。指導をお願いした会社も、病院を扱ったのは初めてだったのです。そこから始めた。オーダリングシステムの導入と同時進行で、皆大変だったのですが、やる気になってくれました」

目標は、見事に達成された。その効果に付いては後に改めて触れる事にする。

 
<病院の特徴>
黒沢病院では、毎年5月に病院祭が行われる。そこで抽選に当たると、MRI検査などが無料で体験できる。

「すると不思議なほど毎年、脳腫瘍が見つかるんです。けれど、本当の目的は、病気を見つけることではありません。地域住人の皆さんと同じ場所に立って病院がどんなところか、普段から知っておいてもらうためです」

体験検査や展示のほか、模擬店などもあり、家族連れなど、3千人からの来場者がある。院長自ら半被を着て出迎える姿は、お堅くて敷居の高い病院のものではない。地域の住人そのものだ。地域医療を担う、という謳い文句を、同じ地域住人の一員として、と受ける姿勢が実感できる。
病院祭以外の日にも、健康な人が大勢来院する。健康診断と人間ドックの利用者だ。フロア一つを使い、専用の受付と巡回路が設けられており、MRアンギオグラフィほか、最新鋭の機器による検査が受けられる。利用者は、年間一万人を突破した。
また、体外衝撃波による腎臓結石破砕や、人工透析にも力を入れている。腎センターの43床は、冒頭で触れた98床とは別枠だ。
それでは、入院患者はどうか。医療技術の質は当然として、人間としての生活のクオリティにこだわっている点が見逃せない。
広々とした風呂場は、最も見晴らしの良い最上階にある。食堂も、病院内とは思えないほど居心地の良い雰囲気で、食器は瀬戸だ。


 「手間もコストもかかりますが、アルミやプラスチックの食器では、食欲もわかないでしょう?」

そして米は、日本一おいしいと評判の、新潟県魚沼産だ。

「患者さんには、おいしいものを食べて、栄養をつけてもらいたい。けれど、保険の範囲内で普通にやっていたら、おいしいものは出せません。ですから、私を先頭に、トラック三台で、直接農家に買いに行き、積み込みも自分たちでやります。中には、この一杯のご飯が最後になる人だっている、そういう気持ちで始めたのが、もう、10年以上も前ですね」

 
<病院の理念>


 ISOに話題を戻そう。
品質の企画としてはJISがお馴染みだが、これは出来上がった製品の品質を保証するものだ。ISOでは、製品だけでなく、品質を管理する業務やシステムまで審査の対象になる。
これまで話題になった医療事故をみると、技術や設備の不足で起こったものは、意外なほど少ない。ほとんどは注意不足や連絡ミスなど、日常業務の不手際や体制的な落とし穴によるものだ。まさに、ISOの領分ではないか。

「日常業務をやっている中で、それぞれの現場で改善をかさね、やり方が変わる事があります。けれど、A病棟とB病棟で違うやり方をしていたら、食い違いから事故が起こるかもしれない。それぞれの改善が病院全体に反映されれば、全体が良くなるし、食い違いも起こらないはずです」

この病院では、ISO以前から品質達成制度があった。しかし、以前は個人の目標だった。ISOの場合は、業務単位での達成が重要になる。経営理念、方針から始まって、現場までずっとリンクしてゆかなければならない。


 「ISO取得に向けた勉強会では、他の部署でやっている仕事についても、皆が参加して勉強することにしました。一見無駄なようですが、そのおかげで、それぞれの苦労や役割を、お互いに理解できた」

理念として掲げられた、最高の総合医療サービスを実現するには、それぞれの分野で最高のものを寄せ集めるだけでは足りない。全体がきちんとかみ合っていなければならないのだ。

 
<今後の課題>


 ISOの勉強会で、37人が内部監査委員の資格とり、現在も3人一組で活動を続けている。個人ではなく、システムや手順を対象にしているので、日本人にもなじみやすいのだろう。不備を指摘するだけで終わりにするのではなく、改善提案が活発だと言う。
現在ISO審査委員補の資格を持つ総務担当は、本委員の資格をとるために勉強中だ。認証更新のためだけなら、必要のない努力かもしれない。人件費の効率を考えるなら、贅沢と考える人もあるだろう。
しかし、クオリティには上限がない。そして、クオリティを追及する努力にも、終わりがないのだ。

 
私たち病院の理念
医療法人 社団美心会  経営理念
最高の総合医療サービスの提供

黒沢病院 経営理念
より安心をして頂ける医療の提供

ISO美心会 品質方針
1.品質マネジメントシステムの運用と継続的改善
2.ご利用者様へ最高の満足の提供

ISO美心会 品質目標
1.ミスを起こさない
2.職員の資質の向上を図る
3.接遇サービスの向上を行う
4.待ち時間を短縮する
5.5S運動(整理・整頓・清掃・清潔・節約)を展開する


2003.1.10掲載 (C)LinkStaff