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- 医療法人 三慶会 指扇病院・指扇療養病院 -
埼玉県さいたま市
 
<病院の沿革>
 JR埼京線・川越線の指扇駅から徒歩10分。西大宮バイパスの高架をくぐると、住宅街と田園風景の境に、二つの病院が差し向かいに建っている。今回取材にうかがった指扇病院と指扇療養病院だ。晴れた日には、バイパスの降り口越しに遠く富士山を望むことができる。環境もアクセスも良好だ。
来年8月末の、「一般病床」「療養病床」のいずれかへの移行。必要なスタッフや病床面積も引き上げられた。各病院が、増改築や療養型病院の新設など、新基準への対応を迫られているなかで、
「すぐに対応できる、というより、このくらいは当然だろうと思ってやってきたことに、ようやく政府案が追いついてきたという感じですね」
と語るのは、指扇療養病院の鈴木 勉院長だ。
 相手をほっとさせるゆったりした口調。インタビューの最後まで、一度も質問をさえぎらなかったのは、医師としての経験のなせる技だろうか。
「医者の家に生まれ、ごく自然にこの道を選びました。生家のほうは兄が継いでくれたので、私は私で一からの出発です」。
現在の美女木ジャンクションにほど近い場所に、鈴木病院を開業。すぐに一日平均100名以上の外来があるほどの盛業をみせ、昭和57年には現在の場所に指扇病院を開設した。当初は院長を招聘し、自身は鈴木病院での診療を続けていたという。その後、指扇病院院長として診療・経営に力を尽くし、平成12年1月に息子である慶太医師に院長職を譲り、自らは新設された指扇療養病院院長に就いた。
「私が口出ししなくてもうまくやっているようで、安心しています」。
 指扇療養病院は、厚生労働省による改革試案前から取り組み、発表一年前に開設を終えたことになる。
 
<病院の特徴>

両院とも、設計図面は鈴木院長自身が引いた。念頭にあったのは、現場の人間関係だ。
「人数が多すぎるとチームワークが取れません。一人の医者に6人の看護師で1チームとすると、それでケアできる入院患者は、40人から、多くても50人。この1ブロックを1フロアとして、たてに積み上げたのが指扇療養病院です」。
トップダウンで管理しやすい代わりに、風通しが悪くなりがちなピラミッド型組織とはまったく逆で、現場のチームワークを優先させた。これが、自由闊達なボトムアップの精神を根付かせ、スタッフの定着率を高める第一歩ともなったようだ。
「研究会や研修は大切ですが、やれと言われて義務で参加するのでは身につきません。それに、私があれこれ指示をしなくても、現場の人間が研究課題を見つけて、お互いに知恵を出し合っていますから、良いところを誉めて、応援するというスタンスです」。
 

 指扇病院は、2947㎡の敷地に地上6階地下1階建て140床。駐車場スペースを活用すれば、さらなる増築が可能だが、
「手に余るほど大きくしても意味がない。余力があるなら、一まとまりのものを新たに作ったほうが良い」
と考え、病床数240床、7階建ての指扇療養病院を新設した。組織が大きくなれば、風通しが悪くなる。1チームあたりの人数を増やすより、チーム数を増やすほうが良いとの判断だ。
「病院を作ったときには、自分の家族を安心して入れられるものをと考えていました。今度は、『自分が入るなら、こんな療養病院』という気持ちで図面を引きました。私もそろそろそういう歳ですからね」。
 ある意味、よく耳にする言葉ではあるが、実際に病院内を案内していただくと、その意味するところが飲み込めてきた。
たとえば、内装と空調だ。清潔だが殺風景な白い壁に消毒液の臭いは、口やかましい看護師や無愛想な医師と同じく、入院ストレスの代表格だろう。この病院にはそれがない。抑え目のBGMが流れる正面受付は、むしろホテルのイメージに近い。
また浴室の設備と、入浴介助にも力を入れている。配膳用のワゴンは特別注文で作らせたもので、冷・温分離保温の2ドア式だ。その他、患者の目に付かないところでも、快適さと衛生のための、現場を知る医師ならではの工夫が盛り込まれている。
これはまた、経営理念にもある
「心のこもった医療」
「やり甲斐のある職場」

を実現する工夫でもある。

 
<運営・経営方針>

 経営理念としては、地域への貢献と、近隣医療機関からの信頼が挙げられる。あくまでも「信頼」であって「提携」ではないところに注目したい。制度からのトップダウンではなく、ハートからのボトムアップなのだ。
地域医療の中核を担う基幹病院でありながら、かかりつけの開業医のように気安く話せ、病気以外のことでも家族のように相談できる不思議な病院。これが、今回の取材を通して受けた印象だ。
たとえば、入院手続きの窓口となる相談室では、在宅看護や公的福祉についての質問も受け付けている。患者さんとその家族にとって最善の選択ができるよう、入院以外のオプションや、他の医療機関などへの紹介まで視野に入れたカウンセリングを行っているのだ。ボトムアップの基盤を、医師と病院だけで完結させず、患者とその家族、地域社会との良好な関係にまで広げて考える視野の広さが伺える。

 鈴木病院時代には、診療を終えたあとにも、患者さんからの相談の電話がよくかかってきたという。この親近感と信頼感は、親身になって最後まで話を聞く姿勢のたまものだろう。建物が大きくなり、人員が数十倍になっても、出発点は変わらず、病院全体に反映されているようだ。
 
私たち病院の理念
1. 健全経営に努め、良質な医療を提供し、永く地域に貢献する。
2. 患者様一人ひとりを自分の家族と思い、心のこもった医療を提供する。
3. 働く職員にとっても、安心して長く勤められ、生き甲斐とやり甲斐のある良き事業所にする。
4. 職員は皆、自分の役割を自覚し協力し合って仕事をし、事故防止に努める。
5. 教育に力を入れ、個人個人の能力向上に努める。
6. 近隣の医療機関から信頼される病院を目指す。

2002.8.1掲載 (C)LinkStaff