HOSPITAL INFO

バックナンバーはコチラ

- 財団法人 河野臨床医学研究所 附属第三北品川病院 -
東京都品川区
 
<病院の沿革>

外観 今回取材した第三北品川病院は、JR山手線品川駅で京浜急行線に乗り換え、一駅目の北品川駅から徒歩2分という好立地である。昼夜を問わず交通量の多い第一京浜国道(国道15号線:東京都中央区から横浜市を結ぶ全長29kmの路線で、川崎市の中心を通り京浜地区を結んでいる)に面している。

ベッド数199床、地下1階地上5階建て。整形外科、形成外科、内科、外科、脳神経外科、泌尿器科、高次脳機能外来を診療科目として掲げる同病院の1日の外来患者数は350人。区内の近隣住人だけでなく、ITボケに代表される脳障害の治療のために、遠くは北海道や鹿児島など、全国から患者が通院しているという。

同研究所理事長の河野稔氏は東京慈恵会医科大学整形外科助教授であったが、「学閥にとらわれず、自由で自主的な研究をしたい」との思いから、大学を離れて独立を志した。昭和26年、ベッド数7床、職員4人の「河野医院」からのスタートだったという。朝9時から夜8時まで外来、往診、診察、手術を行い、戦後の復興期の中で、大学時代の同期生たちや学生アルバイトが多く集い、病院を切り盛りしていた。昭和27年には当初からの目的であった研究のための施設「財団法人河野臨床医学研究所」を設立。昭和29年には第一品川病院、第二品川病院を、昭和36年に第三北品川病院を開院した。

「開院当時は辺り一面に何もなく、殺風景な場所でした」と語る河野理事長。今や、近隣には京浜工業地帯が広がり、品川駅周辺には多くのインテリジェンスビルや一流ホテルが立ち並び、地域は繁栄している。

その後、第一病院は北品川クリニックと改称、第二病院を廃院し、昭和43年に北品川総合病院(現・北品川病院)を開院。現在は研究所を中心に、各院が連携を取り合い、日々診療を行っている。この他関連施設として、三重県四日市市の特定医療法人富田浜病院がある。

河野理事長は臨床の傍ら、慢性関節リウマチの発症メカニズムの解明や治療に向けての基礎的研究を続けている。これまでに、動物での慢性関節リウマチの発症にも成功するなど、実績を上げ、これら半世紀にわたる研究では、多大な研究費用を投じている。一方、昭和30年から富山県で多発していた「イタイイタイ病」の調査・治療のため、無料検診を実施したのも、河野理事長である。イタイイタイ病を不治の病から、臨床治療が可能なものとしたその功績は実に大きい。
 
<病院の特徴>

外観 同院が年間に受け入れている救急車の台数はおよそ5000台。大学の附属病院に匹敵する受け入れ数で、市中の病院としては異例だ。都内でも救急患者の受け入れに関して群を抜く急性期病院として、広く知られている。第一京浜に面する正面玄関前には、救急車が列をなして、多いときは病院裏手にまで連なるという。取材時にも、救急車から患者が搬送される光景が見られた。

なぜ、一私立病院にこれほどまでに救急車が集中するのか。それは昭和29年に救急指定病院となって以来、年中無休、24時間体制で救急患者を受け入れ、夜間も常時、外科、内科、整形外科、脳神経外科の医師スタッフが待機するという、充実した救急医療体制を敷いていることにある。これは河野理事長の「患者のたらい回しは絶対避けなければならない」という思想からきている。

河野理事長は河野医院の開院当初のことを振り返る。暴風雨がこの地を襲ったある日、往診依頼があったという。「どこの医者も、ひどい風雨の中、往診には応じなかったのですが、私はフンドシ一つで自転車に乗り患者のもとへ行きました。幸い、一命を取り留めることができました。どんな時でも患者の命を救うのが医者の使命です」

いつ、いかなる状況にあっても、河野理事長は医師として病気やけがで苦しむ人を見捨てることをせず、身を粉にして医療に専心してきたのだという。それから50余年、その精神は同院の医療従事者たちに脈々と受け継がれ、患者を拒むことが一度もない。このような実績を評価され、平成2年には東京消防庁直結の新救急端末が設置された。

院内 外科手術では「切断」するしかなかった手術症例において、大学病院でも行っていなかった「切断肢の再接着」に挑戦し、多くの実績を積んでいった。研究機関を併設した医療機関であるからこそ、優秀な人材が集まり、多くの成果がもたらされているのである。研究所が年々公表している『河医研研究年報』はすでに50号を超え、様々な研究テーマで多くの成果が発表され、海外向けの年報も発行しているという。また、最近ではパソコンやカーナビなどコンピュータ機器の普及が高まり、脳が劣化する「ITボケ」になる人が多くなっているという。同院の高次脳機能外来科は、この分野についての研究を早い時期から進めており、築山節院長は、この分野における第一人者である。

ちなみに、北品川クリニックの健康医学センターでは人間ドック(日帰り・一泊)、生活習慣病健診、一般健診を行っている。日本病院会・優良自動化健診施設、日本総合健診学会・優良施設に認定されており、人間ドック学会認定指定医が診断にあたる。同クリニックでは出張健診も実施しており、企業での集団健診にも対応している。また、北品川病院は、都市部では珍しい慢性疾患や後遺症に悩む患者の身体機能を早く回復するための介護療養型医療施設だ。
 
<運営・経営方針>

河野理事長 早くから独自の病院経営を推し進めてきた河野理事長。

質の高い医療を提供するために、昭和48年からは木曜・日曜休診という週休2日制をいち早く採用した。「医療従事者が体を休めるためだけでなく、個々人が研究に一層専心するための日という意味もある」と河野理事長はいう。

一方、ウエルネス課という、独自の人事制度を敷いているのも特筆したい。一般に看護師の仕事は患者の看護だけでなく、時には雑用や事務もこなさなければならない場合が多い。それでは看護師の負担は重く、質の高い看護を提供することができないと河野理事長は考えた。このウエルネス課では看護師のそういった初期的事務を行う役割を担っているのだ。現在、看護師数は3施設合わせて約100人であるが、ウエルネス課の職員は50人以上、擁している。

健康講座開催のお知らせ 地域住民とのコミュニケーションの疎通を図ると共に、知識の啓蒙も推し進め、月に1度、病気、健康、食生活、医療技術など幅広いテーマで健康講座を開催しているという。専門の医師が最新の情報も交えながら、一般の人々にもわかりやすく話すため、毎回好評で50人程の参加がある。

少子・高齢化の現代日本。医療の中心は治療医学から予防医学へと重点を移しつつある。河野理事長は、これからの病院経営の展望として、独自の「トータル・ヒューマン・ヘルスケア・ユートピア」構想を提案している。

具体的には、青少年の健全育成支援のための全日本柔道普及会活動(現在NPO認可、毎年講道館で柔道祭を開催し26回を数える)、地域医療健康会開催、百寿会(百歳まで健やかに生きられることを目指す会)の開催、北品川クリニックによる予防医学(出張健診も実施)、第三北品川病院による急性期医療、北品川病院(療養型病床群)によるリハビリ、介護等のネットワークの確立であり、これらの活動を充実させることを目標に掲げている。
私立病院でこれほどまでの規模、実績を上げているところは類をみない。河野理事長の志を反映した、断らない救急病院、予防医学に重点を置くネットワークシステムの構築・・・。「医療の主役は医療者ではなく、患者であること」を、この病院を訪れて実感した。
 
私たち病院の理念

「真療」の精神で、「患者様を親子・兄弟のように温かく診断、治療する」ことに 注力しています。

2002.6.6掲載 (C)LinkStaff