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- 医療法人社団 康喜会 東葛辻仲病院-
千葉県我孫子市
 
<病院の沿革>


外観「従来の中小クラスの総合病院経営は、今後ますます難しくなる。中小規模の百貨店・スーパーが倒産するのと同じです」と、語るのは今回紹介する東葛辻仲病院の辻仲康伸院長。 これからは時代のニーズに合わせた、専門分野に特化した病院でなければ生き残るのは難しいと、各地に循環器病センターやリハビリテーション病院などが新設される中、同院はその風をいち早く読み取り、昭和63年に大腸肛門疾患の専門病院として、千葉県我孫子市に開院された(54床)。

辻仲院長は大阪府出身。横浜市立大学医学部を卒業後、同大第二外科に入局し、大腸がんを中心とした消化器外科の大腸肛門病の臨床と研究にあたっていた。シカゴ大学留学中には小腸移植を中心に、腸管の病態生理の研究を行うなど研鑚を重ねたという。 「当時はがんと言えば、胃がんでした。私が入局した頃は大腸肛門病の黎明期といってよく、分野としては新しいものでした」


院内日本が豊かになるに従い、食生活など生活習慣が欧米化していき、がんと共に良性の大腸肛門の病気も増えていった。特に潰瘍性大腸炎やクローン病の分類が注目されるようになっていったという。今でこそ診断がつくようになったが、当時は原因が不明で病態が不明なものも多かった。しかし、内視鏡の精度なども上がり、大腸がんの発生や病態もわかってきた。

我孫子市で開業したことについて、「まったく土地鑑がなかった。松戸市どころか江戸川を渡ったことすらなかった。何しろ常磐線は松戸までしか行かないと思っていましたからね。横浜での勤務だったので、まったく知らない土地へ行くのもいいだろうと考えた」と笑う。診療圏調査も一切しなかったというが、我孫子市13万人を始めとした、柏市、昭南町、野田市、取手市、松戸市など80万人以上の人口を背景としているのは強みだ。症状により北海道や九州・沖縄からも来院があるという。平成10年には新館が完成し、104床に増床している。
 
<病院の特徴>

院内開業当初から行われている大腸肛門病教室が患者に大人気だという。毎週金曜日に1階の喫茶室を使い行われるのだが、病気の知識や予防方法、退院後の生活の仕方など、さまざまな内容を辻仲院長自らが講義している。質疑応答もあり、入院患者の楽しみのひとつになっている。

「開院以来13年間欠かさず続けています。患者さんとのコミュニケーションをとるのに良い。皆で学ぶということが大切です」。学会出席期間を除き、必ず行うことで患者との信頼関係も厚い。「専門化した領域なので、あまり大っぴらに行うこともしたくない。ですから公共施設を借りてまで、とは考えていない。聞かれたくないこと、立ち入ったこともありますからね。患者同士であれば、忌憚なく質問もできるわけです」

院内東葛辻仲院では、日帰り手術センター(年間600~700例)も完備しているが、最も力を入れているのが他院で治療が困難な、複雑痔瘻、直腸瘤、直腸膣瘻などの「肛門の難病」治療だ。年間7,000件以上の大腸内視鏡検査、肛門手術3,000件以上と、全国でもトップクラスの実績を誇る。同院の特徴としては重症の患者が多く、ゆえに全国から患者が来院する。また新しい手術法「PPH法」(自動縫合器による脱肛の手術法)の普及を学会で指導し、海外からの研修も受け入れているという。

平成10年にはホームページも開設したが、その大腸肛門病のお悩み解決サイト痔プロ.comの充実ぶりには驚かされる。大腸・肛門の知識からE診察券発行によるバーチャル診察室を使ってのWeb上の診察や健康レシピ集まで、そのコンテンツは多彩だ。 しかも女性スタッフ3名をWeb管理者として配しているのも注目に値する。ほとんどの病医院のホームページ運営は外注か、あるいは院内スタッフによる不定期更新であるのに比べても異例といえる。メールでの問い合わせも多いが、もちろん電話による無料相談も受けていて、患者からの質問に直接、専門医が対応している。

平成10年の増床について辻仲院長は、「病室はホテルで言うと客室ですが、狭い部屋より広い部屋を望むのは当然です。手術室や内視鏡室を始めとする検査スペースが手狭となったことも大きいが、何より患者さんのプライバシーを守るためには、ある程度の空間が必要ということです」と答えた。現在、病院機能評価の申請中でもある。
 
<運営方針・経営理念>

院内「当院は大腸肛門の疾患に特化していますが、痔の患者さんが多いので、『痔の病院』とイメージされている人もいます。実際は胃や腸も診ているし、大腸や肛門の機能異常も治療しています。高齢化社会が間近ということを考えれば、排泄障害なども今後は増加するでしょう。大腸に関わる病気、クローン病なども確実に増えているので、常にどのような疾患でも正確に対応できることを考えた体制作りを心がけています」

また、治るのは当然とし、さらに"快適に治る"ことを目指して、展望風呂の設置や毎食が楽しみとなっているという食事など、アメニティの部分の充実も見逃せないところだ。 「同じ手術でも、外観、機能を損ねないように治療する。患者満足度を高めることが必要です。プラスアルファとして院内設備の質向上を図る。医療はサービス業と、最近言われているようですが、その気持ちで行わないと経営も成り立たなくなるでしょう」

現在、外来患者数は190~200人。予約制の内視鏡検査が30件で、患者数としては少ないが、「標準で2週間に1回の通院です。『毎日来なさい』と言えば、外来数も当然増えるでしょうが、勤めている患者さんなどは通院も大変です。あまり来ないように、というのもおかしいが患者さんの立場で考えれば、当然のことです」と患者本位の方針だ。

積極的な学会への参加について、辻仲院長は「大腸肛門の分野において、当院は症例数も多いこともあり、患者さんやスタッフ、同業の医療機関に対しても治療実績などを報告、説明をする責任があると考えています」と、日本の大腸・肛門診療の「センター病院」としての自負がうかがえる。ホームページの「学会発表」のページからは、公開ビデオも観ることが可能となっている。

辻仲康伸院長職員教育に関してだが、職員全体として病院の理念をしっかり理解してもらい、加えて個々で目標を立て、実行を促している。リスクマネージャーの配置、マニュアル作成などを実践しているが、「『ヒヤリハット』などのミスも、すべて隠すなと言っています。普段から徹底しないとミスしても黙ってしまう体質となる。お互いが見える必要がある」という。

医師間にしても、良いことは積極して公開し実践することで、「上手い人の手技を見習うと、その人の腕も上がる。レベルが総じて上がり、ひいては誰がやっても変わらなくなる」と語り、「自分だけができて他人には教えない、という時代ではない」とも加えた。

平成12年にはJR新橋駅前にサテライトクリニックを開設したのも、東京、神奈川方面からの患者の便宜を考えてのこと。都心に近いため、サラリーマン層など住宅街とは違ったニーズがあるとの見込みもあった。スペシャルDAYとして月に3~4回、辻仲院長自らも新橋クリニックへ行き、診療を行っているという。

また平成13年9月には、宇都宮に分院をリニューアル開院し、東葛辻仲病院の外科部長が院長を務めている。今後もニーズがあればクリニックや分院を展開していく方針だ。

「医療の質を上げていく。技でなくエビデンスです。その中には安全性、信頼性なども含みます。高めて維持する体制を医師だけでなく、スタッフ全員の総合力で構築していきます」。金曜日の夜、大腸肛門病教室を終えた辻仲院長は、疲れも見せず言い切った。
 
 
私たち病院の理念
・ 専門的な最高の医療技術
・ 患者様の人権の尊重
・ 清潔で明るい快適空間
・ 隅々まで行き届いた温かい家庭的なサービス
・ 高いモラルとチームワーク

2002.2.4掲載 (C)LinkStaff