HOSPITAL INFO

バックナンバーはコチラ

 - 社会福祉法人 仁生社 江戸川病院 - 
東京都江戸川区

<病院の沿革>

東京都東部に位置する江戸川区。23区の中でもトップクラスの人口増加率で現在62万人を超えているが、意外なことに大規模の国公立病院がないという。しかも200床以上の病院は一つしかない。JR総武線小岩駅からバスで8分ほど、その唯一の病院である江戸川病院を今回訪ねた。その開院以来、常に地域のニーズに応え、時代と共に変革してきたその過去、現在、そして病院の今後を同病院の加藤正弘理事長に語っていただいた。


昭和7年、当時国民病と言われた結核撲滅のために加藤理事長の父である峰三郎前理事長が個人病院(結核療養所江戸川病院)として開院したのがその始まり。その後の抗結核剤の開発・進歩により結核患者は激減し、病院自体も昭和44年頃より一般病院への転換を進めた。昭和44年の第1期工事を始めとして、昭和55年に第2期工事を行い、その間に外科、内科、リハビリテーション科、整形外科、循環器科を開設している。昭和57年には最後の結核病棟が廃止となった。開院当初の目標が達成されたことが伺える。第3期工事が完了したのは昭和59年でベッド数は251床となり、翌年には江戸川病院リハビリテーションセンターも開設されている。現在の許可ベッド数は300床。先頃、第6期工事が終了した。

この10年間、一般の民間病院が慢性期の老人病院指向となる中、江戸川病院は急性期医療に対する地域のニーズの高まりを受け、平成11年に2次救急医療機関に指定され、また東京医科歯科大学や慶應義塾大学などの教育関連病院となるなど、レベルの高い急性期の医療に重心を置いてきた。第2次医療法改正を受け、療養型病床群を79床からスタートしたが、徐々に減らしていき現在50床となっているのもその現れだ。「衛生局から『療養型病床を減らして一般病床を増やしている病院はありませんよ』」と言われたほどだ。

地域住民との関わりの変化について加藤理事長は「当院が長らく慢性期型との印象が強かったのは否めません。それでも昭和61年に理事長となってから急性期型を目指してきて、最近やっと認知されてきたようです」。先日も公立病院でなく江戸川病院での手術を希望する患者があったという。口コミ効果が大きい、とも付け加えた。
 
<病院の特徴>

これまで6回に渡って行われてきた増改築についても「あくまでも民間病院なので一度に予算を取れるわけではありません。一歩一歩自分の身の丈に合わせた増改築を繰り返してきました」と、病院経営を堅実に進めてきたことが現在の発展につながっていると自信を深めている。

今回の工事(第6期)で5病棟システム(一般内科、循環器、一般外科・産婦人科、整形外科、リハビリテーション科)だったのを1病棟加えて6病棟にしたという。「院長床と名づけた病棟を増設しました。これは患者さんのニーズに最も合うことを念頭に、ベッドコントロールを看護婦さん中心にして全病院的配慮を基にやろう、ということで始めました。ですから必ず夕方には4床は空けておき、しかもこのベッドは24時間以上の在室はありません」。これにより救急患者搬入が倍増したという。24時間365日ベッドが空いている、つまり地域住民の安心感につながる。これまでの年間救急車搬送は2,000台弱。このシステム導入後の伸びを換算すると年換算で倍の4,000台になるとの見込みだ。1日あたり12~13台の搬送は潜在的なニーズがあったことを意味している。
平均在院日数は平均15日。胆嚢胆石や盲腸の手術は術後翌日の退院としているなど、日帰りや1泊2日、2泊3日の入院も多い。「大学病院よりも在院日数が少ない」とのこと。 クリニカルパスも導入しているが、この5~6年は1年ごとに1日ずつ在院日数が減っている。
江戸川病院を特徴づけるものに失語症への取り組みに積極的なことが挙げられる。日本失語症学会理事長も務める加藤理事長は、急性期を担う病院として脳に障害を受け、失語症となった患者への言語回復訓練に力を入れているのだ。現在、常勤4名、非常勤3名の言語聴覚士(旧言語療法士)が勤務している。リハビリテーションに力を注ぐ病院は第2次医療法改正以降、急速に増加した。だがOT、PTなどのスタッフ拡充に比べてSTを拡充する動きは正直、鈍い。「言語聴覚士が国家資格として認められて3年経ちますが、残念ながら医療保険点数の扱いがあまりに不合理です。理学療法士、作業療法士に比べて3分の1に過ぎません。そのため病院経営上採算が合わないのは事実です。それでも必要と考え、当院では積極的に対応しています。保険点数の見直しなど厚労省にも働きかけていますが医療費削減の最中ということもあり難しい」と残念がる。

職員教育への取り組みだが、教育委員会を設け各部署・各科ごとの教育プログラムを組んでいる。研修にも積極的参加を促し、また年に一回、法人内で勉強会の場を持ち成績発表をし、表彰もする。「スタッフが自分の仕事を見直したり、工夫したりすることなど、前向きな姿勢、行動についてはインセンティブで応えています」
 
<経営理念>
江戸川病院は、外科であれば東京医科歯科大学、整形外科なら慶應義塾大学といったように、大学との連携も深く、教育関連病院となっている。緊密な病病連携のもと、専門外の治療であればそのネットワークによって対応してきた。

2年前から循環器に力を入れようとインターベンション手技いわゆるPTCA(冠動脈形成術)を始めることになった。CAG(心臓カテーテル検査)も去年1年間で1,062例を数え、大学病院を上回っているという。都内でも4位で、全国に照らしても9~10位と高位にある。さらに「ハートセンター的存在にするべく、今年の4月から心臓外科医を招き、手術室やICUなどの整備に努めました。9月第1週から手術を開始する予定です」と、すでに20名ほどの予約を受けている。狙いは当たっているようだ。他にも脳血管障害を中心とした急性期の患者のために高圧酸素療法治療室も増設し、加藤理事長の専門である神経内科は東京女子医大からの常勤医が診療にあたっている。
江戸川病院の今後の方針は明確だ。江戸川区北部・葛飾区南部の30万人を対象とした医療センターを目指し、今後10年をかけて充実に努めていく。「急性期、慢性期、リハビリ、予防医療といずれも重要ですが、中でも予防医療が今後重要視されるのは間違いない。地域への生活習慣病予防の啓蒙にも力を入れていきたい」と抱負を語る。病院玄関横にあるプレートに刻まれている言葉『みんなのしあわせとおもいやり』は江戸川病院の理念。これからも地域のニーズに真摯に応えていき共に歩んでいく。

日本病院協会評議員会議長でもある加藤理事長。全国の病院のあり方にも心を配らなければならない立場でもある。特に現在の出来高払い制が徐々に定額払い制へと進み、混合診療が増えるのではと案じている。「粗診粗療」とならないだろうか、と。将来的にどのような方向に向かっても対応できるように今後も組織、スタッフ、設備などの一層の充実に努めていく考えだ。「今後は自己負担が増えても来院したいと思われる病院しか生き残れません」と自らにも言い聞かせるかのように結んだ。

 
私たち病院のテーマ
私たちは「みんなのしあわせとおもいやり」をモットーに、明るい社会づくりを心がけています。伝統あるヒューマニズムと、高度な技術、最新のテクノロジーを最大限に発揮して、より素晴らしく、安らぎのある21世紀を目指して、職員一同精一杯努力していきます。
 
2001.9.1掲載 (C)LinkStaff