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- 医療法人 大壮会 久喜すずのき病院 -
埼玉県久喜市   

<病院の沿革>
JR宇都宮線・東武伊勢崎線久喜駅より、専用送迎バスに乗ることおよそ10分。東北自動車道・久喜インターからも程近いところに目指す病院はある。3月上旬に訪れたのだが、大変暖かな日とあって、中庭では患者さん同士談笑しているのが見受けられる。今回の取材先は久喜すずのき病院。"できるだけ閉鎖性のない自由な雰囲気の中で治療を進めていきたい"との願いを込めて運営されている精神病院だ。
昭和63年12月、開院(149床)。平成4年4月にはB棟(84床)を増築。基準看護も取得した。翌年、精神科デイケア棟が完成し、平成7年4月に医療法人大壮会久喜すずのき病院となった。同年12月にC棟(重度痴呆デイケア)、精神療養病棟(A)100床を加え、233床に新看護基準を受け,合計で333床となっている。D棟(高齢者デイケア)も平成9年に完成した。

今回はこの久喜すずのき病院に鈴木健夫理事長を訪ねた。「スタート時はそれほどスタッフも揃っていなくて、見よう見まねでした」と言う理事長だが、開院当初より、痴呆症の患者さんをしっかりと診ることができる病院を念頭に置き、日々運営に努めてきたという。
<病院の特徴>


痴呆症患者の場合、一般身体的な疾患が多く、そのため精神科の医師にも最低限度の一般内科的知識が自然に身につくような体制を久喜すずのき病院では取っている。また、次々と開発される新薬を的確に使っていくには精神薬理学的知識も不可欠。さらに神経内科的知識の必要性。この3つの知識の重要性を訴える鈴木理事長。「これら基礎的知識を身につけることは、一般急性期精神医療にとって非常に大切です。」この"教育体制"の充実が久喜すずのき病院の強みだ。
「精神科という領域はかなり広い。例えばアルコール依存症一つとっても世界的な問題です。またはタバコ依存なども精神科領域。私たちのごく普通の生活の中にも精神科の抱える問題は多い。このことを国民が理解していないところがあります。痴呆症患者を診ることができるのは精神科であり、アルコールやタバコ依存もやはり精神科でなくてはならない、と説く。だが日本の精神医療はそういった医療サービスを提供できる体制にない。国民のニーズに応えきれていないのが現状です」と残念がる。
また精神科の特殊性として長期入院が避けられないのが現状だ。この是正が急務であると考えている。長期入院化してしまう原因として、鈴木理事長は治療技術の問題を挙げ、きちんとした診断と治療がなされれば、自然と平均在院日数を減らすことができる、としている。「今、精神科領域では新しい薬がどんどん開発されています。その薬理作用や新しい技術を使うことにより、特に精神分裂症の患者さんの社会復帰が可能になっています。」
新しい医療を採り入れていくことにより、ひいては在院期間の短期化につながる。ところがせっかく治療して社会復帰してもなかなか仕事に就くことができないケースが多いのも事実だ。ならばどうするのか? そのためのキーワードが"在宅医療"だ。在院期間が減った分、在宅医療サービスを充実しフォローする。そして社会復帰を目指してもらう。「足らない部分はアウトソーシングなどでカバーする」と語る鈴木理事長。平成10年開設のグループホーム「りんりんほー」や浦和市に開院したすずのきクリニックなど、患者のニーズを捉えての展開を進めているところだ。

 
<経営理念>
「病院の使命は患者さんを治して差し上げるということです。」この基本的な病院の役割無くしては病院の理念はありえない、と力強く語る。そのためには治療成績を上げること。それが何よりの答えとなる。この目標のために各々の医師やスタッフがそのニーズに応えるだけの力を蓄え持って、さらに勉強会などで研鑚に務めている。
「一般医療と違い、精神科医療は診断と治療の基準が曖昧である」と鈴木理事長は言う。だが、的確な教育トレーニングをすることによって、その壁を乗り越えることが可能なのだ、とも言う。いかに臨床実地に立った教育システムを構築できるかが、病院経営の根幹を支える。
「病院の運営方針とはある意味、人事管理も含めたものだと考えています。」久喜すずのき病院ではトップダウン型でなく、各セクションが自由に動くことで各々が能力を発揮するボトムアップ型に自然となっていったのだという。また新しいスタッフでも重要な仕事を任せているのも特徴的だ。つまりは能力を伸ばすことのできる環境を整備することが一番の人事管理であるとしている。

現在の医療システムは、ハード面は立派だが肝心のソフト面がさびしい状況であると、鈴木理事長は指摘する。「構造改革と唱えてはいるが、ハードの変革もさることながら実際にそれを運営するソフトが肝心です。」このハードとソフトがうまくかみ合うことが平均在院日数を減らして社会復帰を早めることにつながるのだ。それを久喜すずのき病院ではごく自然に実行している。
取材を終えて"精神病院"という病院のイメージが大きく変わったのを感じた。これからの精神科医療を支え、古いイメージを取り払っていく。それでいて「患者さんを治す。」このことを基本に、これからも運営していく。帰りのバスの中、通院する患者さんの笑顔がその正しさを物語っていた。
 
私たち病院のテーマ
患者さんの「心と体」「疾病と日常」を分離することなく、人間をトータルにとらえたリハビリテーションを第一の目的としています。
その目的を果たすために、充実したマンパワーによるケアシステムを完備していきたいと考えています。

2001.5.1掲載 (C)LinkStaff

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