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- 財団法人 健和会大手町病院 -
福岡県北九州市
-病院の沿革-
 JR小倉駅でタクシーを拾い、小倉城を窓越しに見ながら、車中で今回取材する大手町病院を探していた。「あの建物ですよ」という運転手の声とともに巨大な建物が姿をあらわした。白いタイルに覆われた17階建てのビル。最上階に記してある『KENWAKAI』の文字を確認するには体を反り返さなければならない。大手総合商社を思わせるようなビルである。

正面玄関を入ると、照明は控えめ、壁は漆黒。右手には受付嬢。スポットライトが当てられている。病院らしからぬ雰囲気に困惑しながら、一階を散策すると、花屋、旅行代理店、美容室・理髪店がある。喫茶店、コンビニなみの品揃えの雑貨屋もある。本屋、メガネ屋………。外来入院受付、会計、そして外来診察室は2階。そこまでエスカレーターでいける。3階より上のフロアーに686のベットがある。

健和会グループは財団法人で、四つの病院群と診療所などの関連施設からなっている。大手町病院(686床)、中原病院(317床)、おさゆきリハビリテーション病院(221床)、京町病院(112床)、緑町診療所、町上津役診療所、その他歯科診療所2ヶ所、訪問看護ステーション6ヶ所、鍼灸所1ヶ所、看護学院1ヶ所、さらにシンクタンクが2ヶ所。全従業員数約1,300名。大手町病院はそのセンター病院で、救急車での患者搬入件数は、年間約5,000件、北九州市全体の13%強を占める。CPA(病院到着時心肺停止)の搬入件数は年間約120件、救急救命九州研修所の救急救命士実習指定病院にも指定されている。九州でも指折りの救急受け入れ施設であり、その巨大ぶりには圧倒されるばかりである。さらに1995年の阪神大震災後、厚生省指定福岡県災害時拠点病院になり、1996年の福岡国際空港でのガルーダ・インドネシア航空炎上事故の後、北九州市災害時医療救護班派遣病院になっている。1998年には厚生省臨床研修指定病院に認可されてもいる。国立がんセンター、国立循環器病センターなどを研修先として持ち、数多くの学会の研修施設にもなっている。日本外科学会認定医制度修練施設、日本救急医学会認定医指定施設、日本内科学会認定内科専門医教育病院、日本消化器内視鏡学会認定施設、日本小児科学会教育関連施設、佐賀医科大学教育関連施設………。

1954年2月、緑町診療所を開設し、その歴史の幕のベルを鳴らした。2年後には、西戸畑診療所を開設、1964年に法人格を取得。その後いくつもの診療所を設立。そして1972年には財団法人健和会と医療法人健和会が対等合併、財団法人健和会が誕生した。同年、新中原病院が開設。ここが健和会の拠点となり、ここを礎に歴史の歩みをいよいよ進める。 1975年頃から大手町病院の構想がおぼろげながら浮かび上がる。当時の北九州市の夜は医療砂漠の様相を呈していた。"救急医療充実"。この声は市民から多数寄せられていた。行政がアンケートをしてみても、それが常時トップを占めていたのである。その状況に応えることこそ健和会の使命とし、600床規模の急性期を中心としたセンター病院立ち上げへの着想が本格化する。1980年、5ヶ年計画を打ち立て、北九州市民そして周辺市町村住民への要望に応え、医療人としてその責務を全うしようと、その照準が定まった。
-病院の特徴-

 完成は1983年。以来、健和会グループのセンター病院としてその機能を随分に発揮してきている。地元の開業医との連携をはかり、250病医院が属する『健和会登録医師の会』もある。そこで登録医と大手町病院との医療連携のあり方を話し合う合同運営会議や症例検討会などが毎月定例開催されており、親密の度をより深めている。

さらに、患者さんや地域の住民、あるいは大手町病院の理念に共感する人々が集う『大手町病院の会』もある。医療懇談会や友の会健診、近隣地域住民に参加してもらう『健康まつり』も約5000人規模で年一回開催している。 在宅医療分野や療養型病床の導入など高齢者医療の取り組みも積極的で、総合的な医療が展開されている。特別養護老人ホーム5施設とも契約している。

これだけの大所帯の中核だけに、高度先進医療の話題が出てくるものと思っていたが、つゆかけらも出てこない。そこで先進的な医療機器がどれほど充実しているのか、院長の三宅昌氏に聞いてみた。

「当院には医療機器という医療機器はほとんど揃っています。けれど医療機器で特化するつもりはありません」

さらに続ける。
「特定の富裕層に視線定めるのではなく、地域の大多数の声をくみいれるようにしているんですよ」
そして
「お金のあるなしに関わらず、全ての人々が必要な医療・福祉を受けられるようにという思いなんですよ」


あくまでも地域住民と歩調をあわせることこそ、大手町病院の精神である。 北九州市には大型病院がひしめきあっている。大手町病院のある小倉北区だけでも、小文字病院、小倉記念病院、新小倉病院、市立医療センター。差別化のポイントを聞いても、

「地域住民、患者さんの要求にそっての「いつでも、誰にでも、親切でよい医療を」というモットーで医療をしていることです」

取材に立ち会った全員が口を揃えての返答であった。  "患者さんや地域住民の立場に立つ"というキーワードが底流にあるのを明確に窺い知ることができる。 それがもっともシンボライズされているのが差額ベット代である。  院長は身を乗り出して、  

「当院では基本的に1部屋2ベットです。しかし差額ベット代はとっていません」

 

-運営方針・経営理念-

 大手町病院が今後もっとも力点を置いていくのが医療事故対策である。院内にリスクマネジメント委員会、院内感染対策委員会を設置。医療の安全性を高めるため、自己点検システム構築に向けて院長を先頭に、全職員の課題として取り組んでいる。各職場からの事例報告や検討会なども開催され、少しずつではあるが、職員間の風通しがよくなってきて、意識改革も進み始めているそうだ。

病院が期待するドクター像もどこか病院哲学を感じさせる。

「医師として患者さんをどう捉えるのかという点がとても大切だと考えています。私たちは患者さんや疾病を生活と労働の場でどう捉えるかという視点を重視しています。今日では、病気や介護の問題、生活の困難などから患者や家族が精神的にも追い詰められる状況が広がっています。患者さんをより全人的に理解し、医師がもっている知識や技術を患者さんや地域の人々のためにどう提供するかを考えなければ医療として成り立たない時代です。自分のスキルだけを強烈に発揮したがるようでは困ります。また、医療とは「みてあげる」「なおしてあげる」ではなく、患者さんと医師、医療従事者が対等・平等で、相互信頼と協力のうえで成立する「共同の営み」であると考えています。こうした思いに共感してくれるようなDr.を望んでいます」

淡々と、表情を変えずの言葉だったが、重みがある。

取材終了後、帰り際に一階フロアーの"ショッピングモール"についてうかがうと、

「患者さんのためでもあるけど、同時に近隣住民が病院に足を運びやすくするための工夫です」

病院のスピリッツは隅々にまで行き渡っている。

■ 私達病院のテーマ
  財団法人健和会大手町病院
  ● いつでもどこでも誰にでもよい医療
● わたしたちは患者・地域の人々と力を合わせ、命と健康を守る、第一線医療機関
 
 

 

2000.12.1掲載 (C)LinkStaff

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