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千葉県立東金病院

病院長メッセージ

 私は1998年に病院長として着任以来、地域住民の信頼の回復と病院経営の健全化を図る一方、今後の当院が担うべき機能、役割を明らかにするべく、職員一同と力を合わせて救急ならびに積極的に重症患者の引き受けに務め、質の高い医療と暖かい患者サービスの実現に向けて、院内の各種システム作りを推し進めてきました。
 「県立病院の存在意義は何か」、「県民に医療サービスを通じて奉仕することは何か」と常に自問自答する中で帰着した答えの一つは、当院のような地域密着型の県立病院は地域の基幹病院としてその責を担っている医療圏全体のレベルアップのために、地域の医療機関と連携して、自己完結型医療から地域完結型医療への転換を図ることでした。
 そこで、この地域に多い糖尿病や慢性腎臓病(CKD)の患者さんに対して、良質な医療を地域ぐるみで提供するため、かかりつけ診療所の先生方との勉強会を定期的に開催し、地域の医療者の間に緊密なヒューマンネットワークを構築しました。2001年には、最新のITを活用して、病院と診療所を広域電子カルテで繋ぐ「わかしお医療ネットワーク」を立ち上げ、医療連携の先進モデルとして成果を挙げてきました。地域の先生方の理解を得るために、ヒューマンネットワークの構築には多くの時間がかかりますが、システムが作り上げられた後は地域の先生方と強い絆で結ばれます。
 新型インフルエンザ感染対策において課題となっていた迅速診断について、当院は理化学研究所と連携し、簡易で精度の高い検査法の研究開発を行ってきましたが、医療現場での活用を実証するために山武医療圏の12診療所に協力を要請しましたが、極めて短時間のうちに協力していただくことができました。これもヒューマンネットワークが構築されていたからにほかなりません。
 一方、医師不足問題に対して当院では「地域で医師を育てる」を合言葉に、地域の医療関係者や住民の皆さんと一緒に地域医療を担っていく若手医師を育てる仕組み、具体的には指導医の招聘や研修プログラムなどの整備に取り組んでいます。
 地域医療を担いたいと考える若手医師、言い換えればゼネラリストを目指したいと考える若手医師は潜在的に決して少なくないと考えています。そういった医師が地域医療の場で継続的な達成感を得られるようにすることが重要です。地域の医療問題がどこにあるのかを常に考え、問題解決に向かうチャンレンジャーであり続けることが大事です。新型インフルエンザの迅速診断法の開発と臨床応用は私たち地域医療を担う者にとって継続する達成感の一つの現れでした。
 医療連携が以前から叫ばれていましたが、点から線へ、線から面への広がりが見られないのは、医療連携を実現するツールの提示と、医療連携によってもたらされるアウトカムが示されないことに大きな原因があります。当院は医療連携の成果を地域の先生方や住民の皆さんに示すことで、強固なヒューマンネットワークを構築し、地域完結型の医療を推進してきました。
 今後も、地域の英知を結集して、決して諦めずに地域医療再生に取り組んでまいります。

2011.2.1.掲載 (C)LinkStaff

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