めざせ 外科医! vol.4

◆第4週目◆
 自分自身が出会い、一緒に働いた外科医にも、尊敬し、粛々と憧れる人がいた。
 Alan Farnsworth先生、シドニーのSt.Vincent`sの名物consultant surgeonで、なんでもこなす天才外科医。バイパスだったら朝8時から夕方迄で、同じ部屋で縦4件。早い綺麗正確。助手にはちょこっとグラフトを把持させるが、真剣になると1針目から全部自分の左手でグラフト持って吻合してしまう。頭は動かないし立つ姿が既に絵になっている。そんな技術的にも素晴らしい人だけど、どこだったか「に」が付く国の外科医みたいに「神の手」なんて、決して自身で言うなんて恥さらしなことは勿論、そんな素振は未首もいない、本物は本当に謙虚、驕ったところがない。ベルリンのHetzer教授の右腕、Weng先生もAlanと同じような空気を持っているし、本気モードでの動きは絶対に真似しちゃいけない、やばいものをみてしまった、あれこそ神の手、Weng Masicって感じだった、憧れる。
 一方、手術ってこうあるべきということを教えてくれたのは、一年目の金沢大学の川浦医局長だったかもしれない。入局勧誘会で「いろんな選択肢を考えてます」と言った僕に対して、「そんなもん、あんたー、そん程度の選択なんて、誤差の範囲やでー」と。結局誤差の範囲で心臓外科医になったんだけど、その川浦医局長が書いた年報の巻頭言に、「誰かにしかできない特別な手技よりも、目的とする外科的処置を誰にでもそつ無く全うしうる定型的手技にこそ、外科手術としての意味がある。」と書いていて、この人は見かけによらず(これはかなり見かけによってなかったんだが)すごい!あの大学にはあの頃すごい人が多かった、現熊本大学の川筋先生には、手術書を読んで(図や絵ではない)頭のなかで手術を思い描くだけで手術できない人は外科医になれないって、叱咤叱咤叱咤・・・激励(比率低いとはいえ激励もあった、様な気がする!)された。いろんな人のおかげで今ここにいる、感謝の言葉でいっぱいです。

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