vol.3

◆第3週目◆
医師の大学病院離れ
 新研修制度が施行された結果、予想されたとおり大学病院の診療・研究機能は弱体化しました。研修医不足が招いた、派遣医師の大学医局への引き上げは、出張先であった地方病院を深刻な勤務医不足とさせ、地域の医療崩壊が進みました。従来、大学に残る目的のひとつは博士号取得でしたが、最近の若い医師は医学博士へのモチベーションが低く、大学院希望者の減少も大学衰退の一因となっています。博士号は医学部の教職員や公立病院の部長職に必要なことがあるようですが、確かにそれ以外での実益は期待できません。しかし、私の経験では、博士号を取得するステップは、研究の進め方、論文の書き方を習得するよい機会でしたし、その後の米国留学に際しては、postdoctoral fellowの資格があったため、一人前の研究者として扱ってもらえました。臨床医であっても研究のイロハを知っていることは役に立つことが多いのではないでしょうか。最近の日本社会の風潮や若い人の気質を考えた時、大学病院勤務に人気がない理由のひとつに重症患者に拘束され時間外勤務が多いことが挙げられます。また、仕事が大変なわりに給与が低いことも職業として敬遠される要素になっていると思います。大学病院勤務医の現状を冷静に観察し、自己の将来像として希望が持てないと考えた医学生が多くいても不思議ではありません。外科系専門科に入局者が少ないのも結局は労働条件が悪いためでしょう。研修医が多く集まる市中病院には高給を払うところもあり、報酬面で大学と格差が生じる場合もあるようです。重要な点として、大学病院での研修・指導内容に魅力がないことも考えられます。なぜ大学に残る若い医師が少ないのか真摯に反省し、解決策を探し出さなければなりません。

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