小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.4

 子どもを診るというのは、決して血液検査と専門医学用語で完結する仕事ではありません。この二つは小児科においては終わりではなく、未来へ続く治癒と成長の道の始まりです。
 そして、治癒の過程には、洋の東西、新旧を問わず、さまざまな医療の知恵があますことなく投じられるべきです。大人ならストレスが溜まれば、負けじと発散するために余暇に行くのと同じように、どんな小さな子であれ、外的・内的・空気や水を含む環境的な要因などの様々な理由で心身が淀んだとき、その淀みを放出できる場所や時間が提供されても良いはずです。私は二十年に及ぶ臨床経験を重ね、統合医療という手法でそれを提供するという考え方にやっとたどり着きました。こんなふうに、小児科医療は、臨床を重ね、自身が親の気持ちを痛感し、年とともにものの見方が変化すればするほど・・・面白みを感じられる仕事なのです。この寄稿を読んでくれている学生諸君、医師として駆け出しの後輩たち、まだ皆さんの目には見えていないかもしれませんが、小児科現場には、若さやスピードだけでは達成し得ない「魅力」の縫いしろがたっぷりあるのです。
 母親からみれば「妊娠、出産、産後」、生まれてくる子どもから見れば「乳幼児」の時期は、もっとも人間の心身に弾力性が与えられる時期です。おそらく、母子に与えられる医療の質は、もっと弾力に富み可変的であって良いのではないでしょうか・・。そう考えると、これからの小児医療は、変化成長の幅がふんだんにあるはずです。
 小児医療と少子化に対して、政府が根源的で弾力のある政策を打ち出してくれることを期待し、この領域を志す、たくさんの若い人たちへ応援のメッセージを、この寄稿をとおして、感じ取っていただけたらと思います。

記事一覧

  2008/06/06 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.1
  2008/06/13 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.2
  2008/06/20 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.3
  2008/06/27 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.4