小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.1

 先だっての連休に久しぶりに家でのんびりテレビをみていると、新しく導入される裁判員制度について専門家やタレント風のコメンテーターなどが登場して、あれこれと意見を言いあっていました。その中で、興味ある言葉が耳に飛び込んできました。
 「小さい子どもをもつ母親が裁判員に選ばれた場合、子どもを預けられるところが絶対的に不足している」-----もっとも多くの裁判員が選ばれるのは『東京地方裁判所』であり、東京都千代田区に位置します。にもかかわらず、千代田区には10ほどの保育所しかなく、そのいずれもが定員を超えており、一時預かりでさえ困難な状態にあるというのです。
 このニュースを耳にして、私は、毎日たくさんの子どもたちと出会う小児科医として考えさせられることが多くありました。というのも、まず、なぜ千代田区だけが話題にとりあげられるのか・・・?それが疑問なのです。私のクリニックの小さな患者さんたちには、保育園や幼稚園に通う子どもたちがたくさんいます。そんな子どもたちの親御さんたちの声を聞くと、多くのお母さん方が「保育園(幼稚園)は近いほうが便利、安心。」と感じているようです。保育園や幼稚園の送り迎えに要するエネルギーは、毎日の送り迎えをしていない私を含む世の中の男性の想像以上に大きいようです。
 それを、なぜ、千代田区という目的地に近いところだけが取り上げられるのでしょうか?単純に想像しても、裁判員に選ばれたとなれば朝も早い時間から出なくてはいけないかもしれません。それなのに、混雑する電車に子どもを乗せて、遠路はるばる「国民の義務」を果たしに来いというのでしょうか?また、裁判員となれば、多くの母親は、家にいるときのようなカジュアルなTシャツとジーンズではなく、職場へ着ていくような育児に向かない服に着替えていくでしょう。そんな恰好をしながら、自由自在に動き回る乳幼児をおんぶ紐やだっこ紐、ベビーカーで大都心まで連れて来い・・というのでしょうか?

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  2008/06/06 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.1
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  2008/06/20 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.3
  2008/06/27 小児医療をめざす、若き後輩たちへ vol.4