「外科医」として「NST」医師として vol.2

 実をいうと私から「NSTをやりたい」と言ったことは一度もない。その始まりは完全な人任せで、たまたま大学病院勤務時代に教授から「うちでもはじめるから、お前も取れ。」といわれて講習会を受講したにすぎない。はじめは何が何だか分からなかった。もちろんこれに大学病院内で指導者はいなかった。我々の研修医時代は、点滴指示は「見て盗むもの」で、教えてくれる人はいなかったし、先輩の指示書を見てまねしていた。しかし経験上、この方法では患者さんが改善しないことがあることを自覚していた。限界を感じた私は、栄養療法に関する本を購入し、独学で勉強した。学年が進んで、自分の判断で点滴指示が出せるようになってからも、納得のいく指示を出せずにいた。患者さんは快方へ向かう方が多いのだが、特に重症患者さんの回復過程で、さまざまな合併症が発症することがある。常に疑問が残った。そんな時にNSTの講習会を受けるように教授からいわれ、これは運命と思い積極的に講義に参加した。その後は点滴指示に私なりのこだわりをもって投与をおこなっていたが、手術に明け暮れる大学病院勤務では、実際にNSTを立ち上げることはできなかった。本格的に活動ができたのは民間病院に勤務してからであった。今では入院患者さんが手術をして回復していく過程より、手術をせずに良くなっていく過程を診ることに取り付かれている気がする。

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  2007/04/06 「外科医」として「NST」医師として vol.1
  2007/04/13 「外科医」として「NST」医師として vol.2
  2007/04/20 「外科医」として「NST」医師として vol.3
  2007/04/27 「外科医」として「NST」医師として vol.4