リングドクターという仕事 vol.2

 プロレスラーの体を長年診てきましたが、彼らには安静にするという言葉を使うことはできず、試合をしながら治すということを考えてゆかねばなりません。でも試合をしながら練習をしながらケガなどは安静にしている以上によくなっていくようにも思えます。その点では医学の常識で考えることはできないかもしれません。プロレスというのは受身が基本です。受身がきちんとできて初めてプロデビューできるのです。きちんと受身を取れないと否、きちんと受身を取っているにもかかわらず不慮の事故を起こす可能性がある危険なスポーツです。死亡事故も数件ありました。試合中が3件、練習中が2件、どれも急性硬膜下血腫です。パワーボム、ライガーボムという頭や背中をたたきつけてフォールを奪う技で起こった事故でした。直後に或いは数分後に意識不明となり救急車で運ばれ開頭手術するも虚しく死に至ったケースです。死亡に至らないまでも手術の結果運良く回復し、またレスラーに復帰した者もいます。あんな危険な目にあっても、危険な事故を目の当たりにしても尚離れることのないこのプロレスというスポーツは一度関わったら忘れることのできない不思議な魅力を持ったものだと思います。

記事一覧

  2006/07/01 リングドクターという仕事 vol.1
  2006/07/08 リングドクターという仕事 vol.2
  2006/07/15 リングドクターという仕事 vol.3
  2006/07/22 リングドクターという仕事 vol.4
  2006/08/10 リングドクターという仕事 vol.5