診療内容をお聞かせください。
内科、膠原病・リウマチ科、消化器科、整形外科、耳鼻咽喉科を標榜しています。一般的な内科診療は毎日、行っていますが、ほかの科は曜日によります。私がメインで担当している膠原病・リウマチ科は膠原病や関節リウマチを対象に診断と治療を行っています。消化器科は「日吉地区からピロリ菌・胃がん撲滅を目指す!」をモットーに内視鏡検査に加え、尿素呼気検査やABC検診なども行っています。整形外科はスポーツ整形のみならず、骨粗鬆症、手・腰・足の外科といった分野のスペシャリストが勤務しています。耳鼻咽喉科は手術室を外部の開業医も利用しており、副鼻腔炎などの日帰り手術に力を入れています。目眩や睡眠時無呼吸症候群などの患者さんも多いです。手術にあたっては麻酔科医に来てもらい、全身麻酔も可能です。
どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
大学のキャンパス内にあるクリニックにふさわしく、高いレベルの治療を提供したいと考えています。「どうして、ここまで放置しておいたのだろう」ということをなくしたいのです。そのために「1院長多診制」を維持し、大学医局の協力をいただきながら高いレベルの外来を行って、慶應義塾大学病院などとの病診連携を進めながら、患者さんとも紹介先とも良好な関係を築いていくことが方針です。私どもには多くの若手の非常勤医師がいますが、若手医師は「ここまでは自分で診られるけれど、ここからは紹介先にお願いする」といった判断やさじ加減が上手ですね。
患者さんの層はいかがですか。
学生が5割、そのほかが5割です。整形外科は高齢の方が中心で、耳鼻咽喉科は子どもさんが多いです。夜は7時までですので、会社帰りのサラリーマンの方もいらっしゃいます。
どのような検診を行っていらっしゃいますか。
一般的な雇入れ時の健康診断をお受けしています。キャンパス内のクリニックですから、留学前の学生さんの英文標記の検診もしますが、力を入れているのは人間ドックです。人間ドックの内容としては内視鏡検査が多いですね。
病診連携については、いかがですか。
最も近い関東労災病院がメインのご紹介先ですが、慶應義塾大学病院や川崎市立井田病院も多いです。整形外科はけいゆう病院、国際医療福祉大学三田病院にお願いしています。
経営理念をお教えください。
患者さんも医療者も両者がwin-winとなるような環境を作りたいです。患者さんも1カ所で多科の診察を受けられ、医療者も自己犠牲を強いられるのではなく、やればやっただけの成果が出るよう、皆でwin-winの関係を築いていきたいですね。
スタッフ教育はどのようにされていますか。
メインとなっているスタッフには月に1回、患者さんの数や売上の報告を兼ねたミーティングを行っています。私どもではそういった中身を知らないと仕事はできないと考え、全てをオープンにしています。スタッフそれぞれからも1カ月の改善点などの報告があります。院長としてはあまりうるさく口を出さないことにしています。
増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
キャンパス内の看板は規制により出せないので、ホームページが主体です。東急東横線の日吉駅の地下出口に看板を出していますが、来院動機は圧倒的にインターネットです。しかし、患者さんが増えたきっかけとして、「市民公開講座」があります。私が発案して、専門である関節リウマチの講座を3年で4回ほど開催しました。私どもが入居する協生館の2階のホールは定員500人なのですが、ある回は講師が慶應義塾大学のリウマチ内科の竹内勤教授、膝関節疾患の大家である整形外科医であり、慶應義塾大学の大谷俊郎教授であることなどから、1000人以上の応募がありました。ほかにも様々な先生方にご登壇いただきました。そこからリウマチの患者さんが増え、流れに乗るように一般内科にも地域の方がいらっしゃるようになりました。
また、私どもでは診診連携にも注力しています。患者さんには「寄らば大樹の陰」で大病院志向があるので、開業医同士で患者さんを紹介し合うとともに、開業医のレベルの底上げが必須です。そこで「B級リウマチ医の会」である「BRAの会」を近隣の整形外科の先生と主宰し、年に2回の勉強会を持っています。そこでは大学院生による講義を聞くのです。発表することによって、大学院生の勉強になるのは当然ですが、若い人の話は面白く、最先端の内容なので、我々にとっても勉強になります。また、知らないことに恥ずかしさが出ないので、参加者も分からないことを遠慮なく質問できるんです(笑)。そこで知り合った整形外科の先生からのご紹介もあります。関節リウマチの生物学的製剤を用いた治療では点滴スペースも必要ですし、内科的な副作用も心配ですから、整形外科の先生方にはハードルが高いそうです。そこで私どもにご紹介していただき、病状が落ち着いて、ご希望があればお返ししていますので、広い意味での増患対策になっているようです。