クリニックの窓教えて、開業医のホント

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しもじま内科クリニック

 東京都台東区竜泉は台東区の北側に広がるエリアで、国道4号線(昭和通り)や国際通りが通っている。かつては下谷竜泉寺町と呼ばれ、樋口一葉が居住していたこともある。『たけくらべ』の舞台となった街であり、現在は一葉記念館で一葉の業績をたどることができる。
 しもじま内科クリニックは東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から国際通り沿いに徒歩3分、『たけくらべ』ゆかりの千束稲荷神社の隣地に建つクリニックモールの2階に2016年に開業したクリニックである。下島和弥院長は糖尿病の専門医であり、その診療経験を活かして、糖尿病、高血圧、コレステロール異常などの動脈硬化リスクの内科的管理に力を入れている。
 今月はしもじま内科クリニックの下島和弥院長にお話を伺った。

下島 和弥 院長

下島 和弥 院長プロフィール

1974年に長野県岡谷市で生まれる。2001年に千葉大学を卒業後、慶應義塾大学病院、稲城市立病院、東京都立広尾病院で内科研修を行う。2005年に慶應義塾大学内科内分泌代謝科に入局する。2009年に永寿総合病院に勤務する。2010年に北原ライフサポートクリニックに副院長として着任する。2016年12月に東京都台東区にしもじま内科クリニックを開業する。


日本内科学会認定医、日本糖尿病学会専門医など。

開業に至るまで

病院風景02

◆ 医師を目指された経緯をお聞かせください。
 父は歯科医師で、長野県で歯科医院を開業しています。そのため、小さいときから医療関係の仕事が身近でした。高校生の頃までは私も何となく歯科医師を目指していたのですが、口腔内にとどまらず、幅広く診ることができる医師の方が面白そうだという魅力を感じ、医学部に進学しました。


◆ 大学時代はどのような学生でしたか。
 小学校、中学校とバスケットボールをしていたんです。高校では中断していたのですが、大学で再開しました。医学部のチームですし、強かったわけではありませんが、東医体などにも出場していました。バスケは今も好きで、社会人のチームでプレーしています。


◆ 大学時代はどんなご趣味をお持ちでしたか。
 バスケばかりの生活でしたので、趣味と言えるものはなかったですね(笑)。空いている時間には家庭教師をしたり、喫茶店でアルバイトをしたりしていました。


◆ 専攻を内科に決められたのはいつですか。
 大学を卒業する直前です。一般的な疾患をしっかり勉強したいと思いました。


◆ 研修を慶應義塾大学病院でなさったのはどうしてですか。
 当時は今のような臨床研修制度がなく、専門を決めたら、その医局に入局して研修を行うのが一般的でした。ところが、慶應義塾大学病院では内科全般を研修できるシステムになっていたので、それに惹かれて、慶應での研修を選びました。最初の2年間は大学病院で全ての内科をローテートしながら学び、次の2年間は外部の病院で一般内科を研修しました。外部の病院はいくつかの選択肢があり、成績順で決めることもあれば、じゃんけんで決めることもありました(笑)。


病院風景03

◆ 専門を内分泌に決めた理由をお聞かせください。
 研修医時代に肥満を専門にしていた指導医の先生についていたことがあり、肥満や糖尿病に興味を持っていました。患者さんと長くお付き合いをしながら、あらゆることの相談を受けるのは遣り甲斐がありましたし、全身を診ることへの責任感が求められるところでもあります。引っ張ってくれる先生もいらっしゃったので、内分泌を研究したいと思いました。


◆ 永寿総合病院にも勤務されています。
 医局人事で勤務した病院ですが、糖尿病の患者さんが多かったので、外来はとても忙しかったです。


◆ 北原ライフサポートクリニックに勤務されたのはどうしてですか。
 お誘いをいただいたからです。内科の外来を担当していたのですが、糖尿病の専門医ということもあって、多くの患者さんにいらしていただきました。忙しさの一方で、非常に充実していました。


◆ 勤務医時代を振り返って、いかがですか。
 医局の先輩や後輩によくしていただき、人に恵まれたこともあって、いい勉強になった毎日でした。同期は30人近くいますが、仲良く頑張っていました。その中の数人とは今もいい関係が続いています。


開業の契機・理由

病院風景04

◆ 開業の動機をお聞かせください。
 自分でクリニックを経営するのは面白そうでしたし、いつかは開業したいと思っていたところ、眼科医の三浦克洋先生が新しくできるクリニックモールで開業するので、一緒にどうかと誘ってくださったのがきっかけです。


◆ では場所で決められたわけではないのですね。
 特に開業地を絞って探していたのではありません。以前、永寿総合病院に勤務していたので、この辺りの土地勘はありましたし、親しみも感じていたので、この物件のお話は良かったです。新築のクリニックモールで、みうら眼科・皮フ科クリニックのほか、さわい整形外科クリニックとアイセイ薬局が私どもと同時に開業しました。2018年5月には小児科のクリニックも入居する予定です。


◆ 開業地の第一印象はいかがでしたか。
 三ノ輪駅に近いですし、いいところだと思いました。下町でありながら、きちんと区画整理されているので整然としていますし、マンションができつつあり、若い人たちの人口増加が望めそうな点も良かったですね。


病院風景05

◆ 開業にあたり、マーケティングをなさいましたか。
 1階に入ったアイセイ薬局さんが診療圏調査をしてくださいました。診療圏調査でいい数字を出すのは今の都内では難しいことですが、このエリアは人口バランスが良いためか、悪くない結果が出ました。


◆ 開業までに、ご苦労された点はどんなことですか。
 大きな苦労はなかったです。スタッフにしても、大勢の応募がありましたし、クリニックモールの利点を強く感じましたね。


◆ 医師会には入りましたか。
 入っていません。


病院風景07

◆ 開業当初はどのようなスタッフ構成でしたか。
 非常勤の看護師が2人と常勤の事務スタッフが2人です。今も同じメンバーなんですよ。


◆ 医療設備については、いかがでしょうか。
 デジタルレントゲン、心電図、一般的な血圧検査機器、ヘモグロビン測定器、動脈硬化検査機器のABI、電子カルテなどを揃えました。


◆ 設計や内装のこだわりについて、お聞かせください。
 病院やクリニックらしくない内装にしたいと思いました。できるだけシンプルにして、絵や花を綺麗に飾るようにしています。


クリニックについて

病院風景06

◆ 診療内容をお聞かせください。
 内科と糖尿病内科を標榜しています。最近は糖尿病、高血圧、コレステロール異常、脂質異常などの生活習慣病の患者さんが多くなってきました。初診の方も増えてきましたね。冬場は風邪などで来院される方も少なくありません。
 生活習慣病に関しては血糖コントロールの指標となるヘモグロビンA1cやコレステロール値、腎機能といった検査結果を1時間以内に出しますので、そこから診断し、投薬のコントロールなどの治療を行っています。また、心電図や動脈硬化の検査をすることで、心臓血管系の疾患の有無や血管年齢のチェックを行っています。


◆ どういった方針のもとで、診療なさっているのですか。
 検査結果などの数値だけではなく、患者さんの全体を診ることを心がけています。患者さんの人生に寄り添い、少しでもお役に立ちたいです。


◆ 患者さんの層はいかがですか。
 開業当初は高齢の患者さんがほとんどなのかなと予想していたのですが、意外に若い方がいらっしゃいます。40代、50代の方の生活習慣病の方が多いです。風邪なども診ていますが、子どもさんは診ていません。この付近はオフィス街という感じではないのですが、それでも近所で働いていらっしゃる方やお住まいの方が来院されますね。


◆ どのような内容の健診を行っていらっしゃいますか。
 医師会に入っていないので、学校健診などは行っていません。雇入時健康診断など、自費のものを中心にお受けしています。


病院風景08

◆ 病診連携については、いかがですか。
 メインは永寿総合病院ですが、慶應義塾大学病院や台東区立台東病院にご紹介することもあります。クリニックモール内での患者さんのご紹介も活発ですね。眼底検査はみうら眼科・皮フ科クリニックさんにお願いしています。3つのクリニック全てにかかっていらっしゃる患者さんもいますよ。


◆ 経営理念をお教えください。
 スタッフが一番ですね。クリニックの中の人がしっかりしていないと、いい医療はできません。スタッフがここで働いていることを周囲に自慢できるような組織にしていきたいです。スタッフのそういう思いはきっと患者さんに還元されますので、いい医療に繋がっていくはずです。


◆ スタッフ教育はどのようにされていますか。
 皆がベテランで、クリニック勤務が初めてというスタッフがいないんです。年齢も私と同じか、上の人たちばかりなので、私の方が教えてもらっています(笑)。


◆ 増患対策について、どのようなことをなさっていますか。
 ホームページを開設するだけでなく、そこにブログを載せています。また、産経新聞で毎週火曜日、「健康カフェ」を連載しています。これは北原ライフサポートクリニック時代に医療ブログを書いていたところ、産経新聞の方からお声をかけていただき、始めたものですが、既に100回を超える連載になっています。お蔭様で、この記事をご覧になった患者さんが少し離れたところからも来院されるようになりました。既に通院している患者さんからも「新聞に書いているのは先生だったんですね」と言われることもあります。


開業に向けてのアドバイス

病院風景09

 何となく開業しようではなく、何を主目的として開業するかが大事です。お金にしろ、時間にしろ、一つでも開業した方が優るものがあるのかということですね。私の場合は時間でした。勤務医時代も優遇はしていただいていましたが、それでも子育てとの両立は大変です。仕事をするにも家庭あってのことですし、それが両立できないと患者さんをきちんと診ることができません。開業して、時間の自由を得たうえで、患者さんを笑顔にできる診療をしたいと思いました。

プライベートの過ごし方(開業後)

病院風景10

 バスケットボールが趣味です。自宅の近くで練習する社会人チームに入っています。ポジションはセンターで、区の大会などに出ています。子どもは小学3年生と0歳で、二人とも男の子です。長男をバスケに誘ったところ、「きつそうだから、やらない」と言われました(笑)。今は一緒にボールを蹴ったりして、遊んでいます。

タイムスケジュール

タイムスケジュール

クリニック平面図

平面図
しもじま内科クリニック
  院長 下島 和弥
  住所 〒110-0012
東京都台東区竜泉2-19-18
クリニックステーション三ノ輪2階
  医療設備 デジタルレントゲン、心電図、HbA1c・CRP測定器、動脈硬化検査、電子カルテなど。
  スタッフ 5人(院長、非常勤看護師2人、常勤事務2人)
  物件形態 ビル診
  延べ面積 約40m²
  敷地面積 約40m²
  開業資金 約3,000万円
  外来患者/日の変遷 開業当初8人→3カ月後10人→6カ月後15人→現在20人
  URL https://shimojima-naika.jp/

2018.01.01 掲載 (C)LinkStaff

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