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2005年08月04日

カッパーブロマイドレーザー・レジュヴィネーション

今日はタイからの見学の先生ご一行が来られていました。カッパーブロマイドレーザーを見に来られました。タイ人の苗字はみなとても長く、10年来の友人や知り合いも多くありますが、未だに苗字を覚えきれず名前でよんでいます。タイの人もそれを自覚されていて、「私のことはドクターAと呼んでください」といってくれた人もいて、そうさせてもらっています。今回見学の4人はドクターTとその妹さんでエンジニアの方、看護婦さんでレーザースペシャリストの方、そして、レーザーやRF機器の輸入業者の女社長さんのご一行でした。
 カッパーブロマイドレーザーは15年位前にオーストラリアのアデレードで開発されました。開発技術者であり、Norseld社社長さんのPeter Davisさんから今回の見学者の件は頼まれました。ご一行は朝10時から夜7時半ごろまで勉強して満足そうに帰国されました。カッパーブロマイドレーザーは511nm(ナノメーター)と578nmの二つの波長の光を別々および同時に出すことができるレーザー装置です。私がこの装置とであったのは1993年にさかのぼります。アデレードで社長のピーターさんと2人3客でこのレーザー装置を開発されてこられた皮膚科医のSue Mckoy先生を訪ねました。オーストラリアはオゾンホールのために紫外線量が多く、そのための皮膚障害も多いですが、その分、治療についても発達しています。紫外線によりしみやしわが増えることはよく知られたことですが、毛細血管拡張も起こります。スー・マッコイ先生はオーストラリアを代表するレーザー医で、私より5歳くらい年上の長身で美人でてきぱきしたとてもかっこいい先生です。男勝りでメカに強く、自分で組み立てたクラッシックカーを運転されていました。交通渋滞で有名なバンコクの街中を1000ccのバイクで走り回っていたのも彼女です。結婚はされていましたが子供が嫌いで絶対にいらないといっておられましたが、それは今も変わらないようです。ピーター・デイビス社長が「危険なので絶対やめてくれ」、と頼んでも、高温、高電圧になるカッパーブロマイドレーザー装置のカバーを自分で開け、故障を自分で直してしまおうとされます。彼女には直径1mm程度までの拡張した毛細血管をペン先のようなハンドピースの先から出るカッパーブロマイドレーザーの578nmの光でなぞって消していく方法と、直径1mmくらいの拡張血管に細い針を入れ、高張食塩水を注入して血管を塞いでいく方法を教えていただきました。毛細血管拡張症の治療は当時日本では需要は少なかったですが、早速日本に持ち帰り開始しました。それから1年間カッパーブロマイドレーザーを使用し、治療効果は大変よかったのですが、故障が多すぎたのでとうとう機械を返却しました。そして10年後、カッパーブロマイドレーザー一筋に打ち込んでこられたピーター・デイビス社長にアメリカの学会で再会し、「もう故障しないし、さらに改良を重ねたのでもう一度使ってみて欲しい」といわれ、1年余り前からまた使い始めました。確かに故障しにくくなり、また、non-ablative rejuvenation治療とにきびの光線治療にも対応できる工夫がなされ、社長さんが自信もってすすめられるだけある機械に仕上がっているように思います。

 そもそも、日本では流行らなかった、皮膚を一皮むいてしみ皺のある皮膚を一掃し、若返りを図ろうという炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーを用いたskin resurfacingに取って代わり、今日本で大変なブームになっているnon-ablative skin rejuvenation治療、すなわち、表皮を痛めないでダウンタイム(日常生活にさしつかえる期間)なしにしみくすみやしわ、皮膚のはりや毛穴のひらきを改善し若返りを図ろうという方法は血管腫治療用ダイレーザーをしわ治療に用いたところから始まったわけです。non-ablative skin rejuvenation治療の作用機序はいまだ実証されてはいないのですが、大きく2つに分けて考えることができます。ひとつはダイレーザーに代表されるように、血液中のヘモグロビンに吸収される波長の光を血管を破壊しないように弱めに照射してコラーゲンを生み出すための伝達因子を出させて、新しくコラーゲンを作らせよう、というものです。もう一つは水やコラーゲンに吸収される波長の光を強く当て、真皮のコラーゲンを破壊・変性させ、きずが修復されるときにコラーゲンが新しく生み出されたり、たんぱく質であるコラーゲンが熱で縮んで、そのあともきずが治る過程で傷あとが縮むことを利用して、しわやたるみを改善しようという表皮を温存したskin resurfacingともいうべきアグレッシヴなものです。最近ではレーザーや光だけでなく、これをRF波(ラジオ波)で行うこともされています。もし私自身がnon-ablative skin rejuvenation治療を受けるとしたらどの方法を選ぶでしょうか。もしも、私の皮膚がすでにひどいニキビとか事故などのきずあとでデコボコの傷あとだらけになっていたら、あきらめて後者の装置で治療するかもしれません。でも私の皮膚は年とともにコラーゲンが減って薄くなり、たるんできただけなので、表皮を温存するとはいえ、真皮をアグレッシヴに破壊しようなどという勇気はありません。ですから、刺激少なく、皮膚の深くまで届いて色むらを改善しつつコラーゲンの再生を促す前者の機序で働くレーザーピーリングや、新陳代謝を活発にしてむくみを取ってたるみを解消するインディバRFなどは喜んで受けます。
 よみがえったカッパーブロマイドレーザーはまさにヘモグロビンの吸収波長とピタリと一致する578nmの光を利用して新しく開発されたスキャナーまたはペンタイプのレジュヴィネーション用ハンドピースを用い、前者の機序で働くnon-ablative skin rejuvenation治療が効果的にできるよう工夫されていました。実際の効果も患者さんの評価も上々で、non-ablative skin rejuvenation治療のトレンドになってきそうな気配がします。このような情報をいち早く察知したタイの先生と輸入業者の方が早速当院に勉強にこられたというわけです。すでに1年前に香港の先生も見学に来られ、彼は今では自院で盛んにこの方法を用いておられます。

投稿者 biyou : 2005年08月04日 18:37

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