2005年07月30日
特別講演

都ホテル京都でエルビウムヤグレーザー臨床研究会が開かれ、私とRox Anderson教授が特別講演をしました。この会は歯科用エルビウムヤグレーザーを使用されている歯科の先生方800人程度からなる会で、毎年研究会を開催し、会員外から特別講演者を招待されているとのことで、今年は私に皮膚科形成外科領域でレーザーがどのように使用されているか話してほしいという依頼がありました。たまたま、Roxが来日されている日と重なったため、是非とも、という会からの依頼で2人で講演ということになりました。Roxはこれからの分野であり、彼がすでに素晴らしい発明をいくつも世に送り出している、光をもちいた診断法について話されました。私が同時通訳をしましたが、機械の設計模式図の説明などとなると、私の理解を超えていましたので訳せないところもありました。特別講演の抄録を添付します。
❑特別講演
Laser Microscopy and Imaging for Oral Applications
Harvard Medical School, Boston Massachusetts
R. Rox Anderson, MD;

Lasers are being used for surgery of hard and soft tissues in the mouth, but the oral diagnostic applications of lasers have not yet been developed. There are some promising technologies emerging now, for both diagnosis and for guiding treatment. Confocal laser microscopy is a research device that provides high resolution images of oral mucosa, but is not well compatible with fiber optics. Optical coherence tomography (OCT) is a laser imaging technology that has the advantages of high resolution, fast speed, and flexible delivery through optical fibers. OCT creates images of light scattered back from inside the tissue. OCT was invented for imaging the retina, and has been used for almost a decade in ophthalmology. However, recent advances make it possible to perform OCT through fiber optics. We recently developed a high-speed version of OCT for endoscopy, using scanning catheters. Near-infrared light is used, providing image depth of several millimeters and resolution of about 10 micrometers. It takes only a few seconds to take images of oral structures including teeth, gingiva and mucosa. Potential applications of OCT in dentistry, oral surgery, and laser surgery will be discussed.
❑特別講演
レーザー・IPLの形成外科・皮膚科領域での臨床使用
京都市開業 鈴木形成外科院長
鈴木晴恵
1960年にMaiman博士がルビーレーザー発振に成功するとすぐに医療への臨床使用が始まったが、我々が携わる形成外科・皮膚科領域にレーザー治療本来のメリットがもたらされたのは1983年にRox Anderson 博士がselective photothermolysis の理論をといてからである。マサチューセッツ工科大学時代に光の研究に興味を抱き、すでに物理学者として皮膚光学について多くの論文を生み出していた博士は1980年、29歳で入学したハーバード大学医学部の1年生のとき皮膚科医対象のあるセミナーに参加して単純性血管腫(赤あざ)の症例をはじめて見た。アルゴンレーザー照射により瘢痕のできた多くの赤ちゃんの症例に衝撃を覚えた。何とか傷あと無しにこの子たちから赤あざだけを取り除けないものか、できるはずだ、とすぐに考え始めた。アルゴンの波長は悪くはない。しかし、照射時間が問題だ。血管だけが熱せられ、周囲組織に悪影響を与えるまでに冷め切らなければならない。セミナーでは組織像も紹介され、あざの血管の直径もわかった。あとは数学的に計算をすればよい。バスに乗り、地下鉄に乗り継いで家に帰り着くまでに理論はすでにほぼ出来上がっていた。この論文が出版されたのは1年後の1981年。さらに実際にレーザーを組み立て動物実験をして組織像で証明し、1983年に現在レーザー治療に携わる医師や研究者達が皆、バイブルとしてあがめる論文がscience誌に掲載された。博士は学生時代も医学部の授業が終わると毎日明け方まで研究室で実験を繰り返していた。もちろん、実験器具のレーザー装置はみな博士が自ら作った。 奇しくも博士と同じく1984年に医科大学を卒業した演者は1988年よりレーザー治療に携わる機会を得た。博士が大学1年生のときに思いついて完成し、日本に導入されたばかりの赤あざ治療用ダイレーザー装置を有色人種である日本人に用いるため試行錯誤を繰り返した。1991年、博士が刺青治療用に開発したQスイッチNd:YAGレーザーを日本人に多い太田母斑(青あざ)の治療に応用したいと考え、助言を求めたのが博士との親交の始まりである。博士に、「理論上可能なはずだ。きっとできると思う。しかし、これは日本人である貴方が是非やってください。」と励まされ、1992年にQスイッチアレキサンドライトレーザーとQスイッチNd:YAGレーザーを日本に導入し青あざの治療を開始した。白人に比べ傷あとが目立ちやすい有色人種はメスを使った形成外科手術も難しいが、皮膚の色素のコントロールが必要なためレーザー治療も単純にはいかない。 博士と話していると次々に新しいアイデアが湧いてくる。全てどうすればあの患者さんを治してあげられるか、という博士の人間性から生まれてくるアイデアである。 今日形成外科・皮膚科領域でレーザー/IPLで行える治療は多岐にわたるが、その殆どが博士の考えなくしては実現できなかったことである。
投稿者 biyou : 2005年07月30日 18:31