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2005年06月23日
水曜日の仕事

今日水曜日の仕事は一番疲れます。朝一番に前日の手術の患者さんを診察したあと、午前中は子供あざ外来をします。午後からは大人の治療、最後の患者さんが帰られたのが9時で、そのあと書類書きをして、それからようやく執筆活動です。書き物はいっぱいたまっているのですが、とりあえず期日厳守の雑誌の記事の校正を仕上げて出しました。どんどんたまってくるので、すぐに片付けられそうなものからとりあえず書いてしまいます。今週は3日連続帰宅が午前3時です(今日はさらに遅くなりそう)。
午前中の外来は大切な赤ちゃんや小さい子供さんを扱うので細心の注意を要求されます。小さい赤ちゃんを連れて東京や東北などからも来てくれる親御さんの熱意には頭が下がります。1992年にRox Anderson博士がイレズミ治療用に開発したレーザー装置を京都の病院に導入してはじめて青あざの治療をした患者さんは生後2ヶ月ぐらいだったと思いますが、すぐ近所の方でした。この装置でほんとうに青あざが治るのか期待と不安でいっぱいでした。博士には、理論的にはできるはずだ、やってみなさい、と励まされて挑んだ治療でした。この方法がうまく行き、赤ちゃんのおじいさまは大変喜ばれました。「目の中に入れても痛くないこの孫のあざが治るのならアメリカでもどこでも、世界中どこまででも連れて行こうと思っていたのに、こんな近い、歩いて5分の先生のところで治療してもらえたなんて」と。今では彼女も中学生で、時々お目にかかります。おじいさまは残念ながらなくなってしまわれましたが、あざが治療するごとに薄くなっていき、ついには消えていった感動をいっしょに味わうことができてよかったです。
1988年に赤あざの治療を始めたときには今と比べると治療速度がとても遅く、7秒間に5ミリ経の範囲しか治療できませんでした。広い範囲のあざの方の治療は患者さんも私もお互い気の遠くなるような長時間の治療でした。赤ちゃんの場合はそんなに長い時間我慢させられませんから、全身麻酔をかけました。私は麻酔科の勉強もして麻酔科標榜医という資格も取っていたので、そのころ日本ではまだ始まっていなかった、日帰り全身麻酔でレーザー治療をしました。私が始めて発表した論文は形成外科の治療ではなく日帰り全身麻酔に関するものでした。今では治療装置が発達して、10年前に30分かかっていた範囲が3分で治療できます。痛みも少なくなりました。当院では全身麻酔は全く使わなくなりました。照射中はもちろんある程度いたいので赤ちゃんは泣きますが、(ドアの向こうでお母さんも泣いています)全身麻酔のしんどさや麻酔前後の絶食のつらさなどを考えれば、本人にとって格段に楽になりました。機械の進歩はありがたいです。先月Harvard のWellman Center of Photomedicine (レーザー治療の父と呼ばれるRox Anderson教授が所長を勤める世界最高峰のレーザー治療研究所です)を共同研究のために訪ねた折、壁に額が飾ってあり、ポストカードが何枚も収めてありました。そのはがきは皆、あざの治療を受けた子供達がRoxにあてて書いたものでした。字が書けない小さな子供は、お母さんが子供の言ったことを書いてあげたり、絵を描いている子供もいました。こんな内容でした。「アンダーソン博士、僕のあざはもうこんなに薄くなりました。素晴らしいレーザーを発明してくれて本当にありがとう!」 (これがあるからやめられない) 赤ちゃんの治療には両親やおじいちゃんやおばあちゃん、小さな兄弟達もついてきて、待合室は大変な込みようです。(患者さんの3,4倍の人数ですから)大事な大事な赤ちゃんばかりですから、スタッフも私も赤ちゃんの治療に気も使えば、家族にも気を使い、皆ヘトヘトだと思います。でも、innocentな赤ちゃんの笑顔を見ると、「もうなんでもしてあげちゃう!」と思ってしまうのです。スタッフも皆同じ気持ちだと思います。
投稿者 biyou : 2005年06月23日 17:54